中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2016年9月23日

平成28年度 第10期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

平成28年度 第10期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

9月23日(金)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)にて平成28年度 第1回目の中間報告会を実施しました。この日、参加したのは体験チャレンジャーの内山雅貴さん(自転車ロードレース・トラック/選手)、手計岳隆さん(スノーボードクロス/選手)、細田将太朗さん(スキー・ジャンプ/選手)、研究チャレンジャーの小川哲也さん、福谷充輝さん、向山昌利さん。中国(北京)でチャレンジを行っている神箸渓心さん(スヌーカー/選手)は、インターネットを通じて報告を行いました。

報告会終了後の座談会は、「チャレンジをより高めるための心の持ち方、高め方」というテーマで実施しました。まず、チャレンジャーが2つのグループに分かれ意見を出し合い、それをまとめて発表しました。その後、参加者は発表内容をもとに全員で意見交換を行ったほか、審査委員の先生方からさまざまなアドバイスをいただき、活発な座談会となりました。






参加いただいた審査委員

浅見俊雄委員長、伊坂忠夫委員、北川薫委員、草加浩平委員(五十音順)


内山 雅貴さん(自転車ロードレース・トラック)

今期は、実業団ロードでは複数回の優勝、トラックでは全日本入賞と西日本実業団での優勝、海外遠征ではタイやフランスの大会に参加して優勝するなど、活動の幅を広げ、かつそれぞれで目標を掲げて活動してきた。これは、2020年に向けてロードとトラックで代表に入るための実績作りと、海外レースでは勝ち方を身につけるためだ。主な成績としては、4月のタイのステージレースで2回の準優勝。5月の西日本トラックでは、国体の優勝者やアジアのスプリントチャンピオンを相手にケイリン種目で優勝できた。7月には静岡の国体選考会でロード、トラックともに出場資格を獲得。その後のフランス遠征では2回ロードレースに出場し1回優勝した。実業団ロードや西日本実業団では目標を達成できたが、全日本トラックは17位に終わった。ただ、リオに日本代表で出場した選手と走り、実力を確かめることができたのはプラスになった。海外遠征ではフランスで優勝できたが、タイは2位が2回と課題が残った。後半も代表入りのため、それぞれで実績を確実に積み上げていきたい。

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小川 哲也さん(研究)

ランニングにはいろいろな動作があるが、さまざまな速度レンジをカバーするのが特徴の一つである。私の研究は、人の場合、各速度を一つの神経機構が司るのか、速度に応じて個々に神経機構が備わっているのかを知ることが目的になる。結果的に得られるものとしては、例えば一つの速度をトレーニングすればいいのか、各速度を別々にトレーニングしなければならないかというトレーニング戦略の構築に役立つと考えている。すでにゼブラフィッシュやネズミによる先行研究では、一部の神経機構を壊すと、ある速度の運動機能が消失するという結果が示されてきた。しかし、人の場合は神経機構を壊すなどができないため、地面を踏み込んだ時の反力を使って調べる手法を用いた。結果としてはランニングの速度に依存して運動パターンが阻害されるということがわかり、速度ごとに固有の神経機構が存在する可能性を示すことができた。後半ではこの結果を広く伝えるためにも、英文論文の制作を進める。

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手計 岳隆さん(スノーボードクロス)

春から秋にかけては、シーズン開幕に向けた準備期間であり、まず春はシーズン中に落ちた体力を取り戻すことに集中。6-7月は筋持久力系の向上に努め、8-9月は筋肥大や筋力アップを狙ったトレーニングを実施した。また、山形や長野における連盟主催の高地トレーニングに参加し、基礎体力のベースアップも図った。8月にはオーストラリアで2つの大会に出場。1戦目は予選10位、本選13位、2戦目は予選19位、本選19位だった。ここでは、世界の上位ランカーと戦い、世界トップの滑りを間近でみることができ良い経験となったが、改めて海外選手に比べ体が小さく、体重も筋力も足りないことを実感し、体格差を埋めることの大切さを痛感した。あと2ヶ月でシーズンに入るが、ここまでのトレーニングに手応えもあるし、今シーズンから変更した道具も自分に合っているので楽しみだ。主に海外遠征になるが、昨年より上の順位を獲得して、来年のワールドカップ出場をめざす。

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福谷 充輝さん(研究)

スポーツでは、速く・力強い動作が求められるが、速く強く、を同時に達成することは、筋生理学的には困難とされている。なぜなら、筋力は速度が増加すると低下するという性質があるからだ。そこで、この問題を解決するヒントを得るために本研究を設定した。まず、ホッピング中のある速度での筋力を計測すると、力-速度関係から考えられる上限を上回る力を発揮することがあることから、反動効果を有効に活用することができれば、高速動作時であっても大きな筋力を発揮するのではないかと考えた。反動動作による筋力増強に貢献している要因としてタイチンの弾性があげられるが、本研究ではこのタイチンの反動効果への貢献に着目し、タイチンを除去すると反動効果が消失 (減弱) するかをポイントにした。現在までに、タイチンを除去しない状態での実験を終え、当初の予想通り反動効果を確認できた。今後は、タイチンを除去した状態で実験を行い、反動効果が消失 (減弱) するかを確認する。

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細田 将太朗さん(スキー・ジャンプ)

テイクオフ動作後に左足をひいてしまう癖があり、バランスを崩してしまうことが多かった。これは殿筋の強さが左右で異なることが原因だったが、4月からこの筋量差をなくしながらバランス能力の向上を図ってきた。これに合わせて、ジャンプでパワーを効率よく活かすための姿勢の改善にも着手した。まずは小さいジャンプ台でさまざまな姿勢を試し、ここでつかんだ良い感触のものを、ノーマルヒル、ラージヒルで実践して細かな修正を行った。7-8月には試合に出場し、これまで取り組んできたことを生かして6位以内に入り、8月最終週のサマーワールドカップ出場をめざした。しかし、減量の失敗と緊張による胃潰瘍の発症、各ジャンプ台の助走路に対応できなかったことなどで、目標には届かなかった。今後は、道具の変更なども含め、どの場所でも高いパフォーマンスが発揮できるよう、唯一無二のジャンプスタイルを確立するためチャレンジを続けていく。

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向山 昌利さん(研究)

私の研究は、スポーツ・メガイベント(ラグビーワールドカップ)が被災都市の復興戦略に及ぼす影響を、釜石市に注目して明らかにすることをテーマにしている。具体的な活動としては、まず先行研究や地域の資料を確認し釜石市の歴史的背景を明らかにすること。第六次総合計画と復興計画を比較し、復興に向けた課題を明らかにしていくこと。そしてフィールドワークでは、釜石市役所の職員のべ22名へのインタビューなどを行った。このインタビューでは、ワールドカップの誘致が釜石市外のNPOから提案されたことや、地域における希望創出の役割を担っていること。地域資源であるラグビーを活用した復興事業とすることなどが見えてきている。現在は情報を集めただけであるが、これからは集めた素材の精査・分析を進めるとともに、研究会開催、学会発表、追加のフィールドワークを行い、将来に役立つような研究成果を残したい。

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神箸 渓心さん(スヌーカー)

中学を卒業し、4月から北京のスヌーカー学院に入学。現在は中国人と韓国人留学生と同じ部屋で生活している。日本にいるときは父が経営するビリヤード場で練習していたが、今は設備が整った集中できる環境で、日本にいるときから2倍以上の練習時間を確保できている。入学当初は、フォームの修正に取り組み、まっすぐ強いショットを安定して打てるようになってきた。しかし、ハイレベルな仲間と練習や対戦をしていると、まだ多くの部分で劣っているため、仲間からもアドバイスをもらいながら反復して練習し、ロングショットの成功率の向上などが見られた。また、ランニングや筋力トレーニングにより、長い試合に耐えられる基礎体力作りも行っている。ここまでの試合結果としては、全日本選手権で3位。U21世界選手権では、自己最高となる105点の連続ポイントを獲得し自信にはなったが、目標のベスト8には届かなかった。これは、集中力を欠いてミスを連発したこと、ディフェンスの甘さなどが原因であり、新たな課題も見えてきた。今後は、カタールで行われる世界選手権でベスト64、ジャパンオープンでの優勝を目標に、戦法、戦略、メンタルコントロールについての学習を進めていく。

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