- 氏名
- 芝口 翼(しばぐちつばさ)
- 助成実績
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スポーツチャレンジ研究助成(基本):第17期生
骨格筋損傷治療としての温熱刺激がもたらす生理作用の解明
骨格筋損傷はスポーツ現場で頻発する傷害の一つで、急性期の応急処置としてアイシングが推奨されている。しかし、我々は従来禁忌とされる急性期からの温熱刺激がアイシングよりも筋再生を促進させることを掴みつつある。そこで本チャレンジでは、温熱刺激によって痛みを制御しながら筋再生とミトコンドリアの機能(生合成や代謝機能)回復の両方を促進・最大化することへの可能性とその分子メカニズムを明らかにする。
成果報告(2024年3月)
本チャレンジでは計画当初の仮説と異なり、筋損傷直後の単回の温熱刺激がヒラメ筋(遅筋)の線維化を抑制するのに対し、足底筋(速筋)では筋重量・ミトコンドリア量の回復遅延化と線維化の亢進を引き起こすことが明らかとなった。一方、筋損傷2日後から間欠的に温熱刺激を施すと、ヒラメ筋と足底筋の両方で線維化の抑制傾向が認められた。これらの結果は、筋損傷後の温熱刺激の適用方法によって筋再生能が変化すること、そして受傷後早期からの間欠的な温熱刺激は筋種に限らず筋再生を促進できることを示唆する。しかしながら、本助成期間内にこれら結果の背景となる機序の解明や痛みへの影響の検証には至らなかった。本チャレンジ終了後も残された課題を解決し、ヒトへの応用を見据え治癒期間短縮/再受傷防止を念頭に置いた新たな筋損傷治療戦略の確立を目指すとともに、骨格筋研究を切り口にスポーツ科学領域のさらなる発展や科学の裾野拡大に貢献したい。
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第11期生
米由来機能性成分による骨格筋ミトコンドリア生合成・機能の亢進とその標的分子の解明
米由来の機能性成分が健康の維持・増進に役立つ可能性は近年示唆されているが、骨格筋のミトコンドリアに及ぼす影響やその分子メカニズムについては未だ明らかでない。本研究によって、米由来機能性成分の摂取が運動とは独立した機序で骨格筋ミトコンドリアの生合成・機能を亢進させることを明らかにできれば、競技力向上や健康の維持・増進に役立つ新たな介入法の開発が期待でき、これらの点は本研究の独創的・革新的な点である。
年度別チャレンジャー一覧
助成対象者のチャレンジ概要