中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2018年10月13日

平成30年度 第12期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

平成30年度 第12期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会

10月13日(土)、御茶ノ水トライエッジカンファレンス(東京都)にて平成30年度 第4回目の中間報告会を実施しました。体験チャレンジャーの神箸渓心さん(スヌーカー/選手)、研究チャレンジャーの森田哲史さん、酒井紳さん、水野沙洸さんの4名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を報告するとともに、下半期の活動予定について発表しました。また、海外でチャレンジしている紀平梨花さん(フィギュアスケート/選手)は、ビデオレターにて発表を行いました。

参加いただいた審査委員

浅見俊雄委員長、伊坂忠夫委員、北川薫委員、杉本龍勇委員 (五十音順)

森田哲史さん(研究)
森田哲史さん(研究)

「小学校の学習指導要領が改訂され、2020年度から全面的に実施されていきます。体育授業においては、新たに投の運動を加えて指導することができるようになります。そこで先生方の力になり、引いては子どもたちの体力向上につなげて行けるような、低・中・高学年と発達の段階に応じた投の運動の具体的な指導計画の開発に取り組んでいます。
第2学年の『投の運動(遊び)』授業では、子どもが慣れている言葉と動きで投げる動作のポイントを身につけさせたり、また投射角をつけてボールを投げる必要性とゲーム性を持たせた簡単な教材を作成したり、さらにみんなで力を合わせなければ倒れないものを倒す課題を設定し、モチベーションの喚起と工夫せざるを得ない状況を構築するなど、主体的・対話的で深い学びを実戦。観察、学習カード、質問紙調査による評価から、資質・能力の三つの柱の育成が見られました。ブラッシュアップの必要はあるものの、方向性は見えてきたと思います。今後、低学年での成果が顕著なので、第1学年にて修正版の指導計画を実践していきたいと考えています」

神箸渓心さん(選手)
神箸渓心さん(選手)

「さらに高度な技術や戦術を身につけるためスヌーカーの本場イギリスに渡りました。渡英してすぐ世界選手権を観戦。プロのプレイは圧巻で、将来この場所で世界チャンピオンになるんだと強くイメージできました。アカデミーでは、プロの練習を間近で見たり、世界各国から集まる強豪選手たちと対戦。また高度な技術や戦術について毎日指導を受けました。その結果、ボールのコントロール精度やロングシュートの成功率が向上。長いこと課題であった集中力も、長時間持続してコントロールできるようになりました。
帰国して臨んだ全日本選手権では、2連覇を達成。U18世界選手権とU21世界選手権では、どちらも予選リーグを1位通過したものの、目標のベスト4には届きませんでしたが、先日の中国国内オープン戦ではベスト8とこれまでで最高の成績を収めました。
今後、強い心を身につけるため、引き続き強豪選手と緊張感ある実践練習を行ないます。また連続得点をコンスタントに出せるようポジショニングの戦術を学びます。さらに長期戦に耐えるためのフィジカルトレーニングを強化。まずは世界選手権でベスト8入りを目標とし、夢である世界チャンピオンを目指して日々努力し、世界で活躍できる選手に成長していきます」

酒井紳さん(研究)
酒井紳さん(研究)

「競泳競技は、スタート、ストローク、ターン、フィニッシュの4つの局面に分割することができます。なかでもスタート局面は、競技全体に占める割合も高く、また最高速度が達成される局面でもあることから、スタート台上動作に着目した研究が多く行われており、私もキックスタート動作時の上肢下肢の関節トルクを算出する研究を行なっています。ただし、こうした研究の多くが男子選手対象です。そこで今回、競技力の向上が非常に目覚ましい女子選手に私の研究を応用することで、パフォーマンスをさらに高められるのではないかと、女子選手の飛び出し水平速度の向上を目指した台上動作のメカニズムの解明という課題を立てました。
9月の予備実験では、分析の途中ですが、男子選手と比較して、女子選手は手で発揮する力が非常に小さいこと、また男子選手は垂直反力が台上動作の最後に非常に増加するのですが、女子選手はそのような特徴が見られず、力の発揮だけでも男子と女子選手の違いが浮かび上がりました。今後、予備実験での課題を克服して本実験を実施して分析し、フィードバック及び次の課題への検討を行ないたいと考えています」

水野沙洸さん(研究)
水野沙洸さん(研究)

「アスリートにとって疲労は競技パフォーマンス低下の要因です。そのため疲労回復を促進するさまざまなトリートメントが実施されています。中でも冷却療法は最も普及した一つです。最近、-110°から-190°の超低温環境へ身体を短時間曝露させるWhole-body cryotherapy; WBCと呼ばれる新たな冷却療法に注目が集まっています。WBCによる疲労回復促進の機序には、組織温の大幅な低下に伴って筋血流量が減少し、循環・代謝動態の変化や炎症反応が抑制され、筋機能の回復促進や筋痛の軽減に効果があると言われていますが、その有用性や疲労回復の機序はまだ十分に明らかにされていません。そこで本チャレンジでは、総ヘモグロビン量(血液量)や糖代謝を評価し、高強度運動後のWBCに伴う効果を検討します。WBCの機序や効果が解明されれば、疲労回復促進の観点から、アスリートの競技力向上のための新たな方策の提案や異なる方法と組み合わせた運動後の合理的・効率的なトリートメントの確立に結び付くと考えています。なお現在、WBCの機器に不具合が発生。安全性を優先した曝露プロトコルを再考・確認し、3月までには本試験を実施し十分なデータを掲示したいと考えております」

紀平梨花さん(選手)
紀平梨花さん(選手)

「今シーズンからカテゴリーをシニアに変更し、2022年の北京オリンピックに向けて強い土台を作ることを目指してさらなる飛躍をチャレンジの目的としました。
2017から2018シーズンでは、日本スケート連盟特別強化選手に選ばれ、ISUアジアンオープントロフィーや全日本フィギュアスケートジュニア選手権大会で優勝するなどの好成績を挙げました。その後オフシーズンに入り、プログラムの作成や4回転の習得のため4月にアメリカ、8月はスイスとアメリカへ行き、4回転トゥループを飛べるようになりました。そして今シーズンが始まり、シニアデビュー戦のオンドレイネベラトロフィーではショート、フリー、総合得点全てで自己ベストを大きく更新し優勝することができました。
今後、バレエ、ダンス、トレーニングによる体力づくりを行い、海外の選手にも負けない難度の高い演技をします。また高難度なジャンプ、多彩なスピン、軽快なステップワーク、スケーティングを習得。ショートプログラムではトリプルアクセルを、フリープログラムでは2本のトリプルアクセルを入れられるようにします。そしてメンタルも強化し、安定して高得点を出せるようにし、2022年北京オリンピックに出場して金メダル獲得を目指します」