中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2023年10月15日

2023年度 第17期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会を実施しました

2023年度 第17期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会を実施しました

10月15日(日)、2023年度第2回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。当日は体験チャレンジャーの長瀬凛乃さん(フェンシング/フルーレ)、金澤野愛さん(スノーボードアルペン)、大島朱莉さん(ウインドサーフィン)、伊藤真凛さん(フリースタイルスキー モーグル)、研究チャレンジャーの植田俊さん、阿部衛さん、前大純朗さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、瀬戸邦弘委員、野口 智博委員、増田和実委員、村田 亙委員

2023年度 第17期生スポーツチャレンジ助成 第2回中間報告会を実施しました
植田俊(研究)
植田俊(研究)

視覚を用いずスポーツを「みる」楽しみを享受できる方法としての“スポーツ・ソーシャル・ビュー”の開発を目指している。それを実現するためには、視覚障害者がこれまでどんな方法でスポーツを観戦してきたのか、また観戦のために集めた情報がどんなスポーツ・イメージを構築しているのかを解明する必要がある。私は聞き取り調査と再現・観察による実態把握、現場での実践的検証によってこれらを明らかにしたいと考えている。ここまでの活動で、実況や解説の工夫などによって「みる」楽しみを享受できるポイントをつかむことができた。今後はさらに、中継では語られない部分のどこを語ると有効か、中継のない競技をいかに実現するか等を課題に研究を進めていく。

長瀬凛乃(フェンシング/フルーレ)
長瀬凛乃(フェンシング/フルーレ)

2023年は国内シニアの大会でベスト8以上、ジュニア世界選手権での表彰台、シニアワールドカップでベスト32などを目標に置いて活動をスタートした。ここまで4月の世界ジュニア選手権では個人戦11位・団体戦5位、国内のランキングマッチではベスト8とベスト16という結果だが、手応えはつかんでいる。一方、ここからさらに前進するためには目標を引き上げることが重要と感じ、さらに一段高い目標を立て、そこに向かっていく心構えと改善すべき課題を整理した。ナショナルトレーニングセンターや強豪大学に出向いての練習などを積み重ね、新たに立てた目標にチャレンジしていきたい。2024年のジュニア世界選手権では表彰台に立てるよう、まずは各大会で結果を残して代表入りを果たしていく。

金澤野愛(スノーボードアルペン)
金澤野愛(スノーボードアルペン)

4月上旬にヨーロッパ遠征から帰国したが、今年は雪解けが早く、自分の中で大切にしていた春のゲート練習ができなかった。しかし、頭を切り替え、この時期はスノーボードの基礎能力を上げるためにフリースタイルに取り組んだ。7月からはサマーゲレンデで練習を開始した。夏の時期は海外の雪が残る地域で練習する選手も多いが、反面、負担も大きい。私は国内での練習を選択したが、営業時間終了後のサマーゲレンデをお借りできたことは、今後のトレーニング環境を考えても非常に大きいと感じている。また夏場に全日本スキー連盟による代表トレーニング合宿が2回行われ、フィジカル測定や陸上トレーニングを行った。例年はシーズン中にしか集まらない同世代のライバルとのトレーニングは大きな刺激にもなった。2026年の冬季オリンピックを見据えて、今シーズンはワールドカップに出場できるような結果を求めていく。

阿部衛(研究)
阿部衛(研究)

競技祭などの競技文化について、これまで古代ギリシア時代が最盛期とされ、ローマ時代の競技祭は軽視されてきた。しかし実際はローマ時代にも帝国各地で競技祭が開かれていた。私はローマ帝政前期における運動競技祭における社会的意義を、競技と人々の関係性に着目して解明したいと考えている。このため7月下旬から9月上旬にかけて、ロンドン大学西洋古典学研究図書館と、ユニバーシティ・コレッジ・ロンドン図書館で資料調査を行った。この結果、ローマやネアポリスの競技祭が伝統的な主要競技祭と並ぶ存在で認知されていたことや、地中海世界各地から選手がイタリアに集まっていたことなどを再確認することができた。今後は2006年に発見されたハドリアヌスの書簡を活用し、競技祭の日程と選手の移動について研究を進めていく。競技者の実力に合わせて競技祭の選択が可能だったことが明らかになれば、競技文化の裾野の広がりの証左となるのではないかと考えている。

大島朱莉(ウインドサーフィン)
大島朱莉(ウインドサーフィン)

パリ五輪からオリンピック競技となるIQFOILで2028年ロス五輪に出場し、2032年ブリスベン五輪でのメダル獲得を目標にしている。今年のJOCジュニアオリンピックカップでは悔しい2位だったが、JWAプロツアーの浜名湖カップではオープンとジュニアの2クラスでW優勝することができた。現在は技術とフィジカルの両面で自分の課題を洗い出し、その改善に向けて取り組んでいる。たとえばボードのふらつきや利き手・利き足による左右の違いなどについては、体幹トレーニングや下半身強化を行うことで、少しずつフォームが安定するようになってきた。スペインで開かれる2023ユース&ジュニア世界選手権では、全参加者の中で上位40%を目指したい。2024年のU17世界選手権で上位30%、2026年のU19で上位10%と、明確な目標をもって強化に取り組んでいくことで、一歩一歩オリンピックでのメダル獲得に近づいていきたい。

前大純朗(研究)
前大純朗(研究)

筋肥大効果を期待するトレーニングには、大きく分けて単関節運動と多関節運動の二つがある。その代表的な例は、単関節運動のニーエクステンション、多関節運動のスクワットなど。私はそれぞれの効果の違いと、その相乗効果について研究している。実験は健常成人40人に対して単関節運動(ニーエクステンション)のみ、多関節運動(レッグプレス)のみ、またその両方を同日または別日に実施し、介入前後の筋体積、1RM、運動中の筋電図を取得している。現在、9人の計測を終え、大腿四頭筋の筋体積の変化を分析している段階。年度末の成果報告会では、YMFS体験チャレンジャーの皆さんのチャレンジにも貢献できるような報告をしたい。