年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
宮崎 俊彦
氏名
宮崎 俊彦(みやざきとしひこ)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成:第1期生
青少年の牽引走における疾走パワーの研究

100m走記録は最大疾走スピードによって高い精度で予測することが可能であり、両者には密接な関係があります。10-14歳では、最大疾走スピードはスタートからおよそ30m付近で出現します。これまでの我々の研究・調査から、この年代において、30m地点より手前(加速区間)の疾走スピードも100m走記録と高い相関があり、最大疾走スピードに達する以前の疾走スピードを用いて100m走記録を予測することが可能であることがわかってきました。 100m走記録と加速度との関係は、特にスタート後1-10mまでの区間は高い関連がみられますが、それ以降は関係が薄れていきます。つまり、100m走記録の向上には、10m地点までの加速度の大きさも大きく関連していると考えられます。これらのことから、我々は、この10m地点までの加速区間に注目しています。

ところで、北海道では半年が雪に囲まれ、屋外の部活動が練習場を屋内に求めるため、体育館には入りきらず、廊下は屋外の部でいっぱいです。この狭い場所でも短距離を強化する方法として、0-20m、0-30mの区間で重量物を牽引し、力の出し方を練習する方法ならば、加速区間の有効なトレーニングになるのではないかと我々は考えています。重量物を牽引することで疾走スピードは遅くなります。その際、重量物の変化によってピッチとストライド、接地時間がどのように変化するのかを調べ、通常(牽引無し)の100m走のどの区間の接地時間、ピッチ、ストライドに類似しているのかを確かめることができれば、牽引走トレーニングの目的と手段の関係性を把握することが可能となると考えました。そこで、接地時間、歩幅を測定するためにオプトジャンプシステムを導入しました。このシステムは地上から3mmの位置に一定間隔(31mm)で高感度光学センサーが配置されており、1/1000秒単位ごとの信号によって、接地時間、滞空時間、接地位置、速度、加速度、パワー等を計測するシステムです。しかし、オプトジャンプシステムは、計測途中に重量物や牽引ロープが測定範囲に侵入すると計測不可能になるため、牽引ロープの長さやロープが床に落ちない方法を検討しているところです。