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【対談】遠藤謙×佐藤圭太

【対談】遠藤謙×佐藤圭太/いつか義足もメガネのように
【対談】遠藤謙×佐藤圭太

ギソクの図書館、そしてBLADE FOR ALLへ

YMFS今回の受賞は、世界一速い義足のランナーを生み出そうという遠藤さんのエンジニアとしての取り組みはもちろんですが、より多くの人にブレードを履いて走ってもらおうというムーブメントの創出に対する評価も大きかったと思います。そのきっかけになったのが、佐藤さんが何気なく口にした言葉だったとお聞きしました。

佐藤2016年の合宿中のことですよね。北海道の大樹町でしたっけ?

遠藤そう、パラリンピックリオデジャネイロ大会に向けての合宿中、大樹町で一般の人に義足を体験してもらおうというイベントをやったんです。

【対談】遠藤謙×佐藤圭太

佐藤僕にとってもそういうイベントは初めての経験でした。イベントの様子を眺めながら、まあこういうのもいいよなと思いつつも、そこに来ていたのは健常者の人ばかりだったんです。大樹町にももしかしたら義足の子がいるかもしれないし、そういう子がイベントに参加して、走れるようになったらいいのにな、ってふと思ったんです。大樹町のような小さな街に住んでいる子供たちは、特別な機会でもない限りスポーツ用義足に触れることすらないでしょうし。まあそんなことを、本当に何気なく口にしただけなんですけどね。

YMFSでもその何気ない言葉が、遠藤さんにはグサッと刺さったんですよね?

【対談】遠藤謙×佐藤圭太

遠藤ショックでしたね。それはたしかにそうだな、と。やっぱり佐藤圭太がここで練習しているのであれば、その周辺に暮らしている義足の人や車椅子の人たちとの交流があってもいいですよね。東京ではパラリンピックが開催されるということで盛り上がっているのに、そのギャップがけっこうショックでした。

YMFSそこから、誰もがスポーツに親しめるように、と「ギソクの図書館」や「BLADE FOR ALL」といった活動への取り組みが始まったんですね。

遠藤それ以前から、なにかできないかなというモヤモヤ感はあったんです。でも、どうやったらいいかわかんない、難しいよねって。せっかくオリパラが東京であるのだから、いろいろな義足メーカーがブレードを持ち寄って、ここに来れば走れる、そんな場所をみんなで作ればいいじゃん、っていうことを話したりもしましたよ。ただ、現場レベルでは盛り上がるんですけど、それぞれが会社にその話を持ち帰ったらやっぱだめでした、ってなるんです。

YMFS理想と現実がなかなかうまくかみ合わない。

遠藤そんな中、クラウドファンディングの会社をやっている女性と話をしていた時に、彼女がじゃあそれもう自分たちでクラウドファンディングを通じてやればいいんじゃないですか?ということになって。「ギソクの図書館」という素晴らしいネーミングも彼女のアイデアなんです。

【対談】遠藤謙×佐藤圭太

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