- 氏名
- 山口 慶一（やまぐちけいいち）
- 助成実績
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スポーツチャレンジ研究助成(奨励)：第14期生
暑熱・低酸素環境でのスプリントトレーニングの効果
本研究では、暑熱・低酸素環境でのスプリントトレーニングの効果を、通常環境または低酸素環境での同様のト レーニングと比較する。特に、低酸素と熱ストレスをスプリント運動中に身体に同時に課すという発想は斬新であ り、同様の研究は国際的にもみあたらない。低酸素環境と暑熱環境はそれぞれ異なる機序を介して類似した生 理応答を引き起こすため、2つの環境の組み合わせがトレーニング効果を高める可能性は十分に考えられる。
成果報告（2021年3月）
本チャレンジでは、従来研究が進められてきた「低酸素トレーニング」に暑熱環境を付加することで、トレーニング効果（パフォーマンスの向上）をさらに高めることができるのか否かを検討してきた。感染症の影響で研究の進捗に一部遅延が生じたが、最終的にはすべての測定および解析を無事に終えることができた。また、本チャレンジの成果は英語論文にまとめ、国際誌に投稿する予定である。本研究では「低酸素環境」、「暑熱・低酸素環境」いずれの環境でのトレーニングも間欠的なスプリント運動時の発揮パワーを大きく向上させることが明らかになった。しかしながら当初の仮説と異なり、低酸素トレーニングに暑熱環境を付加することによるトレーニング効果の増強はみられなかった。この要因として、暑熱環境を付加した群ではトレーニング時の低酸素刺激（動脈血酸素飽和度の低下）が減弱してしまったことが挙げられる。今後の研究課題として、低酸素刺激を減弱せずに筋温を上げることができる「局所加温」を低酸素トレーニングと組み合わせるという方法を考えており、今回の研究結果を踏まえて次のステップへと進んでいきたい。