ツルのひとりごと(コラム)

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ツルのひとりごと(コラム)

Vol.20 この道一筋!? それとも・・・

「この道一筋」という言葉は、人生の生き方、進み方として多くの人、特に日本人に支持されている言葉のような気がしている。YMFSのチャレンジャーも、何かの目標に向かってチャレンジし続けている人たちも、自分の志す「この道」をさらに奥深くまで、あるいは先人が切り拓いた道のさらに未知の先まで進もうとしている人たちだろう。

しかし、「この道」だけでなく、「その道」も「あの道」も、「広い道」も「曲がりくねった細い道」も、進むべき道は一つだけでなくいくつもあるのだろう。それまで先の開けた道を進んでいたのに別の道を選択して、これまで以上のチャレンジを続けているいい例が、YMFSのチャレンジャー10、11期生の辻沙絵さんだ。

生まれつき右手のひじから先が欠損しているという不利な条件を持ちながら、小学校からハンドボールをはじめ、高校は茨城県水海道二高で活躍して総体で8位に入賞し、国体にも出場する。日体大に推薦で入学して健常者の中でハンドボールを続けるが、大学でのパラアスリート発掘の一環としての運動適性検査で、スプリント能力に優れていることが分かったことで、陸上競技への転向を奨められて、短距離種目に転向する。その1年半後にリオ・パラリンピックの代表に選ばれて、陸上競技の100m、200mでは7位入賞、400mで銅を獲得した。

日体大で適性が見いだされなければ、ハンドボールを続けて、オリンピック選手を夢見てもその道は非常に険しかっただろう。もちろんその道一筋に進むのも一つの生き(行き)方だが、より自分に合った道が見いだされたことによって、リオでの銅、そしてさらに先の輝かしい道を進めることになった。東京パラでは、短距離3種目とリレーでの金を含むメダルへの道が開けたことになる。

もちろんまだ決して開けた平坦な道ではなく、険しい道を自分で切り開いていかなければならないが、彼女なら必ず自分の努力で、そしてコーチをはじめ多くの人のサポートで、その道を切り拓いて栄光をつかんでくれることと確信している。私たちYMFSのメンバーも、強力なサポーターとして応援し続けていく。

私も、YMFSの若いチャレンジャーたちなど多くの人からパワーをもらいながら、まだこれから先の天国か地獄か行く先はわからないが、未知へのささやかなチャレンジを続けるつもりだ。ただし一筋の道というより、気の向くままにあの道この道と楽しんでいきたいと思っている。ただ、道には迷わないようにしないと、スマホは持っていないので迷い続けなければならなくなるだろう。これは、YMFSのチャレンジャーたちの会で、「壁に突き当たったら、道に迷ったら」というテーマで議論した時、私が最後に「壁に当たったら突き破れ、道に迷ったらスマホに聞け」といったことからのことだ。

(このコラムは、平成29年3月に発行したYMFSスポーツチャレンジ助成会報誌Do the Challenge Vol.18に掲載された内容を転載したものです。)


 

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