全国児童 自然体験絵画コンテスト

自然との触れ合いを促す体験型の絵画コンテスト
 表彰式

第37回 国土交通大臣賞

第37回 国土交通大臣賞
右から国土交通省 中部地方整備局 名古屋港湾事務所 加賀谷 俊和所長、高田 奏さん、お母さまの愛弓さん、おばあさまの宮本 由美子さん、お父さまの温さん
日時2025年12月12日(金)13:30〜
受賞者高田 奏(たかだ かなで)さん
作品名カブトガニだー!!
贈呈者国土交通省 中部地方整備局 名古屋港湾事務所 加賀谷 俊和所長
第37回 国土交通大臣賞

2025年12月12日(金)、国土交通大臣賞を受賞した高田 奏さんの表彰式を奏さんが通う幼稚園のお遊戯室にて行いました。当日は、全園児を前に国土交通省 中部地方整備局 名古屋港湾事務所の加賀谷俊和所長より、奏さんへ表彰状を贈呈いただきました。

受賞作の背景には、夏の日の鮮烈な体験がありました。夏休みを利用して広島県尾道市の祖母宅へ遊びに行った際、岡山県笠岡市の「カブトガニ博物館」を訪れた奏さん。その直後、近くの海岸で「本物のカブトガニ」を発見したのです。その時の大興奮を忘れないうちに、2日ほどかけて描き上げたのが今回の作品でした。

奏さんは、「実物を見たから、カッコよく描けた。色を塗るのは難しかったけれど、いい色にできた」と誇らしそう。さらに「カブトガニはね、カニって名前だけどクモやサソリの仲間なんだよ。裏側に足がいっぱいあって、その真ん中に口があって」と、博物館で見聞きしてきた説明が止まりません。

奏さんは大の生き物好き。その探求心は、ご家族の深い理解と幼稚園の教育環境によって育まれています。「自然の多い場所で育てたい」というご両親の想いから名古屋より転居され、現在、ご自宅ではカナヘビを飼育しているそうです。
また通っている幼稚園では、近くの清水川での生き物探しや卵からの飼育観察など、実体験を重視した取り組みを大切にしています。今年7月の園の行事、夏祭りでは、水族館のように色々なおさかなや昆虫を展示し、子どもたちが解説する催しを開催。奏さんは自作のカワセミの衣装を身にまとい、カワセミ解説員を務めました。今回の表彰式でも、その思い入れのあるカワセミの衣装で臨んだほどです。

「図書館で図鑑を借りては熱心に読み込んだり、園での活動を楽しんだりする中で、年中さんの頃から生き物が大好きになりました。今の学年はみんなで生き物を極めているような雰囲気なんです」。そう話すお母さまの愛弓さん自身も、大の鳥好き。園まで徒歩3分という近さにお住まいですが、その道のりさえも親子でバードウォッチングを楽しみながら通園されているそうです。そんな奏さんの様子を知り、「それほど水辺の生き物が好きなら」と、夏休みの帰省に合わせてカブトガニ博物館へ連れて行ってくれたのが、広島から表彰式にも駆けつけてくださったおばあさまの宮本由美子さんでした。

大臣賞受賞を最初にホームページで発見した愛弓さんは、「大臣賞なんて大きな賞をいただいたこと自体、本当にびっくりしました。さらに選考委員の方から『本物がいた!という驚きが伝わってくる作品』とコメントをいただき、描きたかったことがしっかり伝わったことが何より嬉しかったですね」と語ります。お母さまから受賞の知らせを受けたおばあさまは、「やっぱり!って感じです(笑)。事前にこの作品を目にしていて、実際にカブトガニを見てびっくりしたことが伝わる出来映えねって話していましたから」と目を細めます。お父さまの温さんも「カブトガニの実物を見て、驚いた表情が本当に上手く描けていると思い、何か良いことが起きそうな予感がしていましたが、まさか大臣賞とは」と驚きと喜びを隠せません。

幼稚園でかなづちやネジを使ってイスやテーブルを作っていることもあって「大きくなったら大工さんかケーキ屋さんになりたい」と夢を話してくれた奏さん。自然との触れ合いを大切に、そして子どもの興味に合わせた活動などに積極的に取り組む幼稚園の方針と、奏さんの興味あることにトコトン寄り添うご家族の姿勢とが相乗効果となって、奏さんの可能性を大きく広げているようです。

第37回 国土交通大臣賞
「カブトガニは、恐竜がいた2億年前という遠い昔からずっと姿を変えていない生き物で、『生きた化石』と言われており、実物を見る機会は稀です。だからこそ、海岸で見つけた時の驚きは相当なものだったでしょう。その表情が実に見事に描かれていて、驚きがダイレクトに伝わってくる素晴らしい絵だと思います。今後も自然と触れ合う機会を大切にしてください」と、表彰状を授与した加賀谷所長は、奏さんの作品に温かい賛辞を贈られました
第37回 国土交通大臣賞
夏祭りの時に近所の清水川を再現したいとクラスのみんなで作成したオイカワをバックに、お友だちの前で大きな表彰状を受け取る奏さん
第37回 国土交通大臣賞
表彰式では、受賞した作品をお友だちにも披露し、「カブトガニの形や色がきれい!」「(カブトガニを見つけて)おっと!とびっくりしている声が聞こえてきそう」といった感想が寄せられた
第37回 国土交通大臣賞
「本物のカブトガニなのか、博物館の方に写真を送って確認していただいたんです」とお母さま。「30センチ近くありましたが、これほど大きな個体は普段は深海にいて、あまり岸の方には来ないのだそう。おそらく脱皮に失敗して死んでしまった個体でしょう、とのことでした。このサイズのカブトガニが身近な場所にいることは滅多にないらしく、本当に貴重な発見だったのだと驚きました」