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けがなんかに負けていられない


清水 小百合

氏名 清水 小百合
競技名 スピードスケート/選手

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けがなんかに負けていられない
~大きな目標に向かって新たなスタート!〜

アスリートにとって、けがは競技生活に大きなダメージを与え、最悪そのスポーツを断念させられることも多い。そんなアクシデントに遭遇しながらも、「オリンピックに挑戦したい」という強い信念を支えに、更なるステップアップを目指しているのがスピードスケート・ショートトラック競技の清水小百合さん(18歳)。
ことし4月、短いシーズンオフを過ごし、さあこれから始動という時にアクシデントが清水さんを襲った。練習を再開して2週間ほどたったころ、腰部の激しい痛みと下半身がしびれる症状がでて、階段を昇れないほどになった。すぐに整形外科に診てもらったところ「脊椎分離症」であると診断された。脊椎の上下関節突起部分が疲労骨折により離れてしまうものである。しかも1年ぐらい前に骨折していたとのこと。ハードなトレーニングで全身の筋肉痛は当たり前で、まさか骨折しているとは気付かなかったらしい。

医師からはスケートを続けるなんてとんでもないと告げられたが、清水さんは「絶対にやめません」と言い切った。「こんなことではやめられない。結果を出すまでは」という想いがあるからという清水さんだが、それからというもの焦りや不安、大きな挫折感で頭の中がパニックになり、泣いてばかりの日々が続いた。6歳からスケートを始め、11歳の時にショートトラックに転向。高校2年の時、練習環境などを考え浜松から名古屋の高校に転校してまで、ショートトラック一筋に打ち込んできた彼女にとってあまりにも大きな試練だった。

しかし、リハビリを始めるには時間はかからなかった。家族や周囲の励ましが清水さんの背中を強く押した。リハビリで腰回りの筋肉をつけることによって、痛みの度合いが軽くなっていくのを実感できるようになった。ウエイトトレーニング、陸上トレーニングと徐々に練習強度を上げて体力、筋力の強化に努め、8月には氷上トレーニングを開始、県合宿では自己最高ラップを記録するなど順調な回復ぶりを見せた。

1周111.12mの短い楕円トラックを、数人の選手がもつれるように滑走するショートトラック競技は「氷上の競輪」ともいわれる。スタートから1コーナーへの突入、トラックの内側に手をついての独特のコーナリングと競り合い、位置取りの駆け引き、その競技性から数々のドラマが生まれるスリリングなスポーツだ。清水さんは「トリノ五輪での荒川さんの金メダルに鳥肌がたった。スケートがここまで人々に感動を与えてくれる。あの感動がショートトラックで五輪に挑戦したいという気持ちを固めた」と語る。
トップクラスの選手になるためには「スケーティングやコーナリング技術、走力や持久力の体力面、局面ごとの負けない精神力、そして展開を読んだ一瞬の駆け引き。まだまだ大きな課題がたくさん。けがのケアはもちろん、高い意識を持って毎日の練習に取り組んでいかなくては」と表情を引き締める。

清水さんにとって今シーズンのスタートとなった「西日本ショートトラック選手権」(11月3、4日・愛知県)では得意の500mでみごと優勝、総合でも3位に入る活躍を見せ周囲の期待に応えた。先輩選手も「けがを良く乗り越えた。でも、本当の戦いはこれから。もう一ランク上でも対等に戦えるようになって欲しい」とエールを送ってくれた。そして、翌週の全日本選抜選手権(11月10、11日・福井県)では、トップクラスの選手を相手に大健闘、念願のベスト10入りを果たした。この結果、12月15、16日に台湾・台北で開催される「アジアショートトラック選手権」への切符をつかんだ。自身初の代表入りに「これからも世界のレベルを経験できるよう努力して、たくさんのことを学んで力をつけていきたい」と抱負を語る。

今シーズンは大きなけがでマイナスからのスタートを余儀なくされた清水さんだが「恵まれた練習環境を与えてくれた家族や、応援してくださる周囲の方々に本当に感謝している。今できることを精一杯がんばることで、少しでも夢の実現に近づきたい」と、高いモチベーションはますます健在だ。