年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
松橋 拓努
氏名
松橋 拓努(まつはしたくと)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第16期生
脳バイオマーカにもとづいた「やり抜く力」を高めるナッジ手法の開発

本チャレンジでは,やり抜く力を高める手法の開発を目指します。行動を継続することの重要性は広く浸透していますが,当該能力を高める具体的な手法は確立していません。本申請研究では,より良い行動を自発的に促す「ナッジ」を開発し,当該手法がやり抜く力に与える影響を心理・脳科学にもとづき検討します。私は,本研究の遂行がスポーツを通じてチャレンジする方々の目標達成支援に寄与できる,と期待しています。

成果報告(2023年3月)

本チャレンジでは、ヒト脳波活動に着目しやり抜く力を高めるナッジ手法の開発を目指し研究を行った。はじめに、やり抜く力の脳バイオマーカを探索するため、解けないパズル課題を作成し、当該課題実施中の脳波を計測した。その結果、解けないパズル課題実施中は、安静時状態に比べ、シータ帯域 (4~ 8 Hz)の周波数成分が高まることを見出した。シータ帯域成分は注意制御に関連すると考えられており、解けないパズル課題のようにゴールが設定されていない課題でも、高い注意制御を要することが示唆された。続いて、サンプル数は十分ではないが、このシータ帯域の活動を再現するナッジ手法を開発している。これらの知見は、脳活動の観点から、行動継続をサポートする有益な情報を提供できるものであると考えている。今後も研究を進め,さらに有効かつ効果的なナッジ方法の確立を目指していく所存である。