中間報告会

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2019年10月5日

2019年度 第13期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

2019年度 第13期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会

10月5日(土)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)にて2019年度 第4回目となる中間報告会実施しました。今回は、体験チャレンジャーの北川雄一朗さん(卓球・障害者スポーツ/選手)、篠原輝利さん(自転車ロードレース/選手)、中井彩子さん(自転車ロードレース/選手)、増田優一さん(自転車BMXレース/選手)、村田希空さん(スノーボード・アルペン/選手)、研究チャレンジャーの池戸葵さん、岩田理沙さん、木村新さん、双見京介さん、堀居直希さんの10名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動予定について発表しました。

参加いただいた審査委員

浅見俊雄委員長、伊坂忠夫委員、衞藤隆委員、北川薫委員、草加浩平委員、定本朋子委員、高橋義雄委員、野口智博委員、福永哲夫委員、ヨーコ ゼッターランド委員(五十音順)


篠原輝利さん(選手)

上半期は、全日本選手権U17のタイムトライアル、ロードレースのダブル優勝と、7〜9月に渡仏し、来年に向けてレベルアップをすべくトレーニングやレース内容を改善することを目標に活動し、常に高いモチベーションで過ごすことができました。活動の結果ですが、全日本選手権U17のタイムトライアルでは優勝できましたが、本命としていたロードレースでは7位という結果となりました。フランスでの活動は、USSA Pavilly Barentinに所属し、エースとして19レースに参戦し5勝することができ、来年、再来年の契約を結んでもらえました。下半期では10月末のジャパンカップ、全国ジュニア自転車競技大会で優勝を狙います。また、冬季トレーニングとしてシクロクロスレースに参加する予定です。2020年になるとカテゴリがU19に上がり、その後、U23へと上がりますが、カテゴリが上がったときにしっかり結果が出せるよう、焦らず確実にステップアップしていきます。


双見京介さん(研究)

心身の自己制御を簡便に行える情報提示技術の開発を目的に活動しています。まず前提として、自己制御には自分の意識で操作できない自動心と自分で制御できる内省心がありますが、内省心は自動心の影響を受けうまく働かないことがわかっています。そのため、自己制御を機能させるためには自動心の制御を自分以外の力を借りて補助することが必要と考えますが、これをコンピューターで解決することが本研究の目的です。具体的には成功に条件付いた刺激を作り、それを与えると無意識にパフォーマンスが上がるということです。今回はダーツを用いて行いましたが、成功した場面で刺激を与えて条件づけを行い、次に条件づけた刺激を投げる直前に与えることでの成功率の変化を確認しましたが、結果として刺激を与えることで成功率が上昇することが示されました。そこで今後は、この実験結果の検証を進めるとともに、同じ刺激でもプラスの効果を得る人とマイナスの効果を得る人がいることから、影響の予測手法の検討や、個人ごとに影響を予測する手法の開発を継続的に行っていきます。また本研究課題に通じるものとして目の活動を低費用で常時センシングする新手法の開発にも取り組んでいます。


中井彩子さん(選手)

ロードレースは、自転車版のマラソン競技。一般道で行われ、女子の場合は約100kmの距離を多いときは100名以上で走る競技です。私は現在国際レベルを走っていますが、経験は国内・アジアレベルしかありません。しかしトップで戦い続けるには国際レベルでの経験が必要と考え、今シーズン、助成によってフランスのチームに所属し経験を積んできました。シーズンでは、前半は戦術が機能しコンスタントによい順位を獲得できましたが、5月頃からマークされ順位を落としました。シーズン後半に入り改善できたのですが、途中からメンタルの不調があり、シーズン終了を待たずに帰国を選択しました。この中で戦術面は、レース数が多いため課題を発見し、修正する機会をたくさん作れたことで成長できましたが、レース数の多さによる身体への高い負荷とともに日常のストレスも重なり、メンタルが低下していったのです。オフシーズンでは、メンタルの対策として自己管理シートの作成し客観的に状況を把握できるようにすること。そして体格の大きな海外選手にはない、自分らしい強みを探っていくことに取り組みます。


池戸葵さん(研究)

国立スポーツ科学センターの調査において、日本女子のトップアスリートの約40%が月経周期異常を有しています。月経異常はエストロゲン分泌異常によって起り、この濃度が低い人は、高い人に比べ疲労骨折発症率が高いことが示されています。さらに問題なのは、エストロゲン分泌異常は骨折治癒を損ない、競技復帰が遅れるということも報告されていることです。そこでアスリートが速やかに競技復帰できる支援の開発が必要と考え、骨折治癒過程における骨芽細胞でのエストロゲン作用を明らかにし、治療標的を解明しようと考えました。研究では、エストロゲンの欠乏処置を行ったマウスとそうでないマウスに骨折処置を行って、7・10・14日後にサンプリングを行いました。この結果、エストロゲンが欠乏していると、新しい骨の形成が少ないことがわかりました。さらに骨折治癒を遷延させる骨芽細胞の分化段階の特定を行ったところ、前骨芽細胞に対するエストロゲンの作用が重要であることが考えられました。現在は、細胞のどのような機能が損なわれているかについて検討しており、その後は、骨折治癒を遅延させる標的遺伝子の特定、標的遺伝子の機能評価を進めていきます。


木村新さん(研究)

投球動作における動作の個性に応じた関節間協調関係の解明というテーマで研究を進めており、現在はボールリリースの瞬間における手部速度の向きと大きさを精緻に調節する必要ある投球動作から、身体各関節の協調関係を明らかにすることとしました。ここまでは野球経験者4名を対象に、関節の中でどれが投球方向の手部速度に貢献しているかを確認。主に肩の内旋速度と、肘の伸展速度で手部速度を生成しており、投球動作に個性が存在しており、タイプもこの2種に分けられることがわかりました。続いて、実験で得られた各関節の動作をシャッフルして組み合わせた場合の手部速度がどうなるかを確認したところ、シャッフルしない時に比べてばらつきが増大しました。このことから関節間では手部速度のばらつきを抑えるため、関節の動作間での協調関係が存在していることが考えられます。問題としては、ここの関節間の関係性がすべて手部速度のばらつきを抑える役割を果たしているとは限らないと考えられ、今後は具体的にどの関節間の関係が手部速度のばらつきを抑えているのかについて考えていきます。


岩田理沙さん(研究)

暑いところでの運動は過度な体温の上昇を引き起こし、運動パフォーマンスを低下させることが知られています。そのためスポーツ現場では様々な身体冷却が行われてきました。本研究では持久性のパフォーマンスの改善に有効とされている運動前のプレクーリングに着目し、かつ汗腺のサイズや発汗量の少ない女性に向けた暑熱下でのコンディショニングのエビデンスが不足していることから、女性アスリートに向けたプレクーリングの有用性を検討することとしました。その中でも近年、プレクーリングの方法として着目されている氷の細かい粒子と液体が混ざったシャーベット状の飲料であるアイススラリーによる冷却に注目。暑熱環境下におけるアイススラリーのプレクーリングに性差が与える影響について検討しました。実験では、アイススラリーを接種する群と、20度の飲料を接種する群によるクロスオーバー試験を実施することとしました。ここまで予備実験を行いましたが、プレクーリングは運動開始時の体温がその後の運動継続時間に影響するため、従来の摂取方法において男女で同様の冷却効果が得られるかを検討するなど解決すべきこともありますが、10月半ばから本実験を開始する予定です。


村田希空さん(選手)

4〜9月のオフシーズンでは、ライディングフォームの確立に取り組み、上下左右のブレをなくし、重心を高く保って安定した滑りを確立するため、肋骨を左右にスライドさせる動きなどを学びました。また板を強く踏むためのパワーアップに向けてスカイテックシュミレーターを用いました。これは様々な状態を作り出し、センサーで内傾角度・圧力・ターン数を測定するマシンですが、数値を確認し分析しながら改善していきました。さらにニュージーランド遠征を行い、スカイテックシュミレーターで練習したことなどを雪上で実践するとともに、加速するためのコースどりや加速していくターンの技術を学んだほか、限界スピードの向上などに取り組みました。この後、シーズンに入りますが、国内FIS大会で1〜3位入賞することを一番の目標としながら、海外FIS大会に初参戦し、高ポイント獲得を目指します。ワールドカップに出場するには、120のFISポイントが必要です。しかしその前に日本チームに所属する必要があり、そのためには80ポイントが必要ですが、国内大会で優勝したとしても70ポイント程度しか得られないため、海外の大会に出場しなければなりません。今は活動計画を立ており、しっかりと実現できるようにがんばります。


増田優一さん(選手)

4月には海外合宿として、イギリスとオランダのワールドカップ会場で事前練習を行いました。ここでは、海外ナショナルチームと練習できたほか、トップ選手とのタイム比較などを行い、自身の強化はもちろん、大会に向けた準備ができました。国際大会ではアジア選手権のジュニアカテゴリに出場し、決勝で転倒して8位。ジュニア最後のシーズンでタイトルを狙っていただけに残念な結果となりました。ワールドカップは4戦に出場、エリートとの混走のため厳しい戦いでしたが、ジュニアでは平均してトップ10入りを達成しました。世界選手権ではジュニアの日本代表として参戦するも、悪天候に対応できず29位と課題の残る大会となりました。一方の国内では、プライベートコーチの指導を受けながらのトレーニングと大会参戦を行いました。大会では、シリーズ戦にエリートカテゴリで2戦に出場し4位と11位。全日本選手権ではジュニアで優勝し、課題の確認、トレーニングの経過チェックをするとともに、自信に繋がりました。この中で見つかった課題は、スタートとその後の漕ぎでの遅れが目立ち、明らかなパワー不足です。継続的なストレングストレーニング、コーチによる直接指導機会を増やすことで克服していきます。今後はオリンピックを見据え、スイスにあるワールドサイクリングセンターに所属し、トレーニングを積むことを目指していましたが、その選考合宿が行われることとなり応募しました。まだ書類審査の段階ですが、選考合宿に参加し所属することができれば、オリンピックへの新しい道が開てくると思います。


堀居直希さん(研究)

糖尿病患者は血糖値が高い濃度を示すだけでなく、筋量が減ったり筋力が低下することが問題視されています。これを解決する方法とし筋トレが有効とされていますが、糖尿病患者の筋は線維化・脂肪化が見られることから、筋質にも着目されるようになってきました。本研究は、運動による筋内の性ステロイドホルモン濃度の増大が、糖尿病の筋の質的な変化の向上に関与するか否かを検討するもので、糖尿病患者の筋質の向上を目指す新たな運動療法の開発とともに、将来的には怪我をしたアスリートなどへの応用も考えています。具体的な研究は、糖尿病ラットを、クライミング運動を行う群とクライミング運動とともに活性型テストステロンが合成されない抑制剤を投与した群で、筋肥大関連シグナルと筋線維化マーカーを測定し検討しました。前者は、運動を行うと筋のタンパク合成が高まってくるが、抑制剤を投与した群では合成が弱まることが示され、運動により筋内の性ステロイドホルモンの増大は筋肥大関連シグナルの亢進に関与するという結果となりました。筋の線維化マーカーの検討では、抑制剤を投与してもマーカーに変化は見られず、運動による筋内の性ステロイドホルモンの増大はマーカーの抑制に関与しないという結果となりました。今後は筋内の脂肪分解の様々なマーカーを検討していく予定です。


北川雄一朗さん(選手)

僕の目標は車いす卓球でパラリンピックに出場することですが、それを達成するための短期目標として掲げたのが、11月に行われる国際クラス別パラ卓球選手権でベスト4以上になることです。同時に、ベスト8に入れば海外遠征のメンバーに入ることができるため、そこに入ることが最低限の目標となります。これに向けて、車いす選手との練習機会を増やすため、夏休みを利用し大阪へ8回の遠征を行いました。そこでは技術や用具のアドバイスを頂いたり、様々なクラスの選手と練習し、特に用具については、回転量を増やせるラバーの採用、柄の長さを1.5cm長くする改良に至りました。また自宅に卓球室を作り、毎日練習ができるようになったほか、同じクラスの選手が遠征に来てくれるようになりました。大会の出場結果としては、東海大会で個人ベスト8、団体3位。のじぎく大会は3位。ジャパンオープンでは1勝2敗で決勝リーグには進めませんでしたが、様々な課題が見えてきました。例えば、サイドに振られ続けると届く球でも対応できなくなるため、車いすの両ブレーキを外しチェアワークを意識することとしました。またピッチ第一のスタイルから回転量も意識したスタイルの習得にも励みました。このほか、健常者の大会に出場するなどパラ卓球を知ってもらう活動を行ったり、遠征や合宿など両親の助けを借りず、一人で参加するというチャレンジも行っています。11月末の国際クラス別パラ卓球選手権まであとわずかとなりました。しっかりと準備を整え、目標達成に挑みます。


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