スポーツ教材の提供

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 教材活用アイデアレポート

Case3 みのり幼稚園(茨城県つくば市)

提供教材:ラグビー球

子どもたちの可能性を広げる、新しい取り組みとしてラグビーに挑戦

他者への思いやりと逃げない強さ、そしてコミュニケーション能力を育む

Case3 みのり幼稚園(茨城県つくば市)

「色々な体験が子どもの能力を開花させる」と、体力と感性を養うカリキュラムを多岐に行っているみのり幼稚園。「他と違うことに取り組みたい。ラグビーボール自体、面白そう」とラグビーの導入に挑戦。従来からの多彩なカリキュラムとの相乗効果で、体力全般の向上はもちろん、他者の痛みが分かるやさしさと逃げない強さを手に入れたそうです。

Philosophy: 潜在能力開花のきっかけに多彩な新しいカリキュラムを積極採用

「みのり幼稚園で楽しいこと探そう!」を合言葉に、子どもの多種多様な可能性を発見し伸ばすきっかけづくりとして、みのり幼稚園は様々なカリキュラムを展開しています。例えば、歌、マーチング、絵、英語といった外部講師を招いての授業の数々。またクラブ活動もサッカーや器械体操、バトン、新体操、空手など多岐にわたります。

「何がきっかけで子どもの能力が開花するか分かりません。何かを始めるなら6歳まで。それまでに一つでも得意とするものを見つけるきっかけになればと、日頃あまり体験できないことを色々させたい」と熱く語って下さるのは園長の藤田富癸江先生。実は藤田園長自身、新しいモノ・コトに挑戦するのが大好き。まるで園児たちが目新しいものに次々と興味を持つように好奇心旺盛で、「これいい!」と思い立つとすぐ行動に移すタイプなのだそうです。

そんなみのり幼稚園の多彩なカリキュラムは、運動や芸術など心身の根幹を鍛える活動が中心。なかでも「健全な精神は健全な体力づくりから」の信念の下、園庭をすべて芝生にして裸足で駆け回われるようにしたり、園長先生たちによる手作り給食の日を設けるなど、創立以来、身体づくりには特に力を入れているのです。

Plan: 他ではやっていない、新しいことに挑戦したい

「総合的な身体能力の向上」という目標が真っ先にあったものの、「サッカーはどこでもやっている。他と違うことに取り組みたい。どこに転がるか予測不能なラグビーボールも面白そう」という藤田園長の好奇心から、教材提供に応募。その時、園長の頭にはラグビー経験のある卒園生の顔が浮かんでいました。それがコーチの宮本学さんです。ご自身のお子さんもみのり幼稚園系列のわかば保育園卒と言うこともあって、宮本さんは「お役に立てるならば」と、友人でジュニアラグビーのコーチを務めている米沢智秀さんを誘って、園の指導にあたることになりました。

Do: テンポよく動作を変更し、身体も頭もフル回転。みんなで楽しむ秘訣はグループ対抗リレー

年長児を対象に、声を掛け合いながら、まずボールに慣れさせます。コーチは子どもの調子を見ながら飽きさせないよう次から次へテンポよく動作を変更。難易度を少しずつ上げて、できるようになる歓びを感じさせつつ、頭も使わせるのです。

そして、子どもたちが工夫できる余地を残しておくそうです。例えば足の下からボールを手渡してグループ最後尾まで到達させる場合、後ろの人にいちいち手渡すよりも、一気に後ろまで転がした方が早くてラクなのですが、ラグビーとしては好ましくありません。

「でも一番早い方法を本気で考えたら、転がすことは名案。教わったことだけに縛られず柔軟に発想できるよう、最初はルールでがんじがらめにしないんです。もちろん最後にルールに則った正しい方法を教えますけどね」(コーチ)。

またクラブ活動では、勝利を目指しできる子の能力をさらに高める指導が中心ですが、授業としてのラグビーは、つまらなそうな、興味がない子どもにこそ気を配り、全員が“楽しかった!またラグビーしたい”と思ってもらえる指導を心がけているそうです。そのために「グループに分かれリレー方式で競い合わせる」のだとか。

「競わせると本能的にチームが協力し合います。協力し合うには声掛けが欠かせず、気づくと全員が夢中になっている。もちろん、最初に楽しそうに参加してくれる子を引っ張って、その場を盛り上げることも大切」とコーチは言いますが、その雰囲気作りに大きく貢献しているのが、一緒に参加しているみのり幼稚園の先生方の存在です。率先して声を出し、心の底から楽しそうにお手本をやって見せる先生の姿は、子どもたちのやる気を引き出す起爆剤になっていました。

Check: 相手を思いやる気持ちと痛みを知り、心身ともにタフになる

「ボールを投げる、受ける、走る、タックルする」と身体を思いっきり使うことは体力増強だけでなく、精神的にも大きくプラスに働いていると藤田園長。

「数値化していませんが、運動能力では瞬発力と持久力がアップしたと実感。また最近は、文字通り身体をぶつけ合うことはもちろん、対人関係でも衝突を避けがちです。でもぶつかってみないとその痛みは計り知れません。受け取りやすいパスを投げたりタックルするラグビーを通じ、身体能力の向上だけでなく、相手の痛みを知り、人間関係でも逃げない強さとやさしさが得られたのではないかと思います」

Action: この先も新しいことに挑戦し続ける

「ボールの受け渡し」「ボールを持って走る」「相手が取れるように投げる」「投げられたボールを受け取る」「ボールを持ってゴールする」などの段階を踏み、最終的にはゲームする所までが年間の予定です。去年の年長児は、地震の影響で最後の試合ができなかったので、今年はまずゲームするところまで完遂したいそうです。そして「これまで取り組んできた数々のカリキュラムとラグビー体験が有機的に結びつき、園児たちの能力を高めています。でもこれに満足せず、この先も新しいことの導入に挑戦し続けたい」と藤田園長は目を輝かせていました。

(2011年6月取材)