スポーツ教材の提供

スポーツに親しむ機会の充実を目的に教材を提供
 教材活用アイデアレポート

Case8 青空court(体動かし隊!)(神奈川県横浜市)

提供教材:サッカーボール

サッカーボールに触れ・転がし・運ぶ……多彩な用途が体を動かすきっかけに

ビジョントレーニングを軸に楽しく体全体を使うメニューで子どもの可能性を広げる運動教室

Case8 青空court(体動かし隊!)(神奈川県横浜市)

子どもが安心して伸び伸び遊べる環境を整えながら、さまざまな運動を通して子どもの可能性を広げる取り組みとして開催されている出張運動教室「青空court(体動かし隊!)」。年齢もレベルも人数も競技種目も多様な対象に対し、サッカーボールをどのように有効活用いただいているのか、訪ねました。

Philosophy: 強い心と体を育む、そのための環境も含めた体・心・環境の三位一体の取り組み

「心と体は切り離せるものではありませんし、体を動かすことで心も育まれていきます。安心して体を動かせる環境があってこそ、思い切り遊んだり運動できるのです。しかし最近は、ちょっとした怪我や事故を理由にこの遊具は危ないと、正しい遊び方を子どもたちに教えることなく安易に撤去。その一方で、錆び付いたままの危険な遊具を放置している公園も少なくありません。そこで体を動かす楽しさを伝えるとともに、安心して遊べる場所をつくりたい」と、さまざまなスポーツに精通しているスポーツトレーナーの小島直人さんが、3年前にサラリーマンを辞めて一念発起。メンタルセラピストである妻の佳苗さんと会社を立ち上げたのです。子どもの強い心と体を育む、そのための環境も含めた、体・心・環境の三位一体の活動として、公園や遊具の点検・修繕などを行う傍ら展開している運動事業のひとつが、出張運動教室「青空court(体動かし隊!)」です。

Plan: 幅広いプログラムづくりに汎用性の高い3号球は最適

「何かの種目を極めるよりも体を動かす楽しさを広めたい」(直人さん)と「体動かし隊!」では、体全体を満遍なく使う運動やバランス運動、オプトメトリスト内藤先生の「smartプログラム」を取り入れたビジョントレーニング、そしてメンタルトレーニングなど、色々な道具も使いながら、あらゆる運動につながる体の基礎づくりを主眼に、参加する子どもたちにあわせた楽しく飽きずに取り組める総合的なプログラムを行っています。その中のひとつ、ボール運動では、テニスラケットでボールを運んだり、転がしたり、時にはドッジボールを行っていましたが、ふとしたきっかけで当財団の教材提供を知り、「3号球のサッカーボールは、転がしてもラケットに乗せてもちょうどいい大きさと堅さであることから、『体動かし隊!』のメニュー強化に役立ちそう」と申請したと言います。 テニスボールでは小さすぎ、ドッジボールでは大きすぎる子どもにサッカーボールを使用したところ、テニスラケットに当てられるようになったとか。また小学生くらいになると公式試合球が分かるらしく、「サッカーをしない子どもでもデザインを見て、“ホンモノのボールだ!”とテンション上げて楽しくボール遊びしていました。またこの3号球はやわらかく、つかみやすいし、色やデザインも目を引くので、2、3歳児に人気が高い」(佳苗さん)そうです。

Do: 対象者が毎回異なる出張教室各競技種目に活かせるメニューを用意

取材にお邪魔した日は、小島さんと以前から親交のあった結城和彦さんが監督を務めるバスケットボールクラブ「玉川ドルフィンズ」での出張教室。「視野を広げるトレーニング」の一環にサッカーボールが使われていました。

体全体を使う動物歩きや直線に沿って足の位置を意識しながらの歩行、目の筋肉を動かすビジョントレーニング、バランス力を競うメニューなどに加えて、サッカーボールを手で転がしながら前進・後進する動きや爆弾ゲームも行いました。トレーニングは一見、バスケットボールの練習に直接結びつくようには見えないかもしれません。しかし、例えば2〜3個のボールを使った爆弾ゲームでは、どこからボールがやってくるか分からないため、意識して四方八方に注意を払わなければならず、バスケットの試合で、誰にパスをまわせばいいのか、どこにどう動けばゲームに有効なのか、全体を見通すことに役立つよう考えられていたのです。「体全体を使う基礎力アップの運動でも、出張先の種目にあわせ、それぞれの競技に必要と思われるトレーニングプログラムを用意して行くんですよ」(直人さん)。

Check: ゲーム感覚の楽しい気持ちで体を育みながら目的意識を明確にし気づきを与える

これらのトレーニングを通して子どもたちには「自分で考え、気がつくことを学び取って欲しい」と直人さん。「何のために、この運動をやっているのか?それに気づき意識することで、さらに能力を伸ばすことができる。目的が具体的になればきついトレーニングもがんばれるし、モチベーションも維持できるのです」と続けます。 そこで保護者の方にもトレーニングの内容を理解いただこうと、佳苗さんが練習の折りを見て説明。時には一緒に体験してもらうことで、普段の生活の中でも行える取り組みに協力してもらったり、家庭の中で共通の話題としたり、子どもが考えるきっかけをつくってもらうよう働きかけているそうです。

さらに直人さんは「個別指導では、できなかったことができるように、小さな成功体験の積み重ねで、自信を持たせるプログラムを行いますが、グループが対象の場合は一過性の成果よりも、まず体を動かす楽しさを実感してもらうよう心がけています。ですので、何秒までがんばれたのか、誰が1番かなど、ゲーム要素を盛り込むようにしています。バランス競争でトップになった子や、爆弾ゲームで最後まで残っていた子をみんなの前で賞賛するのもその一環ですね」と説明してくれました。

Action: バラエティに富んだボールの使い方大募集!

やわらかくて手触りが良くつかみやすい特性を活用し、既成概念にとらわれないサッカーボールの使い方で、子どもたちの“楽しい!”を引き出す運動プログラムをこれからも考えていきたいと小島さんご夫妻。

小島さんの柔軟なボールの使い方は、他のさまざまなスポーツにおいても、とても参考になりますし、ボール利用の場の可能性の大きさに気づかせてくれました。この教材提供は、子どもたちが楽しく体を動かすきっかけとして役立てていただくために行っています。サッカーやタグラグビーの場でお使いいただくだけでなく、みなさんの知恵と工夫次第で活用の場はさらに広がっていきます。

ぜひ、教材の新たな使い方の発掘・考案にチャレンジしてみてください。

(2014年2月取材)