中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2022年10月16日

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月16日(日)、2022年度第4回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。当日は体験チャレンジャーの古川愛里さん(レスリング審判員)、伊藤真凛さん(フリースタイルモーグル)、竹下航生さん(レスリング)、村上レイさん(アイスホッケー)、研究チャレンジャーの野中雄大さん、黒坂志穂さん、前大純朗さん、高橋謙也さんの8名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、衛藤隆委員、定本朋子委員、瀬戸邦弘委員、野口智博委員、増田和実委員、丸山弘道委員、吉岡伸輔委員、ヨーコ・ゼッターランド委員

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました
古里愛里(レスリング審判員)
古里愛里(レスリング審判員)

東京2020で活躍する海外の女性審判員の活躍を目の当たりにして、自分もいつかあの場に立ちたいと強く感じ、日本人女性初のオリンピック国際審判員を目指している。その実現のためには、現在の国際3級から3つのステップをクリアして国際1S級の資格を取得する必要がある。コロナ禍で国際大会が開かれず試験を受ける機会が失われてしまったが、10月に開かれるベテランズ世界選手権で国際2級の試験を受けられることになった。こうしたチャレンジの過程で、嬉しいことに国内の女性審判員の仲間が増えつつある。8月に開かれたインターハイには5名の女性審判員が参加した。ステップアップのためには、データ分析やコミュニケーションスキルのさらなる向上という課題がある。そこを高めていきたい。

野中雄大(研究)
野中雄大(研究)

各種競技大会では、連日にわたって試合が行われる。筋グリコーゲンの減少はパフォーマンスを低下させるため、高い競技力を維持するためには筋グリコーゲンを素早く回復させることが重要となる。国際スポーツ栄養学会は1時間毎におにぎり1~2個分のエネルギー摂取を推奨しているが、競技の現場では現実的ではなく、新たな筋グリコーゲン回復法の開発が必要と考える。私は高圧高酸素処置の可能性に着目し、この処置が筋グリコーゲンの回復を促進させるかを検討し、その際の細胞内シグナルについても明らかにしたいと考えている。実験動物を用いた上半期の実験では、高圧高酸素処置によって筋グリコーゲンの回復が減弱する可能性や、糖の取り込みに関わる経路を抑制させる可能性をつかむことができた。下半期では、温度に着目し、そのメカニズムの解明にチャレンジする。

伊藤真凛(フリースタイルモーグル)
伊藤真凛(フリースタイルモーグル)

オフシーズンのトレーニングは、基礎体力と筋力の向上、ジャンプの調整が中心。平日は自宅近くのジムに通って、ナショナルチームから与えられたトレーニング課題に取り組んでいる。6月からは白馬や宮城でウォータージャンプのトレーニングを開始した。ウォータージャンプと雪渓での雪上トレーニングを交互にやることによって、確認や細部のブラッシュアップができたと感じている。4か月間で50日以上、こうしたトレーニングを積みことができ、日本人女子選手では私だけしかできないフロントクロスグラブに磨きをかけた。12月にはカナダ遠征が控えている。カナダで行われる2つの大会でともに3位以内に入り、FISポイントを200以上確保することで来季のナショナルチーム入りを確定させたい。

竹下航生(レスリング)
竹下航生(レスリング)

春先に右ハムストリング坐骨付着部断裂という大きな怪我を負ってしまった。術後、まずは歩行訓練からスタートし、足に力を入れる感覚を取り戻していったが、毎日同じことの繰り返しで気が遠くなる思いだった。着替えさえ自分ではできず、まわりの皆さんに支えていただいたことを感謝したい。少しずつ激しい動きができるようになり、8月には対人でレスリングの動きができるまで回復したが、足の力はまだ8割程度で、自分の持ち味である相手へのプレッシャーが効かなくなっていることを認識した。現在は足トレに重点を置くとともに、怪我の予防に向けてストレッチに時間をかけている。11月の東日本選手権が復帰戦となる。優勝して12月の日本選手権に向けて弾みをつけたい。そしてこの半年間、支えてくれた皆さんに結果で恩返しをする。

村上レイ(アイスホッケー)
村上レイ(アイスホッケー)

昨シーズンは、NAHLのレギュラーシーズンを1位で終えてプレーオフに進出した。第1ラウンドでは昨年の優勝チームに競り勝ったが、第2ラウンドでは2勝してからの3連敗で私のジュニアリーグ初年度が終わった。その後、U20日本代表のキャンプへの参加のため帰国。この年代ではリーダーの立場でもあるので、次の世代のために世界選手権で優勝し、ディビジョンを昇格させたい。すでにアメリカに戻り、新シーズンに向けての準備が始まっている。昨年、すでにディビジョン1の大学から声をかけてもらったが、目指している大学のコミットを得るために大切なシーズンとなる。何が何でも結果を残し、NHLに向けてまた一歩前進したい。

黒坂志穂(研究)
黒坂志穂(研究)

コロナ禍により、対面による健康体操等の教室が開きにくくなり、オンデマンドやオンライン等に移行している。本研究では、オンデマンド配信型BONEプログラムの健康効果を検討するとともに、成果の見える化やコミュニケーション機能の実装により、対面型教室と同等の健康効果を発揮できるかを検討している。対面教室やオンデマンドなど4つの手法で週1回の教室を3か月間実施し、骨密度・筋硬度、内転・外転筋力、歩行速度・免疫力の測定を行ったところ、骨密度、歩行速度、免疫力で向上が見られた。今後は統計処理に進み、差の検討を行うとともに、各項目の関連性や運動形態に応じて改善できる指標を検討していく。

前大純朗(研究)
前大純朗(研究)

股関節伸展筋群の大きさは、疾走タイムと強い関係がある。筋肥大効果を高めるには、これまで全可動域でのトレーニングが推奨されてきたが、近年の研究では筋伸張位でのトレーニングによって効果が高まることが示唆されている。本チャレンジでは、両手法の比較によって、疾走パフォーマンスの改善効果を明らかにしていきたい。現在、健常な若年男女45名を対象にトレーニング介入を行い、股関節伸展筋群の筋体積、最大挙上重量、そして60m走を計測している。すでに29名に対して介入前後の測定を終えているが、肉離れや筋肉痛を起こす対象者もおり、悩ましい。3月の年間報告で良い報告ができるよう、チャレンジを続けていく。

高橋謙也(研究)
高橋謙也(研究)

これまで乳酸は、高強度運動によって体内が無酸素状態になることで産生されると考えられてきた。本研究では、休息時間の違いが、高強度インターバル運動時の骨格筋乳酸代謝に与える影響についてサラブレッドを対象に検討し、骨格筋エネルギー代謝に関する基礎的な知見を得ることを目的としている。実験では、ウォーミングアップ後、15分または2分の休息を挟みながら、100%最大酸素摂取量の速度で1分間のトレッドミル走を3回行った。この結果、インターバルの休息時間を短縮することで、乳酸を作る代謝からミトコンドリアを中心とした代謝に移行する可能性が示唆された。今後は、筋中乳酸濃度の変化とミトコンドリア量の関係を検討する予定。

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました
全員が中間報告を終えた後、チャレンジャーと審査委員で意見交換会を実施。相談や質問、それに対する意見や助言が積極的に交わされた