- 氏名
- 大塚 俊(おおつかしゅん)
- 助成実績
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スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第12期生
深筋膜は筋力発揮の補助装置としての機能を果たし得るか
深筋膜は部位特異的な形態的特性や力学的特性を示す。これらの特徴から、深筋膜は直下に位置する筋のサイズや形状に対応した構造を有し、骨格筋と相互的に作用することで、その収縮を最適に補助すると予想される。身体運動の動力源である大腿部の深筋膜の形態的・力学的特性を定量し、骨格筋のサイズや筋力との関連性を調査することにより、深筋膜の可塑性や身体運動パフォーマンスとの関係に迫ることができると考える。
成果報告(2019年3月)
私は本チャレンジで、生体を対象に身体運動中の深筋膜の動態を明らかにすることを目標として研究を進めてきた。成人男性14名を対象に、最大努力の20、40、60%の強度で膝関節の等尺性伸展を行い、その際の大腿部深筋膜(大腿直筋・外側広筋上)の硬さを身体の長軸・短軸の両方向について、超音波エラストグラフィを用いて測定した。本研究によって、深筋膜は力発揮の強度が増加するにつれて硬くなり、その硬くなる程度は長軸方向が短軸方向よりも大きいことが明らかになった。この結果から、深筋膜は長軸方向に硬くなりやすいことで、力伝達の効率化や下肢の安定化に貢献していること、短軸方向には柔らかいことで、骨格筋の短軸方向への変形に対応する役割を果たしている可能性が示された。この知見は国際学会で口頭発表し、現在国際誌に論文を投稿中である。一方で、機材の故障もあり、幅広い世代や運動習慣を有する方々を測定することはできなかった。今後は本研究で得られた知見の応用や、生じた課題の解決を通じて、新たな目標に向けたチャレンジを続けていきたい。
年度別チャレンジャー一覧
助成対象者のチャレンジ概要