年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
上原 一将
氏名
上原 一将(うえはらかずまさ)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第14期生
アスリートの卓越したspeed/accuracy tradeoff機能を支える脳内神経基盤の解明

fMRIを用いてプロアスリート(野球,サッカー,ラグビー選手等)を対象とし,卓越した技術を支える speed/accuracy tradeoff機能を支える脳神経メカニズムを理解する。本研究のポイントは,(1)今まで解明されて いなかったトップアスリートの卓越した身体技能を支える脳神経メカニズムを理解できる点,(2)実際にプロアスリ ートを被験者として計測を行う点にある。

成果報告(2021年3月)

本研究はアスリートの卓越した知覚意思決定におけるspeed/accuracy tradeoffに関与する脳内神経基盤を理解するために機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて研究を進めた。COVID-19感染拡大により研究開始当初在宅勤務を強いられ,データ計測が遅れた。しかしながら,この期間を有効活用し,先行研究の再確認や計測課題のプログラミングに時間を割くことができたため,高度な計測課題を用いてよりアスリートの卓越したspeed/accuracy tradeoff機能に迫ることができた。また,自信などのメタ認知を抽出する課題設計ができた。2020年度後半から実際にfMRI計測を開始し,トップアスリートやコントロール群(非アスリート)を含めて20名弱の計測を終えており今後被験者数をさらに増やし計測と解析を進めていきたい。行動データの結果から知覚意思決定課題において「速く判断する」という条件では反応時間は速くなる一方,正確性が低下した。その一方で「正確に判断する」という条件では反応時間は遅くなり,正確性が高い結果が認められた。これは,本研究で設計した計測課題の妥当性を示しており,今後fMRIで得られた脳活動や脳機能結合と合わせて解釈を行う予定である。本研究では東海地方のアスリートの協力のもとデータ計測を行った。本研究の目的に賛同し,協力して下さった選手のみならずチーム関係者の皆様に感謝の気持ちを伝えたい。今後データをまとめ選手やアスリートを目指す若者にフィードバックし,卓越した技能を引き出す技術を提供したい。