中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2022年10月15日

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

10月15日(土)、2022年度第3回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。当日は体験チャレンジャーの長洲百香さん(カヌースラローム)、佐々木楓杜さん(アイスホッケー)、研究チャレンジャーの松橋拓努さん、植田俊さん、山田満月さん、豊島誠也さん、阿藤聡さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、高橋義雄委員、野口智博委員、増田和実委員、村上晴香委員、吉岡伸輔委員

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました
長洲百香(カヌースラローム)
長洲百香(カヌースラローム)

昨年はジュニア日本代表に選出されたが、コロナの影響で海外遠征ができなかった。今年は6~7月にかけて欧州遠征が実現し、世界の壁や現在の自分の位置を肌で感じることができた。ECAジュニアカップでは決勝に残るなど自信につながる部分もあったが、W杯選手もいるジュニア世界選手権では大きな力の差を感じた。一方、国内大会ではシニア選手を含めたジャパンカップの第5戦で優勝するなど、一歩一歩ステップアップができていると感じている。ここまで順調に来ているが、反省点もある。欧州遠征で体調を崩し、貴重な経験を1週間も無駄にしてしまった。これから世界と戦っていく上で、同じ失敗を繰り返さないよう、コンディションの管理に今まで以上に取り組んでいく。10月後半には日本選手権、NHK杯、ジャパンカップと重要な大会が続く。シニア日本代表、パリ五輪に近づくために、これらの大会で表彰台に立つことを目標にする。

松橋拓努(研究)
松橋拓努(研究)

競技力の向上や健康行動を強化するためには、「やり抜く力」が欠かせない。しかしその一方、行動を継続する能力を高める具体的な手法は確立されていない。本チャレンジでは、行動継続性を支える神経メカニズムを理解し、その上で、当該能力を向上させる簡便な手法の確立を目指している。今春、所属研究室を東北大学に移設し、新しい環境下で脳波の測定を開始したところ、比較的きれいなデータが取得できることを確認できた。また、脳波の左右差や、「解けないパズル」の課題中の脳波の変化なども確認できている。下半期は研究室の移設に伴う計画の遅れを取り戻せるよう、データ取得を積み重ねていく。

植田俊(研究)
植田俊(研究)

視覚障害者と晴眼者の双方がもつ「障害者像」と「支援者像」の実態とその構築過程、そして障害者と健常者の新たな関係構築を果たすスポーツ実践の役割を解明するために、タンデム自転車を事例に参与観察を行っている。これまでの観察で全盲と弱視で「障害者像」や「支援者像」が異なることを理解するとともに、主体的な活動としてのタンデム体験の意義などの調べを進めてきた。今後は、支援者側からみた実践経験と障害者の受け止めの実証を進めていく。

山田満月(研究)
山田満月(研究)

Female-to-Male(FTM)におけるホルモン補充療法は、疾患のリスクを高める重大な副作用がある。本研究では、FTMを対象に運動時の脂肪酸プロファイルの整理反応を観察することで、FTMの疾病罹患リスク低下に向けた運動療法の基盤を創出したいと考えている。上半期では、FTM、男性、女性各10名の生化学検査と体組成、動脈スティフネスの測定を行い、これらの性ホルモンおよび脂質プロファイルを比較したところ、FTMのLDL-Cが男性および女性と比較して有意に高値を示す結果となった。また、運動前後の動脈スティフネスの経時的変化では、運動前後のすべての測定ポイントで女性と比較してFTMで有意に高値を示した。

豊島誠也(研究)
豊島誠也(研究)

伝統スポーツとエクストリームスポーツに共通して内在する「極限性」に注目し、伝統スポーツ継承の一助となることを目指して研究を進めている。調査の対象として長野の御柱祭、台湾のチャングー、中国のツァイガオチャオの現地調査を計画していたが、コロナ禍で渡航できず、オンラインインタビューを併用している。すでに調査を開始している御柱祭とチャングーはともに極限性を有しており、若者たちが魅力を感じ、エクストリームスポーツと捉えることに肯定的な意見もある一方、果たして伝統をうまく継承できるのかという不安も見受けられた。下半期はコロナの状況を見極めつつ、海外現地調査に向けた準備を進めていく。

阿藤聡(研究)
阿藤聡(研究)

多くの競技において、アスリートにはパワーと持久力の共存が求められる。その一方でアスリートは非常に忙しく、時間効率的なトレーニングの開発は、パフォーマンスの向上に貢献すると考えている。本チャレンジでは、従来法であるコンカレントトレーニングに代わる方策として、持久性トレーニング期とレジスタンストレーニング期に分けたピリオダイズドトレーニングにより、2種類の運動を同時に実施することによる負の影響をキャンセルできるかを検証する。着目しているのは毛細血管。実験動物を対象に筋トレ前に毛細血管を増加させておくことで、肥大応答が高まるか否かを検証していく。

佐々木颯杜(アイスホッケー)
佐々木颯杜(アイスホッケー)

5月に米国ジュニアリーグ2部のスクラントン・ナイツからドラフト1巡目指名を受けた後、U18日本代表合宿に参加するため2年ぶりに帰国した。その際に強化のためのフィードバックをもらい、オフェンス面では良い評価を受けたものの、ディフェンスやパックを持っていない時の課題を指摘された。北米に戻った後はナイツと2部NAHLのチペワ・スティールのキャンプに参加し、双方から評価を受けたが、最終的にチペワ・スティールへの入団を決意した。NAHL所属チームの900人の選手のうち、自分は2番目に若い選手となった。開幕戦では先発出場したが、タフなプレーに圧倒されて消極的になってしまった。現在、4試合出場してまだゴールはなく、第3戦の1アシストのみ。選手同士のライバル意識も高いので、毎試合ゴールに関わるプレーを続けて競争に勝ち残っていきたい。

2022年度 第16期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました
全員が中間報告を終えた後、チャレンジャーと審査委員で意見交換会を実施。相談や質問、それに対する意見や助言が積極的に交わされた