年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
久保 潤二郎
氏名
久保 潤二郎(くぼじゅんじろう)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成:第1期生
姿勢制御能力のトレーナビリティーに関する研究-年代ごとの差異について-

姿勢制御は、あらゆる身体運動の遂行にとって必須の能力であります。特に競技スポーツにおいては、当然高いレベルの姿勢制御能力が要求されます。そのため、最近では様々なバランストレーニング器具が開発され、市販されておりますが、そのトレーニング処方となると明らかになっていない点が多くあります。一般に、こういった神経系のトレーニングは、若い年代に実施することが望ましいとされていますが、若い年代のどの時期にバランストレーニングを実施させると最もトレーニング効果が高いのかを明らかにした研究はありません。そこで本研究では、様々な年代の子ども達に同一のバランストレーニングを実施させ、その年代ごとのトレーニング効果の差異について明らかにすることを目的としています。バランス能力は、アクティブバランサー(酒井医療)という機器で測定します。まずは、静的なバランス能力として、30秒間直立で出来るだけ動かない姿勢を維持し、その時の足圧中心の移動量を計測します。姿勢は、主に視覚器、前庭器、体性感覚により制御されています。姿勢制御に対する視覚への依存度を評価するために、目を開けた時の測定と目を閉じた時の測定を実施します。また、少し動的な姿勢制御能力として、上記の測定器の上に市販のバランスボードを置き、その上に立ってもらい、同様の測定を実施します。さらに、姿勢制御能力の発達は、他の運動能力の発達にも影響することが考えられるので、ジャンプ能力を中心とした幾つかの運動能力を測定します。これらの測定をトレーニング前後に実施します。トレーニングは、主にバランスボードを用いたバランストレーニングを3週間実施してもらいます。本研究により、高度な姿勢制御能力獲得のための適切な年代が明らかとなります。これらの知見は、ジュニア競技者の育成プログラムの作成に役立つものと考えております。また、小学校体育の授業内容にも大きく影響するものと考えられます。子どものうちは、筋肉や骨など未発達な部分がある中で、トレーニングを実施することとなり、いわゆる“ジュニアスポーツにおけるトレーニングのやりすぎ”による弊害は最も注意しなければならない点であります。その点でも本研究で得られる知見は、より効率的なジュニア育成プログラムの作成に寄与するものと考えられます。また、姿勢制御能力は、あらゆるスポーツにおける得意、不得意にも影響することが予想されます。子どもの体力低下が問題視されている中、適切な姿勢制御能力の獲得は、体育・スポーツ好きの子どもを育てるという面でも大きく貢献するものと考えています。