中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2024年10月13日

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月13日(日)、2024年度第4回目の中間報告会を東京・御茶ノ水ソラシティで開催しました。今回は体験チャレンジャーの小林賢弥さん(レスリング)、研究チャレンジャーの相羽枝莉子さん、萩生翔大さん、前道俊宏さん、秤谷名鷹さん、瀬戸川将さん、廣野哲也さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、片山敬章委員、草加浩平委員、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、髙橋義雄委員、野口智博委員、増田和実委員、村上晴香委員

2024年度 第18期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました
相羽枝莉子(研究)
相羽枝莉子(研究)

スポーツ現場では、感情の表出抑制に関する指導は一貫されていない。それは、競技者の表出抑制が心理やパフォーマンスにどのような影響をもたらすのか、科学的知見が不足していることに起因すると考える。本研究では、バトミントンを例に表出抑制による自他への影響を検討している。実験では心拍数や血圧により感情状態を測定し、感情を表出する選手と抑制する選手の差を比較している。年内には実験を完了し、来春の九州スポーツ心理学会にて発表を行う計画。

萩生翔大(研究)
萩生翔大(研究)

スポーツ動作の多くでは、全身を巧みに活用している。本チャレンジでは、上肢の運動制御と姿勢制御を統合的に理解する枠組みを構築し、全身運動の制御機序を明らかにしたいと考えている。ここまで、最適フィードバック制御モデルの計算原理の理解、プログラミングによるモデルの実装、立位姿勢での腕挙上運動のシミュレーション、上肢でのボールショット動作のシミュレーションなどを積み上げてきた。下半期では立位姿勢での腕挙上運動の実験、実験データとモデルとの比較、先行研究との比較、上肢/下肢の貢献度とパフォーマンスとの関係の比較へと進んでいく。

小林賢弥(レスリング)
小林賢弥(レスリング)

4月のJOCジュニアオリンピックカップでの優勝に向けて、体力強化と得点力の強化に取り組んだ。しかし、相手のタックルをかわしきれずにベスト8で敗退してしまった。これを反省点として、8月のインターハイでの優勝を目指し、個別指導でタックルスピードの向上、基本姿勢の修正、前に出続ける組手を重点的に鍛えた。しかし、タックルを警戒されたことや、団体戦を含めて4日間戦う体力がなかったことなどが原因でやはりベスト8に終わってしまった。一方で、近畿高校選手権の学校対抗戦で48年ぶりの優勝を果たすなど嬉しいこともあった。下半期も大切な大会が続くが、すべての大会で優勝を目指しトレーニングを重ねていく。

前道俊宏(研究)
前道俊宏(研究)

踵部痛は、運動意欲の低下、活動時間の減少やQOLの低下、運動機能・感覚機能の低下などをもたらす危険があるが、直接的な原因はいまだ明らかにされていない。私は踵部痛の病態解明に向けて、組織及び超音波画像による弾性機能評価、組織成分評価などを進めている。どの部位にどんな組織が存在するのか、その組織はどのような構造をしているのかという両方を見ていくことで、組織ごとの役割を推測できるのではないかと考えている。現在、電子顕微鏡を用いて踵部脂肪体を観察しており、特に深層部に線維成分を確認したり、力学的負荷が加わる部分に3次元的ネットワークを確認したりすることもできた。40〜60代の組織像の採集は非常に困難だが、今後は10〜15名の組織像作成を目指していく。

秤谷名鷹(研究)
秤谷名鷹(研究)

パラアスリートは、残された神経機能を最大限に生かし、健常者をも超える驚異的な身体能力を発揮する。本研究では、バイオメカニクス分析に加え、MRIを用いた脳構造・神経回路の解析を行うことで、パラアスリートの運動制御の解明にチャレンジする。当初はチェアスキーを対象としていたが、その領域を広げ、より重度のスポーツ実施者等を対象とすることで、パラスポーツの意義を高めることに貢献したいと考えている。現在までにパラ陸上、車いすラグビー、車いすバスケ、さらに音楽家や非スポーツ実施者など9つの領域に枠を広げて計測を行っている。今後は脳計測の実施、非コントロール群や健常群などのデータ収集等を進めていく。

瀬戸川将(研究)
瀬戸川将(研究)

スキルは訓練や睡眠を通して徐々に脳内に定着していく。しかし、いつ、どのように定着するかを解明する上では、この特性が障壁となる。昨年度は、短期間でスキル習熟が可能な新規動物実験と、長期間神経活動記録が可能な実験基盤を確立した。これらを土台に、スキル学習のメカニズムを最高精度で解明することを目指している。ここまで睡眠中の大脳基底核から未知の脳活動を発見するなど手ごたえを感じている一方で、ソフトの誤作動が見つかるなどトラブルも発生している。下半期は、神経活動の自動検出や睡眠中の神経活動の解読に取り組んでいく。

廣野哲也(研究)
廣野哲也(研究)

随意的な関節トルクは、その角度によって大きく変化する。中枢神経系の活動レベルは短縮位で大きく、またトレーニング介入での効果も伸張位が大きいというギャップがあるにも関わらず、そのメカニズムについては不明点が多い。本チャレンジでは、トレーニングによる筋力増強メカニズムを中枢神経から探っていく。実験では、介入前評価を行った後、短群・伸群それぞれに随意でトレーニングを与え、2週間後の中間評価、4週間後の最終評価を行う。すでに20名が完了しているが、これを年末まで継続していく。第4四半期ではアウトカムの解析を行うとともに、データをまとめて報告書を作成する。