- 氏名
- 阿藤 聡(あとうさとる)
- 助成実績
-
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第18期生
毛細血管支配は運動抵抗性を克服するための標的となるか?
本チャレンジでは運動による筋肥大反応が低下すること(運動抵抗性)が知られている加齢状態に着目する。加齢に伴って骨格筋の毛細血管支配は低下することが知られているが、運動抵抗性と骨格筋毛細血管支配の因果関係は明らかになっていない。この点について実験動物をモデルとし、骨格筋毛細血管支配を改善する介入によって運動抵抗性を克服し得るか否かを明らかにすることを目指す。
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第16期生
毛細血管に着目した筋肥大効果を最大化するトレーニング方策の開発
本チャレンジはレジスタンストレーニング(RT)による筋肥大効果を増強する方策を構築することを目指し、筋内の毛細血管に着目する。申請者の予備的検討や先行研究は筋内の毛細血管支配が筋線維の大きさや運動による成長のキャパシティを規定する要因である可能性を示している。そこで、RTの開始前に血管を成長させておくことでより速やかな筋肥大が起こるか、あるいは筋肥大応答をより高めるか否かを明らかにする。
成果報告(2023年3月)
本チャレンジでは、運動による筋肥大効果を促進する方法論の構築を目的とした。具体的には実験動物を対象に、骨格筋自体ではなく筋を栄養する毛細血管に着目し、事前の毛細血管支配の改善処置が収縮による筋肥大応答を高めるか、薬剤投与による実験的検討と異なる様式の運動の組み合わせによる応用的検討の双方によって評価した。当初計画の実験では毛細血管に対する事前の成長刺激の付加がその後の筋肥大負荷に対する適応応答を増強するような期待した結果は観察出来なかった。その後、筋肥大の実験モデルを変更した検討から、事前の薬理的な毛細血管成長処置が、筋肥大刺激に対する適応応答を増強することを見出した。チャレンジ期間中に即応的な方法を示すには至らなかったものの、運動による筋肥大効果を増強し得る新たな介入候補を提案できたものと考えている。今後、具体的機序の検証を含め、より実用的な方法論の構築へ発展できるよう検討を進めたい。
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第12期生
骨格筋の核数はレジスタンス運動による筋タンパク質合成の新たな規定因子となり得るか?
レジスタンストレーニングによる筋肥大には、一回の運動によって骨格筋内で筋タンパク質合成の亢進が生じ、繰り返し行うことによって筋タンパク質の蓄積が生じることが重要であると考えられている。本チャレンジではタンパク質の鋳型となるDNAを格納すると同時にタンパク質の合成装置であるリボソームの生合成が行われる場所でもある筋細胞の「核」に着目し、運動による筋タンパク質合成の亢進における役割を明らかにする。
成果報告(2019年3月)
本チャレンジではレジスタンストレーニングによる骨格筋適応機構の一端を明らかにすることを目的とし、運動による筋肥大を含む骨格筋の調節に重要であると考えられるタンパク質合成と骨格筋細胞(筋線維)の特徴である多核性の関係性を明らかにすべく一年間のチャレンジを行った。
チャレンジ当初は骨格筋細胞(単離筋線維)でのタンパク質合成の可視化および定量的評価方法の構築に時間を費やしてしまったが、結果として非常に有用性のあるタンパク質合成の評価方法を確立することが出来たと考えている。また骨格筋細胞においてもこれまで真核生物の単核細胞において報告されてきた細胞核とタンパク質合成能力の関係性を初めて見いだした。この事は、骨格筋においてもその量およびタンパク質合成能力の調節に対して核が一定の役割を果たす可能性を示すものとなった。本チャレンジによって得られた知見は非常に基礎的ではあるものの、今後、より具体的な応用を目指し運動と骨格筋量の調節における多核性の役割を明らかにすることで、「筋核」を運動効果の最適化への新たなターゲットへ確立できる可能性を得ることが出来た。
年度別チャレンジャー一覧
助成対象者のチャレンジ概要