第16回YMFSスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティングの締めくくりとして、YMFSスポーツチャレンジ助成第16期生の修了式を開催しました。第16期生の皆さんに、木村隆昭理事長から修了証が授与されました。

修了式挨拶｜木村隆昭理事長

YMFSスポーツチャレンジ助成 第16期生の皆さん、一年間にわたる果敢なチャレンジ、お疲れ様でした。皆さんの成果報告の一つひとつを心で受け止め、その素晴らしいプロセスと成果に、あらためて敬意を表します。
コロナ禍における皆さんのチャレンジは、たくさんの困難があったことと思います。アスリートの皆さんは、日々のトレーニングや遠征もままならず、また目標としていた大会の中止や延期など、私たちの想像をはるかに超えた苦労もあったことでしょう。研究者の皆さんも同じように、何度も何度も計画の見直しをされたと聞いています。そうした環境にありながら、決してモチベーションを切らすことなく、情熱と工夫でこの一年を走り切った皆さんに、あらためて心からの拍手を送りたいと思います。
このような環境の中、第16期生の皆さんと私たちの交流も制限された、限定的なものとなりました。直接会って激励できる機会がなかったこと、それが本当に心残りです。
本日の修了式をもって皆さんはYMFSを卒業します。しかし私たちは、これからも皆さんの活躍を注視し、見守り続けたいと考えています。YMFSはOB・OGとなったチャレンジャーにも広く門戸を開いていますので、ぜひ今後のスポーツ・チャレンジャーズ・ミーティングにも、ファミリーの一員として、より大きな成果を携えてご参加ください。お待ちしています。
それでは、皆さんの新たなチャレンジと、目標の達成、夢の実現に期待して、私からの挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

講評｜伊坂忠夫審査委員長

第16期生の皆さん、本当にお疲れ様でした。皆さんのチャレンジ精神とその推進力、遂行力に心より敬意を表します。
YMFSのチャレンジャーの選考の基準の一つに、志の高さがあります。高い志を持つチャレンジャーを望んでおり、そうした人材を我々YMFSのファミリーとして迎えていきたいと考えています。
もう一つは「つながる」というキーワードです。今回は久しぶりに対面形式での開催となり、お互いが刺激し合いながら創発的な刺激の場となったことで、また新たなチャレンジを生んでいくのではなかろうか期待しています。
オリンピックミュージアムの見学は、私も非常に感激しました。私が興味を持ったのは、フランス人であるクーベルタンがイギリスに行き、ラグビー校でスポーツの活用や魅力を感じられたという話です。クーベルタンは、教育者としてスポーツの魅力について考えました。そして、1894年のヨーロッパの会議で、オリンピック復興計画を提案したのです。その後、古代オリンピアの発掘がされ、社会全体として、オリンピックについて認知が広がりました。いわば追い風が吹いたわけですが、彼はその追い風を想定していたわけではありません。高い志のある人のところには、そのようなチャンスが巡ってくるのでしょう。
似た話をもう一つ紹介します。下村脩先生は2008年にノーベル化学賞を授与されました。下村博士は、緑色蛍光タンパク質の解明の研究で受賞しています。オワンクラゲがなぜ光るのかというところに疑問に持たれ、研究をされたと聞いています。
下村博士が研究したいと考えたとき、当初、オワンクラゲを相当数集めても少ししかサンプルができなかったそうですが、偶然、日本のどこかで大量に捕獲される幸運がありました。アメリカへ行かれた際も、偶然、大量のオワンクラゲが捕獲されたそうです。ところが、その後にぱったりと捕れなくなりました。運がいい、悪いという話ではなく、志の高いところにはチャンスが巡ってくるのです。
最後にもう一つ。「三つのイエス」という話があります。アメリカのある大学での話ですが、卒業式で学長が三つの質問をしました。一つ目は、「あなたに夢はありますか」という質問です。二つ目は、「その夢を書いていますか」と質問しました。三つ目は、「その夢を達成するための具体的な方法が分かっていますか」という質問です。その三つの質問にイエスと答えられたのは、わずか3パーセントでした。
興味深いのはその20年後です。20年後の卒業生の総資産を調べたところ、97％は卒業のときに「三つのイエス」を答えた3％の人が占めていました。皆さんは、少なくとも二つ目の質問までは答えることができるでしょう。三つ目の、具体的に達成する方法を考えてもらえれば、そのような人物になれるはずです。
私たちは今後もしつこく皆さんをフォローしていきます。引き続き頑張ってください。