年度別チャレンジャー一覧

助成対象者プロフィール
阿藤 聡
氏名
阿藤 聡(あとうさとる)
所属
名古屋工業大学大学院
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第16期生
毛細血管に着目した筋肥大効果を最大化するトレーニング方策の開発

本チャレンジはレジスタンストレーニング(RT)による筋肥大効果を増強する方策を構築することを目指し、筋内の毛細血管に着目する。申請者の予備的検討や先行研究は筋内の毛細血管支配が筋線維の大きさや運動による成長のキャパシティを規定する要因である可能性を示している。そこで、RTの開始前に血管を成長させておくことでより速やかな筋肥大が起こるか、あるいは筋肥大応答をより高めるか否かを明らかにする。

スポーツチャレンジ研究助成(基本):第12期生
骨格筋の核数はレジスタンス運動による筋タンパク質合成の新たな規定因子となり得るか?

レジスタンストレーニングによる筋肥大には、一回の運動によって骨格筋内で筋タンパク質合成の亢進が生じ、繰り返し行うことによって筋タンパク質の蓄積が生じることが重要であると考えられている。本チャレンジではタンパク質の鋳型となるDNAを格納すると同時にタンパク質の合成装置であるリボソームの生合成が行われる場所でもある筋細胞の「核」に着目し、運動による筋タンパク質合成の亢進における役割を明らかにする。

成果報告(2019年3月)

本チャレンジではレジスタンストレーニングによる骨格筋適応機構の一端を明らかにすることを目的とし、運動による筋肥大を含む骨格筋の調節に重要であると考えられるタンパク質合成と骨格筋細胞(筋線維)の特徴である多核性の関係性を明らかにすべく一年間のチャレンジを行った。
チャレンジ当初は骨格筋細胞(単離筋線維)でのタンパク質合成の可視化および定量的評価方法の構築に時間を費やしてしまったが、結果として非常に有用性のあるタンパク質合成の評価方法を確立することが出来たと考えている。また骨格筋細胞においてもこれまで真核生物の単核細胞において報告されてきた細胞核とタンパク質合成能力の関係性を初めて見いだした。この事は、骨格筋においてもその量およびタンパク質合成能力の調節に対して核が一定の役割を果たす可能性を示すものとなった。本チャレンジによって得られた知見は非常に基礎的ではあるものの、今後、より具体的な応用を目指し運動と骨格筋量の調節における多核性の役割を明らかにすることで、「筋核」を運動効果の最適化への新たなターゲットへ確立できる可能性を得ることが出来た。