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[Case21]タグラグビー×独自のルールとアイデアで、みんな“体育好き”に変身!

提供教材:タグラグビーセット

臼杵市立市浜小学校(大分県臼杵市)

Case21 臼杵市立市浜小学校(大分県臼杵市)
体育の授業を訪問した3年1組のみなさん

体力向上モデル校として「運動が好き」と答える子どもを90%以上にする目標を掲げている大分県臼杵市立市浜小学校。体育専科教員である上山智之先生が取り組んだのが、タグラグビーの特性を生かしたいくつかの工夫です。運動が得意な子だけが活躍するのではなく、全員が活躍することで、“運動が得意ではない子も運動を楽しみ好きになる”、それが実現するように、上山先生が考案した独自ルールやアイデアをご紹介します。

実践内容

緩やかな独自ルールとは?

1. 全員トライでチームボーナス点を付与

全員トライでチームボーナス点を付与

課題:同じ子ばかりがトライすると、ボールに触れない子が出てくる

トライしたら帽子を白から赤に変更。チーム全員が赤帽子になるとボーナス点がもらえるようにすると、全員がボールに触れられる機会が増加した。

2. ゴールラインを超えたらトライ

ゴールラインを超えたらトライ

課題:グラウンディングする時に、滑りこむと危険

地面にボールを置く時に、飛び込んだり、滑り込んだりすると危ないので、ボールを持ってゴールラインを駆け抜けたら「トライ」とカウントすることにした。怪我の可能性が減り、女子児童もトライできる子が増えた。

3. ボールを落とした本人が拾えばOK!

ボールを落とした本人が拾えばOK!

課題:ボールを落とすと、チーム・メンバーから責められることがある

ボールを前に落とすと反則だが、ペナルティを取るとボールを落としたことが責められる要因になるので、落とした本人が拾って後ろにパスすればそのままプレー続行とした。

指導アイデア

ポイント:課題を提示して、生徒に考えさせ、やらせてみる

課題を提示して、生徒に考えさせ、やらせてみる

ただ楽しい授業だけではなく、「どうするとタグが取りやすくなるか?」など授業冒頭に課題を提示。授業のなかで、何をどうしたらいいのか、考えて実践・検証させ、最後に回答例を示す。技術的に今できなくても、こうすればできるようになるという論理的な説明も欠かさない。

ポイント:チームワークを醸成して、連帯感を強化する

チームワークを醸成して、連帯感を強化する

協力してトライを決めるタグラグビーのゲーム特性から、準備運動で隊列を崩さずに走るチームランなどを行うほか、ビブスやタグの色をそろえてチームの所属感を持たせる。

ポイント:ボールの扱い方を意識して慣れさせる

ボールの扱い方を意識して慣れさせる

慣れないボール操作をしやすくするため、空気を少し抜いたボールを使用。また「タグボールは卵だと考えて、相手が構えてから、やさしくパス」と下からていねいに投げるように指導。さらに斜め後ろにパスをするのは慣れないうちは難しいので、タグを取られたら、まず後ろを向いてからパスすることを徹底している。

ポイント:ボールにたくさん触れることで、経験値を増やす

ボールにたくさん触れることで、経験値を増やす

1チーム6人を4人ずつ3回に分けてゲームを行ない、少ない人数でプレーすることによりボールにたくさん触れることができ、短時間に経験値を増やすことができる。

効果

  • 運動が苦手な子もボールに触れる機会が増えることで自信がつき、「楽しい」「体育が好き」と感じ、積極的に活動するようになった。
  • 得意な子どもが活躍しがちな球技だが、チームボーナス点を設定することで、協力して仲間がトライするため自然にチームプレーができるようになった。
  • 自分たちで「今日の授業の課題」について実践・検証することで、考える力も育まれた。

指導者の想い

身体を動かす楽しさを知って欲しい
体育専科教員 上山智之先生
体育専科教員 上山智之先生

高学年の専門的な指導も大切ですが、低学年のうちに身体を動かす楽しさを知ってもらうことがとても大切です。多種あるゴール型ゲーム教材の中でも、以下の特徴から、「タグラグビー」はみんなが取り組みやすいスポーツです。

  1. 遊び感覚:おにごっこの延長+チーム対抗のボール遊び
  2. 目新しい:経験値の差が出にくく、興味・関心を持ちやすい
    ※大分はラグビーワールドカップ開催県という環境も後押し
  3. 安全:身体接触がない

ただ、馴染みが薄いからこそ、子どもたちが楽しめるような工夫が必要です。そこで、タグを利用した“おに遊び”や、楕円形というタグボールの特性を活用した“リレー遊び”、“簡単なルールでのタグラグビー”など、競技の要素を細分化したり簡易化することで、タグラグビーに親しめるように試みました。慣れてくると自分たちで相互審判もできるようになり、タグラグビーの授業を楽しみにするようになったんですよ。

中でも「全員トライでチームボーナス点」という、運動が得意な児童が、苦手な児童を自然とサポートするルールにより、協調性の醸成に加え、運動が苦手な子がトライする歓びを経験し、自信を得ることで、身体を動かす楽しさを自然に体得できたことは大きな収穫だったと思います。

(2018年3月取材)