チャレンジャーズファイル

このページをシェア

秋間 広
氏名秋間 広(あきまひろし)

スポーツチャレンジ研究助成

第5期生

股関節屈曲による大腿直筋の筋収縮は中間広筋の筋活動を引き起こすか?

大腿四頭筋は4つの筋から構成され、ヒトの身体運動にとって重要な筋群である。なかでも前面表層部の大腿直筋と深層部の中間広筋間には、筋膜等を介して張力が伝達されるユニークな現象が報告されている。本研究では、股関節屈曲による大腿直筋の筋収縮が、中間広筋にどのような影響を及ぼすのかについて表面筋電図や医用画像を用いて検討する。このモデルの根底には他の共働筋にも当てはまる重要なメカニズムがあると考えている。

スポーツチャレンジ研究助成

第1期生

深層筋である大腿部の中間広筋の筋活動を記録する試み

ヒトが地球で存在する上で、避けて通れないのが重力の影響です。重力に対して体重を支えるために働く筋を「抗重力筋」と呼びます。この抗重力筋の一つに大腿四頭筋があります。この筋群の役割は膝関節の伸展であるため、歩行、走行、跳躍をはじめ体重を支える動作において非常に重要な働きをします。また、宇宙飛行や寝たきりになって体重を支える必要がなくなると急速に弱ってしまうことから、ヒトの身体運動において最も重要な筋群の一つであると考えられています。そのため、古くから運動生理学、バイオメカニクス、リハビリテーション医学、人間工学などの幅広い分野において、筋の活動パターンを調べる筋電図という方法を用いて、この筋群を用いた研究が行われてきました。大腿四頭筋は名前のごとく四つの筋から構成されています(図参照)。それらは大腿直筋、外側広筋、内側広筋、そして中間広筋です。最初の三つの筋は表層部に位置しているため、表面筋電図を用いて筋活動の評価をすることができます。しかしながら、最後に挙げた中間広筋は深層部に位置しているため表面筋電図による筋活動の記録ができないと考えられてきました。実際に過去の文献を検索してみると表面筋電図を用いて、中間広筋の筋活動をとらえた研究論文は一件もありません。2003年にZhangらは侵襲的な手法を用いて中間広筋の筋活動の記録に成功しました。

この方法は針(電極)を皮膚の表面から大腿骨付近まで挿入し、直接中間広筋の筋活動を記録するという特殊な方法です。中間広筋は大腿四頭筋に占める筋量の比が三割程度にもかかわらず、膝伸展トルクの最大50%ほどの力を出している可能性のあることが、この研究において示されています。つまり、中間広筋は膝伸展動作に非常に貢献している筋であることを示唆しています。しかし、これまでの研究では、方法論的な問題から中間広筋の活動パターンの情報を得ることができなかったわけです。もし、この筋の表面筋電図活動の記録が可能となったら、先に挙げた多くの研究分野において非常に有用な情報を提供できるものと考えております。我々の研究課題では、中間広筋の表面筋電図記録の確立を最終的な目標にしています。実は我々はこの中間広筋の筋電図記録ができる可能性を数年前より見つけておりました。ほとんど全ての研究者が中間広筋の全ての部分が深層部にあると考えていたのですが、実はそれは誤りで表層部に中間広筋の一部が露出している部分が存在することを我々がこれまでに行ってきた磁気共鳴映像法の連続横断像の結果から発見したのです。この部分に表面筋電図の電極を貼付すれば、中間広筋の筋活動を世界で初めて記録することができると考えたわけです。この手法の確立に向け、現在研究活動を行っています。




「チャレンジャーズファイル」トップにもどる

一つ前のページにもどる