年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
小沼 憲吾
氏名
小沼 憲吾(おぬまけんご)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第15期生
野球選手における肘障害の予防法開発に向けた挑戦:筋はどれだけ肘を守れているのか?

野球選手に頻発する肘関節の内側側副靭帯損傷を予防するためにはまず、内側側副靭帯を保護し得る前腕屈曲回内筋群の靭帯保護機能を明らかにする必要がある。そこで本チャレンジでは前腕屈曲回内筋群が発揮する内側側副靭帯を保護する作用の筋力を計測、分析する。そして、前腕屈曲回内筋群が投球時に発生する運動負荷から内側側副靭帯をどの程度守れるのか明らかにする。

成果報告(2022年3月)

前腕屈曲回内筋群は野球のピッチング時に肘関節に加わる外反荷重から内側側副靭帯を守るための内反トルクを生み出せるものの、この筋群が発揮できる内反トルクの大きさを計測する手法がこれまで存在しなかった。そこで本チャレンジでは、前腕屈曲回内筋群が発揮する内反トルクを計測する手法を確立し、その力強さ(以下「内反筋力」)の解明を目的とした。予備的実験により筋力測定機と超音波装置を併用する計測手法を確立した。一般男子大学生18名に実験を行った結果、内反筋力は41±12Nmであり、握力(r=.754、P<.001)および体重(r=.751、P<.001)と正の相関関係にあることが明らかとなった。これらの結果は内側側副靭帯損傷の予防法として握力強化がカギとなる可能性を示している。論文の投稿には至っていないものの、計測手法の確立や内反筋力の解明に関しては目標通りの成果を上げることができた。