中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2020年10月4日

2020年度 第14期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会を実施しました

2020年度 第14期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会

10月4日(土)、2020年度 第2回目の中間報告会を開催しました。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止を目的にリモートでの実施となりましたが、当日は体験チャレンジャーの木下凛さん(スケルトン)、増田優一さん(自転車BMX)、北川雄一朗さん(パラ卓球)、上村勇貴さん(パラ陸上)と、研究チャレンジャーの佐渡夏紀さん、田中貴大さん、一瀬星空さん、山口慶一さんの8名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動予定について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

浅見俊雄審査委員長、伊坂忠夫委員、定本朋子委員、高橋義雄委員、野口智博委員、福永哲夫委員、増田和実委員

木下凜(スケルトン)
木下凜(スケルトン)

新型コロナウイルスの影響で、すべての合宿や大会が中止または延期になってしまった。また、トレーニングや練習の拠点である大学が閉鎖されたため、室内や自宅周辺でできるトレーニングを工夫しなければならなくなった。一人でのトレーニングはモチベーションの維持が難しかったが、筋力の維持と瞬発力の向上を課題に、公園の砂場を使った立ち幅跳びや、自宅室内で土鍋やペットボトルを使って筋力トレーニングを行ってきた。その成果として、記録会では30m走やメディシンボールスローで自己ベストを更新した。10月中旬には全日本プッシュ選手権が開かれるので、必ず優勝して4連覇を成し遂げたい。

佐渡夏紀(研究)
佐渡夏紀(研究)

運動の中で起こる「動かしにくさ」に対して、身体はどこまで適応しているのか? という観点から身体の可塑性に迫るのが本研究の目的。男子短距離競技者と特定の競技種目を持たない健常な男性を対象に、MRI実験と全力疾走動作実験を計画・実施している。全力疾走動作取得実験の準備として、即時フィードバック&信号機録画可能な無線光電管システムを作成した。第3四半期の前半には両実験をともに終え、年度末にはデータの取得と分析を完了するスケジュールで進めている。

増田優一(自転車BMX)
増田優一(自転車BMX)

コロナの影響で国内外のレースのキャンセルが相次ぎ、4月以降、まったくレースに出場できていない。不安や戸惑いもあったが、自粛期間はジムで筋力トレーニングに励んで過ごした。毎月2回、パーソナルトレーナーの指導も受けており、スクワットやパワークリーンで成果を感じている。また課題として持っていたスタート練習ではタイム計測を行っており、こちらも短縮できている。ただ、5月にはトレーニング中に腰を痛めてしまうトラブルがあった。パーソナルトレーナーによるとウエイトトレーニングのフォームに問題があり、これが原因となったことは間違いない。10月末には地元・大阪で全日本選手権が開かれ、五輪代表選手も出場する。エリートクラスに昇格して1年目のルーキーだが、表彰台を目指していく。

田中貴大(研究)
田中貴大(研究)

本研究の目的は、水中ドルフィンキックで優れたパフォーマンスを生み出す「うねりの連動性を明らかにする」こと。水の流れを可視化し、身体に作用する流体力を算出することで、速く泳ぐための推進メカニズムの解明が可能だと考えている。つまり、ヒトがイルカのように泳ぐためのメカニズムを明らかにしたいということ。上半期では、予備実験と競泳選手のデータ取得、シミュレーション手法の学習モデルの構築を予定していたが、選手のデータ取得のみできなかった。今後、これをスライドして実施していくとともに、並行して流体シミュレーションも進めていく。年度末には英文誌に論文を投稿する計画。

北川雄一朗(パラ卓球)
北川雄一朗(パラ卓球)

相次いで大会が中止となったことから、大会と並行してはできない道具の精度アップに取り組んだ。その一つが車椅子のモディファイ。キャンバー角、車軸位置、背もたれの高さ、タイヤ幅などに変更を加えて一定期間テストをしてみたが、それぞれメリットもあればデメリットもあった。良いものだけを取り入れて8月までに仕様を決めた。またラケットのラバーの変更にもトライした。ピッチの高速化を狙ってより硬いものを試したが、球が安定せずオーバーミスが格段に増えてしまったため、こちらは元のラバーに戻すことにした。自宅に公式戦と同じ卓球台を導入したことも、練習の質を高めることにつながっている。技術的なところでは、自分の攻撃パターンを完成させる、サーブの回転量を上げる、この2点に取り組んでいきたい。

一瀬星空(研究)
一瀬星空(研究)

過度な脂肪の蓄積は身体のおもりとなり、身体運動能力を妨げる。一方で過度な脂肪の減少は体温維持機能の低下や月経不順などを引き起こすなど、脂肪は身体において不可欠な組織でもある。そのため、身体運動能力の向上には身体組織(筋・脂肪)を適切にコントロールする必要があると考えられる。本研究では、身体運動に適した脂肪組織の量やその分布の解明を目指す。実験では若年層の一般男女と、跳躍系選手の男女の脂肪の定量評価を行い、身体能力との関連性を検討する。また垂直跳び動作で運動能力の評価を行うことで、垂直跳びにおける脂肪の至適量や分布を探る。

上村勇貴(パラ陸上)
上村勇貴(パラ陸上)

出場を予定していた国体強化記録会、ジャパンパラ陸上が中止・延期となり非常に残念。また、緊急事態宣言の間、これまで練習をしていた陸上競技場やジムが閉鎖となり、強化の計画に大きな影響が出た。夜間に自宅周辺を走ったり、助成金で購入した機器で体幹トレーニングをしたりして、どうにかカバーしてきた。9月には健常者の大会に出場し、これが11か月ぶりのレースだった。健常者に混じって5位に入れたことは自信になる。次のレースは10月中旬の日本ID陸上。800m一本に絞って、ここでは記録を狙いたい。現在のところ良いコンディションを維持しているので、2分を切る走りをしたい。

山口慶一(研究)
山口慶一(研究)

先行研究では、低酸素トレーニングや暑熱環境でのトレーニングがスプリント能力の向上に有効であるとされている。ならば低酸素環境と暑熱環境を併用すれば、さらに大きなトレーニング効果が得られるのではないか? というのが私の発想。暑熱・低酸素環境でのスプリングトレーニングの効果と、低酸素環境でのトレーニングの効果を比較することでその仮説を明らかにしていきたい。これから始める実験では、カヌー競技者20名を低酸素群と暑熱・低酸素群に分類し、週3回・2週間のトレーニングを実施する。コロナ感染予防や、被験者の体調管理に十分な対応をしながら実験を進めていきたい。