中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2021年10月3日

2021年度 第15期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会を実施しました

2021年度 第15期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会

10月3日(日)、2021年度第2回目の中間報告会を開催しました。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止を目的にリモートでの実施となりましたが、当日は体験チャレンジャーの竹下航生さん(レスリング)、上村勇貴さん(パラ陸上)、佐藤姫夏さん(トライアスロン)、研究チャレンジャーの中山滉一さん、小沼憲吾さん、上杉杏さん、前道俊宏さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、景山一郎委員、川上泰雄委員、小島智子委員、定本朋子委員、瀬戸邦弘委員、高橋義雄委員、野口智博委員、増田和実委員、村上晴香委員、ヨーコ・ゼッターランド委員、吉岡伸輔委員

中山滉一(研究)
中山滉一(研究)

疾走能力は競技パフォーマンスを左右する能力の一つ。しかし、最大疾走速度を高めるトレーニング方法は確立されていない。トーイングや下り坂、追い風などを利用したアシステッド・トレーニングで高い加速や超最大速度を体感することが有効とされているが、私は下り坂走に着目し、斜度により得られるトレーニング効果が異なるものと考えている。すでに計画していた実験は完了したが、その中で「ピッチが増大した」「脚の軌道が変わった」などの内省があり、現在分析を進めている。

竹下航生(レスリング)
竹下航生(レスリング)

コロナの影響で上半期は試合ができなかった。その期間を利用して課題の一つであるグランド(寝技)の強化に取り組んだ。まず行ったのは、デッドリフトやゴムチューブを使ったジャンプなどで下半身を強化すること。またグランドでの攻防についても反復を重ねた。グランドでの攻防が強化されれば、試合全体の流れも変わってくると考えている。東京オリンピック2020では、ボランティアとして五輪会場の空気を体験することができた。これまで体験したどんな国際大会とも違い、4年に一度の重みを実感した。日本男子グレコは金メダルを獲れなかったが、「パリで自分が金を獲る」とあらためて決意を固めた。

小沼憲吾(研究)
小沼憲吾(研究)

野球選手に頻発する肘障害(肘関節内側側副靭帯損傷)を減らしたいという思いから、筋がどれだけ肘を守ることができるのかを研究している。肘障害のメカニズムを明らかにし、予防開発へとつなげていきたい。4~6月にかけて男子大学生20人を対象に実験を実施し、その後、データ解析と日本体育・スポーツ・健康学会で発表を行った。10月からは論文執筆とともに、野球選手を対象とした実験を実施していく。

上村勇貴(パラ陸上)
上村勇貴(パラ陸上)

陸上男子800mで、自己の持つWPAアジア記録の更新と、次の世界選手権でのメダル獲得を目指している。今シーズンも各種パラ大会や健常者の記録会に出場・参加している。東京パラリンピックのテスト大会では400mで優勝した。パラリンピック本大会には知的障害の800mがなかったため出場できなかったが、新国立競技場を走れたことが嬉しかった。また、オリンピックとパラリンピックの両大会で聖火ランナーを務めた。両方を走ったのは、女優の石原さとみさんと私だけと教えてもらい、非常に光栄に思った。また、尾崎コーチと出会い、指導を受けられるようになったことや、広島大学陸上部の合宿に参加できたことも大きな刺激。これらを糧に、伸び悩んでいる記録をさらに伸ばしていきたい。

佐藤姫夏(トライアスロン)
佐藤姫夏(トライアスロン)

たくさんの実戦を経験するため、関東選手権、東京都選手権、東日本学生選手権などに出場した。東日本学生選手権ではバイクパートで初めての落車を経験したが、得意のランにつなげて優勝することができた。また記録会にも多数参加し、日本選手権への出場を確定した。8月には日本トライアスロン連合が主催するアスリートパスウェイ推進チーム・リージョナル育成事業に参加して、同世代のライバルと切磋琢磨することで新たなモチベーションをつかむことができた。10月23日の日本選手権では8位以内を目指し、目標とする2028年ロス五輪につなげていきたい。

上杉杏(研究)
上杉杏(研究)

幼児期から学童期の子どもを持つ親の「SDGs認知度」と、「子どもとのアウトドアレジャー参加」への制約要因について、日本とタイの類似・相違点について比較検討している。これら2つのパラメーターが、子どもとのアウトドアレジャーにどのような影響を与えているのかを探っていきたい。研究Ⅰでは、北海道とナコンパトム県の親に対して調査を行った。分析はこれからだが、SDGsについて認知している親ほど、子どもとのアウトドアレジャー活動への参加頻度が高い傾向が見て取れる。これから研究Ⅱを進めていくため10月に帰国する。石川県でのフィールドワークなどを行い、年内に論文を投稿する計画。

前道俊宏(研究)
前道俊宏(研究)

人間生体における踵部脂肪体の形態的・力学的特性を明らかにすることを目的に、荷重の変化に着目した超音波研究を進めている。ここまでの研究で、踵部脂肪体の深層と浅層で設置時に異なる変化を呈する可能性があることや、深層の形態的・力学的な変化が踵痛の誘発因子となる可能性があることなどが示唆されている。現在は加齢による変化や、柔道・アメフト・水泳など競技種目別の比較、またバトミントンを題材に継続による変化などの測定や解析を進めている。