スポーツ教材の提供

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 教材活用アイデアレポート

Case1 高松幼稚園(香川県高松市)

提供教材:万歩計

1歩を1パワーに変換し成果を世界地図で視覚化

園児の遊び心を的確にとらえゲーム感覚で日常的運動習慣を身につけるツールに

Case1 高松幼稚園(香川県高松市)

数々の研究成果を踏まえた上で画期的なカリキュラムを導入している高松幼稚園。運動不足が懸念される昨今の子どもたちの実態(運動量)を把握するとともに、身体を動かして遊ぶ楽しさや日常的運動習慣を会得するツールとして、万歩計を活用いただきました。

Philosophy: 理想の幼稚園をめざし、時代を先読みしたカリキュラムを導入

高松幼稚園は、大学で児童心理学を研究されていた丸山京子園長のお父様(佃範夫氏)が「理想の幼稚園をつくりたい」と1954年に開園。のびのびと子どもらしさを発揮しながらも社会性を持たせる“のびのびときまりを”を教育目標に掲げ、幼児期だからこそ身に付く適期教育を重視し、1956年に音感教育を、1968年には外国語教育を開始。またコンピュータルームの開設(1995年〜)、共生社会や自分自身の発見をめざしたグローバル教育(1996年〜)など、数々の研究成果を元に時代を先読みしたカリキュラムに取り組んでいます。さらに四季折々の自然の中で遊びながら五感をフルに活用して「生き抜く力や技術」を会得させようと、園外保育や伝統的な年中行事も盛んです。

Plan: 運動量を視覚化し身体を動かすきっかけをつくる

指導にあたる先生たちも熱心で、隔年で開催される造形美術展では、職員による研究発表が行なわれています。2010年度は『子どもの身体と環境』をテーマに園内での活動や環境が子どもの心と身体に及ぼす影響について年少・年中・年長別に研究。

丸山園長によると「昨今、子どもの体力・運動能力の低下が指摘されています。当園では子どもたちの運動能力を長年測定してきましたが、10年前と比較するといずれの年齢でも明らかに能力が低下しています。運動会に向けての練習中に『しんどい』と訴えたり、走り慣れず転んでしまう子もおり、体力のない姿が目についたんです。そこで、日頃子どもたちがどれほど運動して(歩いて)いるのかを把握し、日常的に身体を動かすきっかけになればと、数字が理解できる年長園児に万歩計を着けることを立案。偶然、教材提供のことを知り、駄目元で応募したんです」

園長の丸山京子先生。「ご祖父母やご両親も本園の卒園生という園児も少なくないんですよ」

Do: 歩数をパワーに変換し、成果を世界地図で視覚化する

計画当初は、タイプの異なる園児10人を選定して計測する予定だったそうですが、せっかく提供されたのだからと不足分は幼稚園が用意し、年長児76名全員に万歩計を配布。朝、登園したら真っ先に万歩計を装着させ、園にいる間の1日の歩数を測定することにしたそうです。

そこで、子どもたちが楽しく万歩計を着けられるようひと工夫。そのひとつが「1歩=1パワー」とゲームやアニメで馴染みのあるパワーへ歩数を置き換えたこと。もうひとつが視覚的に成果を確認し達成感を得られるよう、歩数を塗りつぶす世界地図を用意したことです。歩数をパワーに置き換えることを思い立った年長クラスの担任・松永陽子先生は「世界一周の速さをクラス別で競うことで集団意識も持たせ、“みんなでパワーをためよう”を合い言葉にゲーム感覚で楽しみながら身体を動かすことができました。また2010年はサッカーワールドカップの開催や、運動会で国旗を使った影響もあって、塗りつぶして行く先々の国に興味関心を抱く子も出てきたんですよ」と園児たちの様子を教えてくださいました。

Check: 万歩計を着けるとパワーが出る!と身体を動かす楽しさに覚醒。コミュニケーション深化や基礎体力向上効果も

子どもたちにとって万歩計はパワーをためる装置。天候や園外保育などのカリキュラムによるばらつきはあるものの、万歩計を装着するとパワーアップした気持ちになれるのか、全般的によく身体を動かすようになったそうです。

遊び方が活発になるに伴って友だち同士の関わりも増加。特に室内遊びが多かった女児は、万歩計がきっかけで身体を動かす遊びの面白さを知り、戸外に出るようになったといいます。

また「近頃は、病気や怪我ではないのに足を引きずるように歩く子どもが多い」(丸山園長)そうですが、万歩計は足を上げないと歩数がカウントされません。パワー(歩数)を稼ぐために自ずと足を上げて歩くようになり、それが上手に走ることにも結び付いて、運動能力を下支えする結果に。

そして“歩く=パワーアップにつながる”という認識から、万歩計を外している家庭においても「歩いて行こうよ」と子どもから提案するようになったとの報告が保護者から寄せられているほど。さらに間もなく小学校に上がる年長さんにとっては、歩いて登校する準備にもなっているのです。

Action: “歩く”効能を長期にわたって検証予定

日頃から身体を動かすのが好きな子どもは、万歩計を着けるようになってから、さらによく動いて遊ぶようになりましたが、一方で室内遊びを好む子は、友だちに誘われて外に出ても砂場で座り込んでいるケースもあり、個人差がかなり見受けられたといいます。

「今後はもう少し長いスパンで万歩計の効果を蓄積していくと同時に、身体をあまり動かしたがらない子どもたちに、運動遊びや身体を動かす楽しさを無理なく伝えるにはどうしたらいいかを探究していきたい」と、子どもたちの日常的運動習慣獲得に今後も万歩計を活用していく旨、丸山園長は話してくださいました。

(2011年2月取材)