スポーツ教材の提供

スポーツに親しむ機会の充実を目的に教材を提供
 教材活用アイデアレポート

Case16 社会福祉法人敬和会 金山保育園(福島県いわき市)

提供教材:サッカーボール

外遊びを中心にさまざまな経験を通じて、明るくたくましい子に育ってほしい

サッカーボールを手渡し、転がし、パスしあい、仲間と一緒に楽しみながら協調性・結束力を養う

Case16 社会福祉法人敬和会 金山保育園(福島県いわき市)

心身ともに子どもたちの可能性を広げるため、遊びや自然とのふれあい、音楽、造形などのさまざまな活動を取り入れている金山保育園。震災の影響などで低下した子どもたちの体力をなんとか取り戻したいと、3年前からはテニス教室もスタート。楽しく身体を動かすアイテムの一つとしてサッカーボールでの遊びに取り組んでいます。

Philosophy: 保育指針は「のびのびと 明るく 皆んな 強い子 良い子」

さまざまな活動を通じて子どもたちの心と身体の発達を促そうと、機会があれば新しいことに精力的に取り組んでいるという金山保育園では、鼓笛隊や和太鼓、茶道に親子で陶芸体験、地域の介護施設訪問など、多岐にわたる活動を展開しています。なかでもグランドやテニスコート、そして遊具も整備されている市立公園が目の前にある立地を活かし、季節を感じながらの散策を始め、屋外で身体を思い切り動かす遊びや自然とのふれあいを日頃から行っています。

また園庭の砂にもこだわり、自然の洗い砂を使用。「小さい子どもの遊びと言えば、砂遊び。油圧ショベルで耕して日光でまんべんなく消毒。常にやわらかい砂で遊べるように心がけています。子どもたちは砂遊びが大好きで、夢中になるあまり、衣服に砂をたくさん付けたまま、おうちに帰っているようなんです」と園長の赤津周喜先生。

そして体力向上への取り組みの一環として、3年前から年長児を対象に月に一度のテニス教室をスタート。

「当時、震災の影響による子どもたちの体力低下が取り沙汰されていました。実際に子どもたちの怪我が多く、外で遊べないことから、身体を思う存分に動かせず、ストレスを感じているなと私自身も痛感していたところでした。そんな折り、室内テニスコートを貸し出してくれる地元の企業があり、知人がヘッドコーチを務めてくれるという偶然も重なって、これは願ってもない好機であり、競技ではなく遊びとしてのテニスを通じて、幼児期に不可欠な運動能力、バランスを身に付けさせたいと導入に踏み切った」そうです。

なにより赤津園長自身、中学生の頃からテニスを始め、その魅力・楽しさを実体験していたからこそ、子どもたちにもその面白さを伝えたいという思いがあったからに違いありません。

年長児対象のテニス教室は、子どもの頃から年配まで、生涯スポーツとしてテニスが楽しめることを目指して国際テニス連盟が開発した“PLAY&STAY”プログラムに則って実施しています。

Plan: 自由遊びでボールをたくさん蹴ってほしい

「テニスに限らず、何でも子どもたちに体験させたい」という想いと体力向上の課題解消の一助となればとの考えから、「子どもたちが大好きなサッカーボール」の申請を行ったそうです。「いわきの辺りはサッカーが盛ん。親しみのあるサッカーボールなら、園児みんなが楽しめると思いました」(赤津園長)

Do: ひとつのボールで遊びながら協調性を育む

サッカーに限定せず、普段の園庭での外遊びや自由遊びの時はもちろん、運動会や遠足にも持参するなどし、格好の遊び道具としてサッカーボールを活用しているそうです。お伺いした日の外遊びでは、足で蹴るだけでなく、足の下や頭上を手渡しするボール回しリレーなど、年長・年中の子どもたちがサッカーボールをさまざまに使って身体を動かしていました。赤と白のグループに分かれてリレーを行う際には、互いに声を掛け合い協調しあう大切さを先生方がアドバイス。

「担任の先生たちが、年齢に合わせ子どもの様子を見ながら、ボールを使った遊びを工夫してくれています。ひとつのボールを使って楽しく遊ぶことで、クラスの結束力が高まったように感じますね」と赤津園長。

ボールを渡す時は、相手が受け取りやすいような場所や力加減で蹴ったり手渡ししなければならず、またボールを独り占めしていてはみんなで楽しく遊べないため、ボール遊びを通じ自然に連帯感が高まっているようです。

Check: ゲーム感覚で楽しく身体を動かす工夫

赤津園長は、何事も子どもが楽しい!と感じられるよう、のびのびと、できたことを喜びにつなげるような指導や声がけを心がけているそうです。

「ボール遊びでは、ボール回し、リレーにシュート、パス、時にはパイロンを使ってのドリブルと、次々に異なる動作に移って飽きさせないように工夫しています。

テニス教室の場合は、使いやすいラケットと跳ね返りがゆっくりなボールを使い、“当たった!”という喜びが体感できるよう努めています。ですから基本、素振りの練習は、なし。楽しくないことはやりません(笑)。できたことをきちんと評価することで、自信にもつながっているようです。さらに、楽しいからでしょうか、テニス教室の前日に子どもが自発的に運動着を用意するようになったという嬉しい声も保護者の方から届いています」

Action: 新しいことに果敢に挑戦し続ける

「せっかくなのでサッカー教室を開催するなど、これからも色々な新しい遊びやスポーツを取り入れ、たくましい身体づくりに活かしていきたいと考えています。テニスに取り組んでいる保育園はそう多くはないと思いますので、ここでの経験がきっかけとなって、今後テニスを続けてくれる子どもが出てくると嬉しいですね」と赤津園長。

何事も積極的に取り組んでいこうと精力的な赤津園長の元に新しいサッカーボールが届いたことで、子どもたちがボール遊びに改めて関心を持ったり、楽しく身体を動かすことに結びついてくれている様子が伺えました。道具を使って小さなボールを手で打つテニスと、自分の足でボールを蹴るサッカー。タイプの異なるボール遊びに取り組みながら、基本的な体力向上はもちろん、仲間と一緒に身体を動かす楽しさや爽快さが、自ずと身に付いているようでした。

(2016年1月取材)