スポーツ教材の提供

スポーツ教材活用事例紹介:Case19

やんちゃるジム(神奈川県相模原市)

提供教材:タグラグビーセット

成長にあわせた運動プログラムに
親子一緒に楽しく取り組む
年齢や運動レベルを問わず
安心してプレイ可能なタグラグビーに注目

普段から体育の教師として子どもたちと対面する中で、運動神経が最も発達すると言われる“ゴールデンエイジ"期に身体を動かすことの大切さを痛感していた金川純子さん。一つの競技に特化するのではなく基本的な身体づくりに役立ち、さまざまなスポーツに出会える環境を地域につくりたいと、3人のお子さんを育てながら周囲の仲間を募って2000年に始めたのがスポーツクラブ「やんちゃるジム」でした。

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Philosophy
色々な種目の基本的な動きを
ゴールデンエイジに遊び感覚で経験させる

「子どもをやる気にさせるというより、やりたいことを選べるよう工夫しています」と話してくださるのは「やんちゃるジム」代表の金川さん。園児から小学生を対象に毎週1回1時間、多種多彩なメニューを展開しています。取り組む種目数は公称約20ですが、顔ぶれや人数にあわせ、毎回金川さんがその場で臨機応変に組み立てているので、その数では収まりきらないようです。

「いくつか種目を用意しておけば、何か一つはやってみたい! と思えるものがあるはず」と、例えば体操を行う時、ある場所では逆上がり用のポールを用意し、ある所には逆立ち用のマットを、別のコーナーには跳び箱、あるスペースは側転、その隣では前転練習と、お祭りの出店のようにいくつもの内容を並行して実施。跳び箱一つとっても、両手を付いて身体を支える感覚、両足を広げて飛び越える感覚と、段階を踏んで成功体験を積み重ねていけるよう工夫されています。

また「やんちゃるジム」は、保護者同伴が必須。一緒に参加してコーチの役割を担ってもらう“親コーチングシステム"を取り入れています。「何がどこまでできるか様子を分かってもらえますし、子どもの理解力が不十分でも親を介して伝達でき、上達が早くなります。中には、野球やサッカー、テニスにバスケットなどの経験者もいるため、お手本を見せていただいたり、先生役を担ってもらっているんです。扱える種目の幅も広がりますし、お父さんやお母さんたちのカッコいい姿をみた子どもたちの目の輝かせようといったら!」と金川さん。


Plan
10年前から安心してプレーできるタグの魅力に着目

さまざまな種目の一つとして、年代や体格、運動レベルを問わず、みんなで一緒に安心してプレイできると、10年ほど前からタグラグビーに注目。タグの代わりにはちまきを腰につけ、時々練習メニューに盛り込んでいたそうです。

そして県のスポーツ課経由で本財団の教材提供を知り、「もし、本物のボールとタグがあったら、子どもたちの眼がキラキラ輝くことだろうと想像し即座に申し込みました」(金川さん)。


「入会してくる子どもの能力は、17年前の発足当時と比べてほとんど差がありません。ただ、普段教鞭を取っている学校では、身体が動かせない生徒が増えています。能力自体の問題でなく、中学受験と重なってゴールデンエイジのタイミングに身体を動かしていない子どもが増えているんです」と金川さん

「入会してくる子どもの能力は、17年前の発足当時と比べてほとんど差がありません。ただ、普段教鞭を取っている学校では、身体が動かせない生徒が増えています。能力自体の問題でなく、中学受験と重なってゴールデンエイジのタイミングに身体を動かしていない子どもが増えているんです」と金川さん

運動神経が発達する成長段階に適切な運動をしていないと、感覚がつかめず、後々運動が苦痛にしかならない、とのこと

運動神経が発達する成長段階に適切な運動をしていないと、感覚がつかめず、後々運動が苦痛にしかならない、とのこと

逆上がりや側転、倒立など、ポイントとなる動きを分解し、親がサポートしながら、できる体験を積み重ねていく。“親コーチングシステム"は、子どもにとっては安心感となり、親にとっては子どもとの時間が持てること、また一緒に身体を動かしストレス発散にもつながっているようだ

逆上がりや側転、倒立など、ポイントとなる動きを分解し、親がサポートしながら、できる体験を積み重ねていく。“親コーチングシステム"は、子どもにとっては安心感となり、親にとっては子どもとの時間が持てること、また一緒に身体を動かしストレス発散にもつながっているようだ


Do
ラグビー経験のある保護者がお手本に

教材が届いて最初に行ったのはタグとり遊び。鬼ごっこのようなレクリエーション要素があるため、小さい子どもも十分楽しむことができ、またラグビー経験のある保護者から、ボールの持ち方、投げ方など、本格的な基礎を学びました。

「親コーチングシステムにより、最初は難しいと思われるような、パスを後ろに出すルールなど、短時間で身に付けている子も多かったですね。楕円球ならではの回転のかかった鋭いパスの手本も見せてもらい、子どもたちは大感激していましたよ」と金川さん。

さらに、2019年にラグビーワールドカップが日本で開催されることをお知らせしてから練習し始めたこともあり、そういう機会を認知してもらうことで、子どもが憧れるきっかけにもなり、将来の夢の一つにつながることを願っているそうです。また「やんちゃるジム」では、運動以外にも地元ラグビークラブのエスコートキッズの体験や、アスリートの練習風景見学など、さまざまな体験機会も積極的に提供しています。


Check
4色のタグが周辺視野のトレーニングにも有効

「ベルトをかちっと締めてタグをマジックテープにしっかり装着すると、いつもと違う自分になれるようです。ホンモノのタグは、子どもをやる気にさせる変身ベルトのような効果もありますね」と金川さんは顔をほころばせます。

「普通の鬼ごっこでは、触った触っていないが不明瞭ですが、タグは取った取られたが明確です。また狙って行くべき目標として、あるいは逆に取られないように守る目印として分かりやすいので、タグを取る、あるいは取られないように、どう動いたらいいのか会得しやすいんです。さらに4色あるので自分と他のチームとの差別化も図りやすく、動き回りながらタグの色を認識し見極めて行く、周辺視野のトレーニングにも活かされているのではないでしょうか」


「やんちゃるジム」は、小学生を中心とする「ジュニア」と幼稚園児メインの「リトル」の2クラスからなる。「リトル」の運営をサポートする子どもスタッフ(ビブス着用)を「ジュニア」の中から選出し、リーダーシップなどの育成も心がけている

「やんちゃるジム」は、小学生を中心とする「ジュニア」と幼稚園児メインの「リトル」の2クラスからなる。「リトル」の運営をサポートする子どもスタッフ(ビブス着用)を「ジュニア」の中から選出し、リーダーシップなどの育成も心がけている

ボールを持ってタグを取られないよう身をかわしながら大人の間をすり抜けて行く子どもたち。サポート役の保護者もタグを取れない場面で思わず「悔しい!」と叫んでしまうほど夢中に

ボールを持ってタグを取られないよう身をかわしながら大人の間をすり抜けて行く子どもたち。サポート役の保護者もタグを取れない場面で思わず「悔しい!」と叫んでしまうほど夢中に

オリジナルゲーム「やんちゃるボール」。ボールを投げる、キャッチする、よける、協力する能力が育まれる

オリジナルゲーム「やんちゃるボール」。ボールを投げる、キャッチする、よける、協力する能力が育まれる


Action
後進育成後はシルバー世代の活動に挑戦!?

「普段、体育館での活動なので、いつかはひろ〜い芝生の上で、思いっきりタグラグビーをプレイしてみたい」と金川さん。そして「やんちゃるジム」としては、「あと数年もすれば、創設時の子どもたちが親になって戻ってくるでしょうから、子どもたちの活動は彼らに任せて、今度は大学や病院のサポートを得ながらシルバー世代をターゲットにした新たな活動にチャレンジしたいですね」と目を輝かせていました。


道具を使ってボールをキャッチするトレーニングでは、スリッパがラケットに、ゴミ箱や紙コップがグローブにと身近な物が用具へ変身

道具を使ってボールをキャッチするトレーニングでは、スリッパがラケットに、ゴミ箱や紙コップがグローブにと身近な物が用具へ変身

「やんちゃるジム」を卒業した中・高校生が時々顔を出し、手本を見せてくれる。教わる子どもたちからすれば、身近な憧れ的存在となり、手本を示す卒業生としては誇らしく、自信獲得の場になっている

「やんちゃるジム」を卒業した中・高校生が時々顔を出し、手本を見せてくれる。教わる子どもたちからすれば、身近な憧れ的存在となり、手本を示す卒業生としては誇らしく、自信獲得の場になっている


(2017年2月取材)


昔は遊びを通じて、自然と身体を動かせる環境がどこにでもありました。「やんちゃるジム」では、この先、中学・高校に進んで専門種目に取り組んだ際に活きてくる基礎的な運動能力が遊び感覚で鍛えられています。また、段階を踏んで練習できる工夫が施されているので、親子一緒に“できる喜び"を体感し、自信をつけながら上達していけるのです。さらに、子どもスタッフとして運営を手伝う小学生たちは、リーダーシップやチームワークも育まれ、生涯にわたってスポーツを愛する身体と心を育てようという心意気が感じられました。ジム発足のきっかけが子育てママさんであったことに起因するのかもしれません。

(事務局)

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