中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2013年10月25日

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月25日(金)、東京国際フォーラムにて平成25年度 第4回目の中間報告会を実施しました。今回は、第7期生の研究チャレンジャー阿部匡樹さん、石澤里枝さん、竹村嘉晃さん、体験チャレンジャーの平田彩寧選手(ラグビー/選手)、外国人留学生奨学金では郭叶舟さんと、第6期生のフィゲロア・ラファエルさんが参加しました。また、第6期生の研究チャレンジャー門田浩二さんは、平成24年度成果報告会に参加できなかったことから、この中間報告会で成果報告を行いました。参加者はそれぞれが、上半期の中で取り組んできたチャレンジの内容や、その中で得られた成果・課題・改善点を示し、さらにそれを踏まえて、今後の計画を報告しました。

報告会後には、審査委員を交え「道に迷った時、壁に当たった時」というテーマで座談会を行い、怪我との戦い、海外での苦労話、スランプなどについてさまざまな話題が出されました。この中で審査委員からは「迷った時は知っている人に聞く、真似をすることが一番ですが、皆さんは未踏の地にチャレンジしているので、迷い、壁にぶつかることは当たり前。だから、誰もやらないことを探し実践する、オリジナルの方法や道具を作るくらい、エッジを立てて突き進んで欲しいといったアドバイスがありました。一方チャレンジャーも「目標に到達するには、いろんな道(方法)があり、できることを続けていくことが、壁を打ち破ることに繋がるなどの意見があり、今後も強い気持ちを持ってチャレンジしていくことを誓いました。




参加いただいた審査委員

浅見俊雄審査委員長、伊坂忠夫審査委員、衛藤隆審査委員、川上泰雄審査委員、定本朋子審査委員、髙橋義雄審査委員、事務局(順不同)


阿部 匡樹(第7期生)

私の研究は、複数の人が、ある目的に向かって共同で作業する際に、お互いの貢献度がどのように組織されるかを解き明かすことを目的としている。たとえば物を運ぶという目的に対し、全員が力を発揮するのが理想だが、実際はそううまくはいかない。その原因が社会性であると考え、それを定量的にモデル化しようと考えている。この上半期は、4人の共同作業についての実験を実施し、結果は、人数が増えると社会性の影響がより強くなり、個々の運動能力の影響は逆に小さくなるという結果が得られた。しかし、先行研究ではコミュニケーションが苦手な人ほど力を発揮していたが、今回は力を出さないなどの違いが見られたため、今後は、詳細な解析を進めながら、この新たな課題に関しての設定を詰め追加実験を行いたいと考えている。

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石澤 里枝(第7期生)

持久的パフォーマンスの高い選手は、ミトコンドリアタンパク質の数が増加している状態にあるが、これを増加させるのは、長鎖脂肪酸が核内受容体PPARsと結合することによるものと、長鎖脂肪酸を含む食事をとりながら運動を行うことで、加算的に増加することが分かっている。こうした状況を踏まえ、現在は中鎖脂肪酸で同じ現象が起こるかを明らかにするために実験を行った。しかし、今回の実験では十分な結果が確認できなかったため、今後は異なるアプローチで実験を行っていきたいと考えている。

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竹村 嘉晃(第7期生)

ヨーガの健康・社会的機能の解明と大学教育への導入促進というテーマで、上半期は文献研究と国内調査を実施した。国内調査では、ヨーガ指導者や大学の体育教員と面会し、科目の内容、指導上の留意点、受講生の様子などの聞き取りを行い、健康意識、自分肯定、個人スポーツニーズの高まりを確認した。また、私自身も大学でヨーガ指導を行い、受講希望、出席率などの高さから、聞き取り内容との一致を確認できた。またインドにおけるヨーガの需要動向、レジャースポーツとヨーガの関係性を調査した。結果、メディアとの連携による浸透、健康意識の向上による多様化などが見えてきた。今後はアメリカで調査を行うとともに、授業で収集しているアンケートの分析、他大学でのヨーガ科目の視察などを行っていきたい。

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平田 彩寧選手(第6・7期生)ラグビー/選手

第1四半期は、昨年のニュージーランド留学で学んだスキルがどれだけ身についているかの実戦チェック。第2四半期では、全国大会出場とニュージーランド短期留学による技術の向上をめざした。まず選抜大会では、在籍する石見智翠館高校が優勝し、他の大会でも多くのトライを決めるなど成長を感じる部分があったが、5月に怪我をしたため、すべての計画をこなすことができなかった。その後は、高体連のニュージーランド合宿や、個人でのニュージーランド留学を行ったが、スキルアップはもちろん、英語でのコミュニケーション能力が向上したことから、昨年の留学中にはできなかったスタンドオフに抜擢され、出場した大会でも優勝し、大きな自信を得ることができた。

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郭 叶舟(第7期生)

中国は過去3つのパラリンピックの水泳競技で多くのメダルを獲得しているにもかかわらず、競技者以外の障害者は水泳をする機会を持っていない。こうした背景から、日本の障害者水泳との比較を通し、中国における障害者水泳の普及・発展をめざして研究を進めている。上半期は文献研究を行ったが、日本では通常学校、特別支援学校でプールを使った授業が行われており、学校以外でも障害者の水泳活動の形態が多く存在し、障害者水泳の理解が高いことを確認できた。一方、中国では、障害者水泳は競技に限られ、学校、社会でも競技者以外の障害者が水泳をする機会はほとんどないことがわかった。今後は、実際の現場がどのような状況であるのかを視察したいと考えている。

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フィゲロア・ラファエル(第6期生)

日本の高齢化率は増加傾向にあり、2050年には人口の約半分が高齢者となるため、彼らが自立して日常を過ごせる方法を生み出すことが急務と言える。そこで、実践率の高いウォーキングなどによる日常生活動作尺度(ADL年齢)の改善効果を検討し、ADL年齢の有用性について考察した。上半期では105名の被験者を集め、2つのグループに分けて異なるトレーニングを実施した。それぞれで体力の改善が見られ、筋力トレーニングおよびウォーキングの改善効果を反映することができたため、ADL年齢の有用性が示唆された。今後は、元気な高齢者から虚弱高齢者までのあらゆる身体機能レベルおよび運動実践効果の評価と、長期運動実践者の身体機能レベルの把握していきたい。

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門田 浩二(第6期生)

スポーツでは、常に環境が変動するが、こうした中で、いかに正確にプレーを続けるかは重要なテーマである。なかでも繊細なプレーは、プレー中の柔軟な対応が必要になるが、それを実現するのは、目や関節の感覚などのセンサーと、それを処理する脳神経系の仕組みだと考えられる。一方、直接、感覚刺激が身体の動きを引き起こすと言われているが、これまでは注目されていなかった。ところがボールを投げる動作のように、身体の動きの多くは無意識に行われ、その無意識の制御が実際のパフォーマンスを決めるという側面が強いと考えている。そこで、画面にターゲットを示し、それに手を伸ばす最中にそのターゲットが動くという中で、ターゲットを追う、また逆の方向へ動かすというタスクで動作分析を行った。結果は、随意的な反応時間よりも短い時間に応答が出ており、無意識的な処理で出現する行動だと言える。また、このタスクに関しての無意識的な反応は、運動習慣の影響がないという結果が得られたため、今後は、これを参考に、感覚と動きをつなぐ新しい身体運動科学を構築したい。

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