
10月10日(土)、2026年度第1回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの清水菜乃さん(フェンシング)、和田胤佳さん(アルペンスノーボード)、島田綾乃さん(アーティスティックスイミング)、杉僚真さん(ウインドサーフィン)、横倉つぼみさん(トライアスロン)、研究チャレンジャーの嶋根裕太さん、井上恒志郎さん、豊島誠也さんの8名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。
参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)
伊坂忠夫審査委員長、小島智子委員、杉本龍勇委員、髙橋義雄委員、増田和実委員、村上晴香委員、吉岡伸輔委員

嶋根裕太(研究)
私は、義足スプリンターの走行メカニズムを解明し、競技パフォーマンスの向上につなげるため、身体と義足、神経回路を統合したシミュレーションモデルの構築にチャレンジしている。これまでは、実際に走りながら義足の形状や硬さ、取り付け位置などを調整していたが、シミュレーションを活用すれば、走行中に直接計測することが難しい力や動きの変化を分析して最適な条件を探ることができる。研究を進めるには、選手の協力を得て、計測環境を整えることも欠かせない。そこで、義肢装具士や医療関係者との連携を進めるとともに、実際に義足を体験したり、選手と交流したりしてきた。こうした経験を通じて、義足で走ることの難しさや、選手一人ひとりが工夫を重ねていることへの理解を深めてきた。現在は、実験室を飛び出し、屋外での走行計測にも挑戦している。今後は、特にトップスピードに達するまでの走りを詳しく分析し、選手のパフォーマンス向上に役立つ知見を得たいと考えている。
清水菜乃(フェンシング)
海外大会で初めてベスト32に進出したが、外国人選手の力強さに押され、フィジカル面の課題を痛感した。そこで、上半身の強化や関節の使い方、足首や足裏を意識した動きを学び、攻守の安定性を高めてきた。また、強豪選手との実戦や合宿を通じて、相手の特徴を見極めながら戦術を変える力も磨いている。島原ランキングマッチは準優勝だった。身長を生かして間合いを広げる戦い方に手応えを得た一方、試合序盤にリードを許す課題も見つかった。9月にはオリンピック選手らとの練習を経験し、相手の動きに応じて力の入れ方を変え、技を繰り出すタイミングを見極める重要性を学んだ。牧杯ジュニアランキングマッチでは、コーチの助言を受けて気持ちを切り替え、最後まで力を出し切れたことで優勝という成果につなげることができた。
井上恒志郎(研究)
今回の研究では、海馬における記憶の仕組みに着目している。思い出す際には学習時と同じ神経細胞が活性化すると考えられるが、活性化する細胞は出来事や状況によって異なる。そこで、自発運動と強制運動の違いに着目した。両者とも海馬の機能を高める効果があるが、自発運動の方が効果が高いという報告もある。本研究では、ネズミを用いて、それぞれの運動で活性化する神経細胞の重複度を調べ、強制運動が自発運動の代わりになり得るかを検証する。解析には、神経活動のマーカーであるArcの発現と細胞内での移動を利用するcatFISH法を導入する。現在は、試薬やプローブの作製を進め、解析手法の確立と本実験の準備に取り組んでいる。脳切片作製装置の故障により遅れが生じているが、今後は手法の確立を最優先に進め、順調にいけば1~2月の研究完了を目指す。さらに、学習で活性化する神経細胞との重複度も比較し、どちらの運動が学習に関連する神経細胞をより効果的に活性化するのかを明らかにしたい。
和田胤佳(アルペンスノーボード)
私はアルペンスノーボードに取り組んでおり、今シーズンは特に滑りの安定性とスピードの向上を課題としている。5~6月のヨーロッパ合宿では、ミラノ五輪の金メダリストと滑りを比較し、ゲートへの進入ラインやエッジの切り替え、ターン前半の荷重のかけ方など、タイム差につながる課題を確認した。昨年は約5秒あったタイム差を約2秒まで縮めることができた。7月以降はチリでの雪上練習に加え、スカイテックという機器を活用したトレーニングやウエイトトレーニングに取り組んだ。その結果、筋力が向上し、コーチからも滑りの動きや板の切れ味、パワーが大きく改善したと評価を受けた。今後はヨーロッパカップやアジアカップなどに出場し、プレッシャーのかかる場面でも滑りの精度を維持し、練習の成果を確実に結果につなげたい。2027年のデフリンピック冬季大会で金メダルを獲得することを目標に、今シーズンも全力で挑戦していく。
豊島誠也(研究)
私は、特定の地域に根ざし、長い歴史の中で文化や風習とともに受け継がれてきた「伝統スポーツ」について研究している。スポーツ人類学やスポーツ社会学などの視点から、特に若者が伝統スポーツの継承にどのように関わっているのかに注目している。これまで台湾を中心に調査を進め、約30メートルの塔に登り、頂上の旗を奪い合う伝統スポーツ「チャングー」などを研究してきた。こうした競技には、現代のスポーツでは失われつつある身体的リスクや極限性が残されている。若者がこれらをエクストリームスポーツとして捉えることが、伝統スポーツの新たな価値や継承の可能性につながると考えてきた。前期は台湾での現地調査や国際学会での発表を進めた。その中で新たに見えてきたのは、若者が寺院組織に関わるパフォーマンス集団などに所属し、人的ネットワークを通じて伝統スポーツを支えているという実態である。今後は、当初の理論にとらわれず、若者同士の社会的なつながりに着目しながら調査を継続し、伝統スポーツが維持・継承される仕組みを明らかにしていきたい。
島田綾乃(アーティスティックスイミング)
この半年間、演技の難易度と完成度を高めることを目標に、週3回のウエイトトレーニングでアクロバティック動作に必要な筋力とパワーを強化してきた。また、映像分析を通じて技の高さや8人の動きのタイミングの確認なども積み重ねてきた。ワールドカップや日本選手権を経て、9月のアジア大会では3種目すべてを大きなミスなく泳ぎ切り、ベースマークによる減点を受けなかったことが大きな成果。また、ライバルである中国との差も、ワールドカップから大幅に縮めることができた。一方、中国の演技を実際に見て、技の高さや正確性、チーム全体の動きの精度にはまだ差があると実感した。今後は新たな規定要素の習得と演技の完成度向上に取り組み、個人の技術力や表現力を磨いていきたい。日本代表入りを目指すとともに、2028年に世界で戦える選手へと成長していきたい。
杉僚真(ウインドサーフィン)
私は4月に掲げた「ワールドカップU-18クラスで優勝」という目標に向け、この半年間、セイルコントロールの強化とジャンプの完成度向上に取り組んできた。スペインのグラン・カナリア島で開催されたワールドカップU-18クラスでは2位、テネリフェ島の世界大会では4位、国内のフリースタイル大会では2位という結果を残した。セイルコントロールの向上により、ジャンプの空中姿勢や着地が安定した。また、ストールフォワードやプッシュループ、ダブルフォワードなどの新技を習得し、技のレパートリーも広がった。一方、海外大会を通じて、風や波の状況に応じた技の選択や、異なるコンディションへの対応力が課題として見えてきた。今後は実戦形式の練習を増やし、安定して得点できる力を養うとともに、南米やオーストラリアへの遠征で波を読む力を磨いていく。来年3月にはU-18優勝を達成し、さらに翌年度は年間優勝を目指したい。
横倉つぼみ(トライアスロン)
この半年は、体調不良の影響で思うように練習ができず、予定していた大会への出場も断念した。6月には大阪の認定記録会に参加したが、記録は自己ベストから大きく離れ、練習不足を実感した。また、これまでの競技成績で得た日本代表としての出場機会を辞退したことは、大きな悔しさとして残っている。一方で、体調に合わせた体幹トレーニングなど、できることを継続する中で、無理をせず休むことも競技を続けるために必要だと学んだ。夏休みも回復を優先し、少しずつトレーニングを再開してきた。現在は徐々に状態が上向き、10月の日本スーパースプリントトライアスロン選手権への出場を目指して準備を進めている。今後も体調を第一に考え、焦らず段階的に競技復帰を進めていきたい。そして、競技ができる環境や支えてくれる方々への感謝を忘れず、一歩ずつ成長していきたい。










