中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2026年10月17日

2026年度 第20期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

2026年度 第20期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

10月17日(土)、2026年度第3回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの古澤陸さん(レスリング)、豊澄隆成さん(セーリング)、黒田胡桃さん(新体操)、千葉忠輝さん(フェンシング)、研究チャレンジャーの狩野遼太郎さん、今泉拓さん、川戸湧也さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、髙橋京子委員、野口智博委員、能瀬さやか委員、増田和実委員、村上晴香委員、吉岡伸輔委員

2026年度 第20期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

狩野遼太郎(研究) ※オンライン参加
狩野遼太郎(研究) ※オンライン参加

骨格筋における乳酸の動態を明らかにするため、乳酸感受性蛍光タンパク質「eLACCO」を用いて、マウスの筋細胞内の乳酸濃度を可視化する研究に取り組んでいる。乳酸は、従来考えられていた疲労物質ではなく、エネルギー源や運動効果を伝えるシグナル因子として中心的な役割を担っている。本研究では、センサーの有効性を確認したうえで、低強度の筋収縮時における乳酸動態を計測した。その結果、筋収縮の開始直後に細胞内の乳酸レベルが上昇し、その後60分間にわたって維持されることを明らかにした。今後は、筋収縮の強度による違いに加え、ミトコンドリア内の乳酸動態も可視化し、乳酸の変化と遺伝子発現との関係を解明することを目指す。

今泉拓(研究)
今泉拓(研究)

本研究では、人間が「4時間」「4割」などのキリのよい数字に影響される概数効果に着目し、目標設定によってアスリートのパフォーマンスを高められるかを検証している。メジャーリーグのデータ分析では、出塁率4割を目前にした打者はスイングを控え、打ちにくい球を見送る傾向が明らかになった。こうした行動が出塁率の向上につながり、一流選手の能力をさらに引き出す可能性が示された。この研究は学会発表や論文投稿で成果を上げ、国際的なスポーツ分析大会への挑戦も進めている。
一方、野球部員を対象に、キリのよい数字とそうでない数字を目標に設定し、約2か月間の練習効果を比較する実験は、競技日程などの影響で開始が遅れている。11月からの実施を目指し、データ分析で得た知見を実際のスポーツ現場に生かすとともに、学生と協働しながら研究を世界に発信していきたい。

古澤陸(レスリング)
古澤陸(レスリング)

上半期を振り返ると、4月のJOCジュニアオリンピックカップでは2回戦敗退となった一方、6月の近畿大会では学校対抗戦、個人戦ともに優勝した。7月のインターハイは学校対抗戦で準優勝、個人戦では目標に届かなかった。主な課題は、減量しながら4日間戦い抜く持久力と攻撃パターンの拡充、プレッシャーのかかる場面でも積極的に攻める精神力。その克服の一助として、7月下旬から8月上旬まで米国オクラホマ州へ遠征し、世界レベルの技術や高強度の練習を体験した。海外選手との実戦や交流を通じて、日本とは異なる技術や戦い方を学び、得点につながる動きを反復する重要性も実感した。今後は、遠征で学んだ技術を国内で繰り返し練習し、試合で実践することで、競技力の向上につなげていく。

川戸湧也(研究)
川戸湧也(研究)

柔道日本代表のアナリストとして五輪に参加した経験から、パリ五輪での代表戦をめぐり、SNS上で事実と異なる情報や誹謗中傷が拡散したことに問題意識を持った。そこで、柔道や野球を対象に、SNSにおける「道」という概念の使われ方を分析し、言語汚染の実態を明らかにする研究に取り組んでいる。
まず、武道に関する先行研究47編をレビューした。その結果、武道は身体的な修練を通じて心身を鍛え、人間形成を目指すものであり、勝敗や競技力の向上だけが目的ではないことを確認した。一方、勝利への固執や、スポーツと武道を対立させる考え方は、約100年前から存在していたことも分かった。現在はXの投稿を収集し、テキストマイニングによる分析を進めている。今後は柔道や野球における「道」の使われ方を検証し、選手が誹謗中傷にさらされることなく、力を発揮できる環境づくりにつなげたいと考えている。

豊澄隆成(セーリング)
豊澄隆成(セーリング)

2026年度は、ILCA7への移行を見据え、「フィジカル」「海外大会での実戦経験」「戦術・戦略」の3つを重点課題として強化を進めている。国内大会では各地方選手権で優勝した一方、JOCでは2位にとどまり、さらなる成長が必要と感じている。デンマークで開催されたユース世界選手権では307人中119位となり、日本人選手としては3人目となる上位約40%に入る成果を得た。一方、強風や波への対応、スタート時の艇のコントロール、海外選手とのスピード差、レース中の集中力維持などの課題も明確になった。今後はトレーニングや栄養管理を強化し、瞬発力と判断力を高める。2027年1月にオーストラリアで開催されるU21世界選手権に向け、課題を克服し、世界で戦える競技力の獲得を目指す。

黒田胡桃(新体操) ※ビデオ報告
黒田胡桃(新体操) ※ビデオ報告

今シーズンは、全日本中学校新体操選手権と全日本ジュニア新体操選手権の出場権を獲得し、昨年より成長を感じている。ボールでは20点台を記録し、全日本新体操クラブ選手権ではジュニアの部で総合7位に入賞した。一方、予選や本番ではミスもあり、4種目をノーミスで踊り切る技術力と精神力、集中力、体力に課題を感じている。一方、9月にはフェアリージャパンのナショナル選抜団体メンバーに最年少で選出され、五輪メダル獲得という目標に向けて大きな一歩を踏み出した。今後は11月の全日本ジュニアで4種目を完遂し、弱点を克服してチームのレベルアップに貢献したい。さらにトライアウトに挑戦し続け、2028年のロサンゼルス五輪で日本代表としてメダルを獲得することを目指していく。

千葉忠輝(フェンシング) ※ビデオ報告
千葉忠輝(フェンシング) ※ビデオ報告

本年度は愛知アジア大会の影響で大会日程の変更が相次ぎ、ランキングポイント対象大会への出場は7月の1大会にとどまった。また、練習中に背中を痛め、計画どおりの強化が難しい状況となった。そこで、リハビリと身体のコンディション調整を進めながら、戦術や試合分析、メンタル面の強化に重点を置いた。特に、プレッシャーのかかる場面を想定したメンタルリハーサルに取り組み、試合中の判断力や感情のコントロールを磨いた。1月の島原ランキング大会では、全日本選手権優勝者に勝利してベスト8に進出。準々決勝でも接戦となり、最終順位は7位となった。世界で戦う選手たちに勝利できたことは大きな自信となり、これまでの強化の成果を実感できた。今後は技術やフィジカル、試合運びをさらに磨き、シーズン後半もランキング10位以内を目指して国内大会でポイントを積み重ね、世界の舞台で継続的に戦える競技力を身につけていく。