中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2013年10月21日

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

平成25年度スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

10月21日(月)、東京・丸の内MY PLAZAにて平成25年度 第3回目の中間報告会を実施しました。今回は、研究チャレンジャー第7期生の寺田新さん、東田一彦さん、福原和伸さん、若林斉さん、体験チャレンジャー原田小夜子選手(セーリング/選手)に加え、OBチャレンジャーの鈴木浩太さん(研究6期生)と金ウンビさん(外国人留学生奨学金4・6期生)の7名が出席しました。研究チャレンジャー5名と留学生の金さんからはチャレンジ目標に対する研究の進捗報告が、また体験チャレンジャーの原田選手からはリオ五輪出場に向けた上半期の活動報告が行われました。

また報告会の後には、浅見俊雄審査委員長をはじめとする審査委員とともに、「道に迷った時、壁に当たった時」というテーマで座談会を実施しました。「行き詰まった時にはできる限り新しい刺激を受けるようにする」「学会などに出かけて行って外の意見に耳を傾ける」「次のチャレンジの糧としてその失敗を前向きに受け止める」など、それぞれの経験をもとに意見交換を行ったほか、審査委員の先生方からは体験談をまじえながら各種のアドバイスが送られました。




参加いただいた審査委員

浅見俊雄審査委員長、綿貫茂喜審査委員、草加浩平審査委員、髙橋義雄審査委員、事務局(順不同)


寺田 新(第7期生)

糖尿病の患者は世界に4〜5億人、日本人で言えば4人に1人は糖尿病を患う可能性を持っている。その予防や治療には運動が良いとされているが、低体力者には効果が得られるほどの十分な運動ができないのではないかと考えている。そこで健康科学に関する広範囲な私の知識と経験を生かして、低体力者でも運動による効果が得られるような方法を開発するのが本研究のテーマ。上半期では骨格筋のエピゲノム修飾を変化させる薬剤や栄養素を探索するとともに、そこで絞り込んだ候補物質を用いて実験を進めている。また、大学院生とともに研究室をセットアップし、指導者としての新たなチャレンジも始まるなど日々充実している。

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東田 一彦(第7期生)

持久力がカギになるスポーツの現場で活きる栄養学的な基礎データを集めることを目的に、筋内脂肪の形成・分解の分子機構の解明に取り組んでいる。マラソンを例にすると、最初の30kmまでのエネルギーには脂肪を使って、ラストスパートには残しておいたグリコーゲンを使うといったイメージ。今年は四半期ごとに分けた研究計画を組んでいたが立命館大から早稲田大に異動したこともあり、機材や環境の関係で当初の計画どおりには進められなかった。これについては第4四半期に立命館の協力を得て補いたい。研究を進める中で新たな発見も生まれ、疾病発症の方向にも発展させられるのではないかと感じている。

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福原 和伸(第7期生)

研究の目標は、球技スポーツ選手の予測技能獲得のためのバーチャルヒトモデルを構築すること。これまでのCG映像は実写に較べて情報呈示精度が低く、バーチャルヒトモデルを作成するとともに、このバーチャルヒトモデルがテニス熟練者の予測技能を評価できるのか知覚評価実験を行った。こうした中からこれまでのバーチャルヒトモデルのリアリティを格段に高めることに成功したほか、予備実験ではラケットに輝度情報を加えることで熟練者の予測技能を確認することができた。今後は本実験、学習実験へと進めていく。

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若林 斉(第7期生)

子どもたちの生活運動習慣が体温概日リズムや発育・発達に及ぼすと考えている。それを明らかにするために、研究コンソーシアムを組んで活動している。これまでに関東地区の小学1年生240名を対象に体力・運動能力や形態特性の検査を行ったほか、8月に食事摂取調査、現在は生活習慣や睡眠について各家庭で調査を進めてもらっている。そのデータが11月上旬に回収される予定なので、共同研究者と分担しながら分析を勧めていく予定。多くの家庭の協力があり、ここまで順調にデータを収集できている。

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原田 小夜子選手(第7期生)セーリング/選手

目標は2014年リオ五輪への出場。セーリング競技は各クラスとも日本の枠は1なので、国内トップのセーラーになることが目標達成の最低限のラインとなる。11月の全日本選手権、12月のナショナルチーム選考レースが迫っており、ここでしっかりと勝っておきたい。今年は強化の拠点を長崎に移して良い環境の中でトレーニングができているし、複数名で行う合宿にもコンスタントに参加している。また体重を落とさずに体脂肪だけを落とすトレーニングとして今年から水泳を取り入れた。9月にスペインで開催された世界選手権は11位で昨年より良い成績を出せたが、若手選手が台頭してきておりそこに危機感も感じている。リオ五輪まで残り1,000日あまり。一日一日を大切に過ごしたい。

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鈴木 浩太(第6期生)

昨年までの研究によって、運動が不器用であると運動が嫌いになるという相関があることがわかった。現在は反応モニタリングの指標を確立すること、そして反応モニタリングは不器用さと関係するのかということを明らかにするための研究に取り組んでいる。研究は自閉症スペクトラム児と定型発達児を対象に行っており、手先の器用さやボール運動で自閉症スペクトラム児のほうが運動の不器用さがあることが確認された。また反応モニタリングの評価では、反応モニタリングの特徴が運動の不器用さにも関連することがわかった。こうしたことから運動嫌いの子どもたちに向けた科学的な指導・支援が必要だと考えている。

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金 ウンビ(第4・6期生)

気分を変えるための方法としてタバコやアルコールの力を借りるという人がたくさんいるが、身体には良くないことは明らか。私はその方法として音楽と運動に着目した。被験者にアップテンポの音楽とスローな音楽を聞いてもらい、二次元気分尺度を用いて評価・分析を進めている。この結果、気分を変えるために音楽や運動は有効であると認められたが、今後は気分だけでなく、生理や行動指標を用いながら検討していきたい。

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