[第1章]障害者スポーツ選手のキャリア調査
- 調査目的
- 調査対象
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2022年度 11名(男性5名、女性6名。先天性障害5名、中途障害6名)
- 調査結果
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- スポーツ開始の局面において、普通学校における体育や運動部活動参加の困難性が垣間見られた。特に普通学校に通学していた重度障害のある人々においては、特別支援学校に進学、もしくは転校後にスポーツと出会ったというケースが見られた。
- スポーツ開始・継続それぞれの局面で、病院やリハビリテーションセンター等の医療職や、同様の障害のある「ロールモデル」の存在が重要な役割を果たしている。幼少期から障害のある人々にとっては、「学校」での体育・スポーツとの出会い、支援者・指導者との出会いも非常に重要であると言える。
- 競技継続の局面において、多くの調査対象者が都道府県や都道府県協会からの助成を受けている。これまでの、アスリート雇用制度の拡大や競技団体のパラリンピアンに対する支援に加えて、全国障害者スポーツ大会や国内大会、国際大会を目指していく選手も対象となるなど、都道府県ごとの支援体制が拡充されている状況が示唆された。
中間総括(50人のパラアスリートのインタビュー調査から)
- 調査対象
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2019~2022年度 50名(男性37名、女性13名。)
- 障害種:切断・欠損17名、脊髄・頚髄損傷等14名、その他の肢体不自由10名、視覚障害7名、脳性麻痺2名。
- 障害程度:重度障害30名、中度障害17名、軽度障害3名。
- 障害発生時期:障害16名、後天的障害34名。
- 調査結果
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以下、7つの視点(条件)が重要であることが明らかになってきた。
- スポーツを始める前の状況(スポーツに関心があるか否か)
- 障害者スポーツに関する情報を得ている
- 障害者スポーツの場へのファーストアクセスがある
- 障害者スポーツを継続するための受け皿がある
- 継続的な障害者スポーツの場へのアクセス方法が確保されている
- 競技レベルに応じた社会的支援(家族、職場などの支援)、経済的支援(海外遠征、合宿、用具の購入など)がある
- 何らかの形で競技に対するモチベーションが維持されている(ロールモデルの存在、指導者、ライバルの存在、パラリンピックなどの大会、目標となる記録や成績など)