中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2024年10月5日

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

10月5日(土)、2024年度第1回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの弓長昇主さん(フェンシング)、野口颯さん(ウインドサーフィン)、黒山陣さん(トライアル)、出口美帆さん(セーリング)、本間美月さん(フェンシング)、伊藤真凛さん(モーグル)、研究チャレンジャーの藤森俊秀さん、竹村藍さんの8名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、小島智子委員、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、増田和実委員、村上晴香委員

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました
藤森俊秀(研究)
藤森俊秀(研究)

短距離走者などにアキレス腱断裂が起こりやすいことは知られているが、最大疾走時の筋や腱の運動は、いまだブラックボックスとなっている。私はポータブルな超音波測定具を開発することで、ヒトの身体運動の限界において、筋や腱がどのように力発揮しているのかを明らかにしたいと考えている。このため無線化した測定具を開発し、筋腱動態の撮影を行った。その過程では無線の同期化や超音波プローブの揺れなど技術的な課題もいくつかあったが、これらを克服して実験はほぼ完了している。今後はデータ処理を進めていくが、画像処理技術を用いることで効率を上げていきたいと考えている。

弓長昇主(フェンシング)
弓長昇主(フェンシング)

来年開かれるU20世界選手権での優勝を目指し、四半期ごとにテーマを設定して取り組んできた。第1四半期ではメンタルと戦術、第2四半期ではフィジカルと技術の向上に取り組んだ。しかし、大会では望んだ結果を残すことができず、戦術・メンタル・技術のすべてで見直しや向上が必要と考えている。たとえば、格下と思った相手にミステイクを起こすのは、自分の中に慢心があるからだと分析している。それを防ぐために、国内外のカテゴリーごとに試合運びのルールを作った。秋以降の大会ではそれを守りながら試合取り組んでいく。また、対戦相手のタイプを分類し、その特徴や弱点、戦術視点の対策なども整理した。まずはU20世界選手権で優勝を飾り、2028年のオリンピックにつなげていきたい。

野口颯(ウインドサーフィン)
野口颯(ウインドサーフィン)

今シーズンはU18で世界チャンピオンを獲得し、プロクラスで常時トップ32に入ることを目標にしてスタートした。現在までに4戦を消化してU18 ではランキング1位、プロクラスでもランキング18位につけている。また学業との両立もしっかりできている反面、課題の一つである筋力向上が進んでいない感覚がある。なので、大会では成績が出ているものの、全体の自己評価では10点中7点と捉えている。10月下旬にハワイで開かれる最終戦に勝てばU18の世界チャンピオンが決まる。しっかり準備して必ず優勝したい。一方でプロクラスのランキングは、慣れ親しんだ御前崎の大会の好成績が反映されたもの。ヨーロッパでの大会でもコンスタントに上位に入れるようになりたい。そのためにも、これまでのボルダリングトレーニングに加え、ウエイトトレーニングをしっかり積み上げていく。

黒山陣(トライアル)
黒山陣(トライアル)

今年デビューした国際A級スーパークラスで現在ランキング10位。ランキングを少しでも上げて、最終戦のシティトライアルJAPANへの出場権をつかみたい。トライアルは怪我の多いスポーツ。上半期は発育途上のスポーツ障害の予防対策にフォーカスして、筋力トレーニングやフォームの改善、各種のケアなどに取り組んだ。その成果も感じながら、現在、万全のコンディションで全日本シリーズに臨めている。一方で反省点もある。技術や体力だけでなく、全日本の開幕戦ではエントリーミスという、あってはならない失敗をしてしまった。書類の不備によるものだが、今後は人任せにせず、自分で何度も確認して提出するようにする。来年は世界選手権TRIAL3クラスにフル出場する計画。そのためにも全日本の後半戦で良い成績を残していきたい。

出口美帆(セーリング)
出口美帆(セーリング)

昨年のユースセーリング選手権では、技術の点で海外選手との大きな差を感じた。今年は上位60%以上の成績を目標に出場し、53人中36位という結果だった。スタートでの位置取りの悪さ、風の吹き出しの見逃しなど反省点もあるが、追い風でのスピードや丁寧なボートハンドリングなど、できたこと、通用したことも実感することができた。3年連続で出場したインターハイは、昨年が2位だっただけに今年は優勝だけを目指していたが、5位という結果に終わってしまった。環境変化等のハプニングに対する対応力、正確かつスピードのあるスタートなど課題も浮かび上がったので、下期についてはこれらを克服するための練習に取り組んでいきたい。

竹村藍(研究)
竹村藍(研究)

怪我をしたスポーツ選手はトレーニングの中断を余儀なくされる。しかし脱トレーニングは、トレーニングの効果を減弱させる。先行研究には栄養を用いた脱トレーニングの対策などがあるが、私は「環境」を用いた新しい手法でトレーニング効果の持続にチャレンジしている。具体的には、軽度な高気圧酸素に滞在することが、トレーニング効果の持続に及ぼす影響について明らかにしたいと考えている。限定的ではあるものの、現在までに高気圧酸素環境への滞在によって、足底筋において脱トレーニングによるミトコンドリア量の低下が抑制されることが確認できている。今後はヒラメ筋や足底筋における各タンパク質発現などの分析を進めていく。

本間美月(フェンシング)
本間美月(フェンシング)

上半期は、世界ジュニア選手権をはじめ、インターハイや全日本選手権など国内外の多数の大会に出場した。カテゴリーの上がった世界ジュニアでは、U17時代には感じたことのなかった体格差によるプレッシャーを強く感じた。今後、シニアのワールドカップに出場するようになるとますます体格差が顕著になると想定されるため、パリ五輪の金メダリスト加納虹輝選手の動きを参考に、下半身の筋力強化とフットワークの改善を重点課題として取り組んでいく。インターハイでは決勝の終盤に逆転されて準優勝に終わった。終盤の試合運びとメンタルの強化は大きな課題と感じている。今後はこうした課題の解消に取り組みながら、シニアランキングマッチでベスト8、ジュニアランキングマッチでの優勝を目指していく。

伊藤真凛(モーグル)
伊藤真凛(モーグル)

ワールドカップに出場できていない現在、2026年のオリンピック出場に向けてこれまでにない危機感を抱いている。現在、競技人生の中で最も重要な時期を迎えていることを繰り返し自分に言い聞かせ、春から夏にかけてのトレーニングに取り組んできた。不得意なランディングに特化した筋力トレーニング、グラブの時間をより多く確保するための空中での姿勢コントロール、またコーク720の完成度の追求などを繰り返し、確実に挽回できるところまできたと自信が持てるようになった。下期に向けては持久系のトレーニングを加え、年内には大会でもコーク720を採り入れていく。自信を持って年明けの選考会に挑めるよう、精一杯チャレンジしていく。