
プロフェッショナルレフェリーを選択した理由
YMFS今回、ヤマハ発動機スポーツ振興財団は、女性の審判としてこれから活躍が期待される山下さんの活動を評価し、賞の授与を決定しました。その後、日本、そしてアジアから初めて女性としてワールドカップの審判団に招聘されたり、日本サッカー史上初めて女性のプロフェッショナルレフェリーに任命されました。西村さんはこの一連の流れをどんなふうに受け止めておられますか?
西村「スポーツを支える人」という枠の中の女性にフォーカスしていただけたことは、とても嬉しかったですね。これまでの女子サッカー界における女性の活躍の流れは、ここにきて大きく変わってきていると思います。プレーヤーだけでなく審判員の分野でも、女性が活躍する価値をより高く評価する動きがあると思います。
YMFS山下さんは今回プロフェッショナルレフェリーになることを選択されました。プロとしてやっていこうと決めた理由はなんだったんですか?
山下一番の理由は、女性審判員の可能性を広げたい、ということでした。一人でも女性のプロフェッショナルの審判が誕生すれば、その後の可能性がもっと広がるのではないかと。WEリーグの誕生によって、いまようやく女性でもプロサッカー選手になれるという環境ができてきました。じゃあそれなら、審判員もプロを目指してやっていけるんじゃないか、そんな夢を見られるようになれば本当に嬉しいことです。私の決断が次につながっていくんではないかと。
YMFSちなみに西村さんがプロになろうと決めた理由はなんだったんですか?
西村僕自身は審判を始めた時、まだプロのレフェリーは存在していなかったんです。なので、僕はプロ審判になろうと思って審判を始めていません。それが急にプロ審判員という制度が生まれ、僕はプロ発足3年目でプロになるんですけれど、僕にそんな役目が務まるのか?という不安感しかなかったですね。プロフェッショナルレフェリーというのは実績があるからなれると思われがちなのですが、実はそうではなくて、日本サッカー協会がその時々に、このレフェリーは将来の日本サッカーの発展に貢献してもらえるのではないか、という観点から声が掛かるものなんです。これってひとつのご縁なんですよね。日本サッカー協会がその人の技能、人間性、未来、そういうところを総合的に判断し、プロフェッショナルレフェリーとしての活動を打診されるのです。
山下責任というものは、ほんとうにあると思います。プロフェッショナルレフェリーという名前がつく、それだけでも責任がついてきますから。
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