日時 | 2024年12月19日(木)13:10〜13:50 |
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受賞者 | 佐々木 優成(ささき ゆうせい)さん |
作品名 | おなかのすいた黒マグロ |
贈呈者 | 公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団(YMFS)常務理事 河邊 幸司 |
「受賞のことは荒川先生が、クラスのみんなの前で発表してくれて知りました。みんなが拍手してくれとっても嬉しかった!」と、ハニカミながら答えてくれたのは佐々木優成さん。ご両親は優成さんから当財団のホームページを見せられ受賞を知ったそうで、「すごい!」と皆さんで話したそうですが、それもそのはず、優成さんの目標の一つがなんと「画家」ということで、大きな喜びへのつながったのです。
さて、この作品はお父様である佑介さんの故郷、対馬に行った際に、漁船でマグロの養殖場を見た時のことを描いています。作品を選んだ劔崎聖生様(農林水産省 水産庁 漁港漁場整備部 計画・海業政策課 課長補佐)が、「マグロの姿が一番力強くイキイキと描かれている」と高く評価されているように、最もよく描けたというのが「マグロの迫力」と言います。
「絵の具を飛ばして水しぶきを表現したほか、生きている魚だとわかるように目に光をつけました」。さらに、「生きているマグロと餌になる魚の色に違いを出しました」と、対比によってマグロを引き立たせる緻密な計算もその迫力を強調しているのです。
こうした作品が生まれた背景には、さまざまな理由があります。その一つが、佐々木家の子育て方法にあるようです。「体験や経験を重視して子育てをしています」というのはお母様のゆかさん。「昨年は対馬でシュノーケリングをしながら海ごみ(マイクロプラスチック)のことを学んだり、シーカヤックで無人島に行ったりしました。将来アーティスト(画家)を目指すのであれば、多感な時期にいろんなことを経験するのはとても重要だと思うので実体験の機会を作るようにしています。それはアクティビティだけでなく、美術館や博物館に行くことも然りです」
これに対して優成さんも、「いろんなところに連れていってもらえるのはすごくうれしいです。絵を描くとき、見たこと、やったことを使うことができるのでうまくなるから」と、その効果を実感しているようです。
そして今年は、作品となった養殖場で餌やり体験のほか、磯焼けを見たり、対馬の海の現状を知るという漁師さんによる体験ツアーに参加しました。「対馬にはいとこがいるので、一緒にゲームをして遊ぶことも楽しいけど、今回はこのツアーに参加してすごく楽しかったから、絵に描こうと思いました」と、ご両親の思いを受け止め、実践したことで、「オリジナリティがある」というご両親も絶賛の作品が完成したのです。
「普段はゲーマーなので、スポーツにはあまり興味がありません。ですが、もう男子だからという時代ではないし、小さい頃から絵が好きだったので自分のしたいことに邁進してほしい」とご両親。ところが、釣りも大好きで、「今度は大物を狙って船に乗り海で釣りがしたい!」とリクエストしているように、自然の中での体験・経験にも興味を持ち始めているのかもしません。
将来の目標には「画家」があると言いますが、改めて聞いてみると「画家とかイラストを描く人とか、絵に関係する仕事をやってみたい」と優成さん。これに対して佑介さんが、「自分の人生、好きなことをとことん突き詰めて自由に生きていほしい」と言えば、ゆかさんは「何になるのかではなく、自分の人生をどうしたいのか考え、未来を掴んでくれたら何より」とお話しいただきました。これからも経験・体験を通して、さまざまな作品を残していくれることが期待されます。