中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2021年10月23日

2021年度 第15期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

2021年度 第15期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会

10月23日(土)、2021年度第3回目の中間報告会を開催しました。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止を目的にリモートでの実施となりましたが、当日は体験チャレンジャーの佐々木颯杜さん(アイスホッケー)、山本草太さん(フィギュアスケート)、名草慧さん(ハンググライダー)、金澤野愛(スノーボード・アルペン)、研究チャレンジャーの関口泰樹さん、塚本敏人さん、中井琢さん、前大純朗さんの8名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、草加浩平委員、定本朋子委員、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、野口智博委員、増田和実委員、ヨーコ・ゼッターランド委員

佐々木颯杜(アイスホッケー)
佐々木颯杜(アイスホッケー)

ロックダウンのため、春先に学校や寮が閉鎖された。それまで校内リーグでは11ポイントをあげてトップだったが、これもシーズン途中で打ち切られた。授業がオンラインに切り替えられたため、トレーニング環境を求めてノバシコスア州やケベック州のチームメイト宅にホームステイした。8月にはU18日本代表のセレクトキャンプに招集されたが、移動リスクを考慮して参加を断念した。新学期に入り、各国から新しい選手たちが入学してきた。こうした選手たちとともにトライアウトを受け、今年もHEO U18AAAにエントリーすることになった。今シーズンは今後の進路に大きく影響する。3試合で9ポイントと良いスタートが切れたが、課題を克服しながらしっかり結果を残していきたい。

関口泰樹(研究)
関口泰樹(研究)

脱水による運動パフォーマンスの低下は知られているが、私は喉の渇きが単独でパフォーマンスに影響を与えると考えている。これまでは摂取量のみに視点が集まっていたが、水分摂取の最適な頻度やタイミングなどを解き明かせば、たとえばマラソン競技の終盤に喉を潤すことでラストスパートにつなげるといった方法を示すことができると考える。この夏、コネチカットからテキサス大学に移った。実験の準備はほぼ完了し、現在はプロトコルの精度アップに取り組んでいる。

山本草太(フィギュアスケート)
山本草太(フィギュアスケート)

男子フィギュアスケートを戦い抜くためには4回転ジャンプが不可欠。私はまだこのジャンプに安定感が欠けており、シーズンオフの約半年間、自分で映像を撮りながら繰り返しトレーニングした。またこの時期、トップスケーターとともにアイスショーに参加して成長のために良い刺激を蓄えることができた。7月にはコーチを変更する大きな決断をした。移籍後すぐにショート、フリーともに新しいプログラムに取り組み、素晴らしいものに仕上がりつつある。あとはやはり4回転ジャンプ成功の確率と質を上げていくことに尽きると思う。これからジャパンオープンやスケートカナダなど、大事な大会が続く。年末の全日本で世界選手権やオリンピックへの切符を目指し、全力で取り組んでいく。

塚本敏人(研究)
塚本敏人(研究)

私はサッカーの経験を持つが、サッカーに限らず各種競技の終盤にはスコアが動きやすいという傾向がある。これは試合中、常に頭を働かせている選手に認知疲労が起こり、状況判断能力が低下するからと考えている。この仮説の検証に取り組んでおり、これまでの実験により「認知ストレスが加わると運動時の抑制機能が低下する」といったことが明らかになっている。今後は「運動前のココア摂取で運動中の状況判断農威力が改善する」という仮説をもとに検証を進め、競技の現場にフィードバックできるよう取り組んでいく。

名草慧(ハンググライダー)
名草慧(ハンググライダー)

私の目標は、アジア人初のハンググライダー世界チャンピオン。気象条件の良い6月までに、岡山、兵庫、鳥取、岐阜に遠征を行い、最高高度2,400m・総飛行距離75kmとフライトを重ねた。コロナ禍で世界選手権が中止となった夏場には、新しい機体を受け取り、また日本代表選手と模擬レースを行ったりした。この中で「弱い上昇気流を捉えること」が課題として浮かび上がり、自宅で筋力トレーニングも重ねた。唯一開催された日本選手権の足尾山大会で2連覇を達成したが、国際大会に出場できなかったため世界ランキングは59位まで落ちてしまった。現在、グライダーのメーカーがあるメキシコ遠征を計画中。世界ランキング上位の選手とフライトしたいと考えている。

中井琢(研究)
中井琢(研究)

東北大学に設立されたバイオバンクTMMには、宮城・岩手両県の14万人のゲノムデータが蓄積されている。私は、スポーツ関連遺伝子多型の機械学習によって日本人集団の遺伝的特徴を決定し、ゲノムデータに基づく個別化されたトレーニング法の開発に活用していきたいと考えている。現在、SNPパターンの網羅的解析と次元圧縮解析を進めている。下半期にはToMMoデータと紐づけすることで亜集団の特徴を決定し、個別化トレーニング法開発のためのゲノムデータベースを作成する。

金澤野愛(スノーボード・アルペン)
金澤野愛(スノーボード・アルペン)

昨シーズンは、出場した国内大会すべてで優勝することができた一方、急きょ出場したジュニア世界選手権では26位と成績を残すことができなかった。4月から中京大学に進学し、志賀高原で同年代のトップ選手との合同トレーニングを行うなど、前シーズンの課題の克服に取り組んだ。夏場以降はサマーゲレンデでのトレーニングに加え、トレーナーの指導の下で筋力トレーニングやSUPにも取り組んでいる。間もなく開幕するシーズンには、北京オリンピックも開かれる。目標達成に向けてチャレンジを加速させていきたい。

前大純朗(研究)
前大純朗(研究)

発揮可能な筋力は関節の角度によって変わる。私は、トレーニングによる筋肥大を促すうえで、最も適切で、効果を生み出す関節角度を明らかにしたいと考えている。すでにトレーニング介入という手法で実験が進んでおり、これまでのところ、外側広筋、内側広筋、大腿直筋のすべてで至適条件よりも伸長位条件のトレーニングのほうが低酸素状態になるという結果が出ている。今後はMRI、筋力、筋酸素動態の解析を行い、論文執筆を進めていく。