年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
村木 里志
氏名
村木 里志(むらきさとし)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成:第1期生
筋横断面積からみた運動・スポーツの身体的効果について

介護が必要になる、または介護度が進行する主な原因として筋力低下があります。それらの予防には運動やスポーツが役立ちます。また、身体障がい者は残存部位の筋力を維持・向上することが日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の維持・向上につながります。例えば車いす生活者はスポーツを行うなどして、残存部位の筋力の維持を図っています。その際には現状の筋力がどの程度か、運動やスポーツをしたことによりどの程度効果があったのかという情報が役に立ちます。しかしながら、高齢者や身体障がい者の筋力の測定には様々な問題が生じます。筋力の測定には最大限の力の発揮が求められます。身体機能が低下している高齢者の場合、筋肉や関節を痛める可能性が大きくなり、反対に健康を害することがあります。また、車いす使用者や介護が必要な高齢者は姿勢の制限や測定場所までのアクセス上の問題があり、現状の筋力測定装置が使えない場合がほとんどです。そのような問題を解決するために我々の研究グループは、筋力の発揮を必要とせず、姿勢の制限が少なく、可搬性がある超音波筋横断面計測装置の開発を進めています。超音波は妊娠中の胎児などの診断に用いられているように、人体に害がなく苦痛もありません。その超音波の端子を筋横断面を測定したい上肢や下肢の周りを一周させ、その画像を合成し、筋横断面積を計測するシステムを考えています。筋横断面が大きいほど筋力も大きくなるため、この装置から筋力の評価が可能となります。

これまで、ベッド上で寝ている姿勢において大腿部前面の計測がある程度成功しています。現在は、測定精度を高めるとともに、大腿部全体の横断面を計測する仕組みにチャレンジしています。その後は、他の部位である大腿部後面や下腿、上手く行けば上腕まで測定できるようなシステムを開発する予定です。そして、開発した装置を実際に使い、高齢者や身体障がい者の筋横断面積から、運動やスポーツの有効性などを見ていきたいと思います。 この装置を用いて要介護高齢者や身体障がい者の筋横断面の計測をご希望の方は、研究代表者(muraki@design.kyushu-u.ac.jp)までご連絡頂ければ幸いです。