年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
中島 大貴
氏名
中島 大貴(なかしまひろたか)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第14期生
野球の投球における“キレ”のある変化球とは何か?

本チャレンジでは、“キレ”のある変化球について定量化する。投手が投じる変化球は「キレが良い」、「キレが悪 い」と評価されることが多いが、“キレ”が良い変化球は速度が速いのか、回転数が多いのか、変化量が大きい のか不明瞭である。そこで、熟練した捕手に変化球の“キレ”を評価してもらい、実際の定量的なデータとすり合 わせることにより、“キレ”の良い変化球について明らかにする。

成果報告(2021年3月)

はじめに、高校生の野球投手が投じる変化球の運動学的特徴(投球の速度や回転、変化量)を明らかにした。これまで、変化球については、大学生以上のレベルの高い投手のデータしか報告されてこなかった。そのため、高校生のデータを収集し投球に関するデータベースを拡張できたことは、本チャレンジの成果の1つと言える。
 続いて、本チャレンジの主目的であった変化球の“キレ”の定量化を行った。投球練習場にて、大学生および高校生の投手が投じるボールを計測し、各球種の運動学的特徴を調べた。次に、高校生、大学生それぞれ同一チームに所属する捕手に各投手の各球種の“キレ”を5段階で評価させ、各球種の運動学的特徴と捕手の評価との関係を調べた。その結果、カーブでは、大学生と高校生に共通して、下方向に大きく変化するほど“キレ”があると評価された。一方で、カーブ以外の球種の“キレ”を定量化することは困難であった。カーブ以外の球種では、他球種との兼ね合い(他球種との球速や変化量の差など)やコントロールなどの別の要因が“キレ”に影響を及ぼしている可能性が考えられる。
 近年では、アマチュアの投手でも簡便に投球を計測でき現状を知ることができる。しかし、どう改善していくべきかは明らかにされていない。そのため、本チャレンジにおいて、カーブのみではあるが、目指すべき指針(下方に大きく変化させること)を示せたことは非常に価値があると考えている。