中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2025年10月12日

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました

10月12日(日)、2025年度第4回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの長洲百香さん(カヌースラローム)、千葉忠輝さん(フェンシング)、安井栄絢さん(体操)、岩本鈴菜さん(フェンシング)、研究チャレンジャーの新田理花子さん、戸簾隼人さん、清水純也さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、小島智子委員、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、高橋京子委員、野口智博委員、増田和実委員、吉岡伸輔委員

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第4回中間報告会を実施しました
長洲百香(カヌースラローム)
長洲百香(カヌースラローム)

4月に開かれた代表選考会でU23世界選手権の出場権を逃してしまった。大きなショックを受けたが、「それならば!」と気持ちを切り替え、徹底的にベーシックを磨き直すことや、カナディアンカヌー競技へのチャレンジ、また世界トップ選手と同種のボートへの乗り替えなど、これまでやりたかったが手を付けられていなかったことに取り組む期間とした。一方、ワールドカップ第4戦では、カヤッククロスで日本人初の銀メダルを獲得した。この大会では、レジェンドと呼ばれる選手たちと同じフィールドで戦い、そして結果を得ることもできた。私はロス五輪でカヌースラロームとカヤッククロスの2種目出場を目指しているが、ここまでは先輩たちに指導してもらう立場だった。今後は後輩たちの指導にも力を注ぎ、ともに切磋琢磨しながらそれぞれの目標を実現していきたい。

新田理花子(研究)
新田理花子(研究)

近世薩摩武士における男色の役割や変遷を研究している。まず近世薩摩武士の日常的な鍛錬の特徴を整理するために、三品彰英氏が昭和9年に実施した聞き取り調査の内容と、自身が資料館で集めた日記をもとに整理を進めている。これらの整理から、幕末の出水武士は、年齢階級制に基づく男性のみの生活の中で、大人になっても武芸を中心とした男性同士の集団的な交流が盛んであったと捉えている。11月には鹿児島県の出水・国分の地域で各種調査を行い、2本の原著論文を統合して博士学位論文として完成させていく。本研究とスポーツのかかわりについても、いま一度整理をすることで進めていきたい。

千葉忠輝(フェンシング)
千葉忠輝(フェンシング)

上半期は、部活動以外に、フェンシングクラブや大学の練習にも参加して強化に努めた。また、オリンピアンなど複数のコーチによる個人レッスンを受け、夏休みにはイギリスでの合宿に参加して自信を深めることができた。現在、国内におけるシニアランキングは14位、ジュニアランキングは2位まで上がっている。イギリスでのスパーリングキャンプには世界中の実力者たちが集まり、国際大会さながらの濃密なトレーニングを体験した。ここでは、かつて1-15の大敗を喫したポーランドの選手に勝つなど自信を高められたほか、世界基準の技術や戦術に触れ合うことで自分の現在地を知り、成長のためのより具体的な方向性をつかむことができたと感じている。

戸簾隼人(研究)
戸簾隼人(研究)

スポーツサイクリングの持続可能な発展と普及を目指し、個人と自治体という二つの側面から、スポーツサイクリングの継続的な実践に必要となる要素を特定したいと考えている。具体的には生成AIを用いた課題解決策の提案と評価検証、定性的な地域情報の抽出、さらに層化抽出した対象へのインタビューも行う計画。私自身はデータベースが専門であるため、質的研究や価値の説明に難しさを感じていた。今回もたくさんの指摘や助言をいただいたが、強みである統計解析やAI設計について、こうした分野でも通用することを再確認でき、大きな励みになった。

安井栄絢(体操)
安井栄絢(体操)

大学2年生で迎えるロサンゼルス五輪で団体・個人の金メダル獲得を目指している。今年は団体では高校3冠を達成したが、個人の優勝はどの大会でも果たせなかった。また春先の選抜大会ではあん馬で3回落下するなど、これまでに経験のない失敗も続いた。幸い世界ジュニアの代表権は獲得したので、Dスコアを上げて団体・個人ともに金メダルを目指したい。現在のDスコアは29.3。来春には全体で30以上、1年後には31に上げていく計画。練習の質を上げることで当たり前のレベルを底上げし、調子の幅を少なくすることにも取り組んでいきたい。

岩本鈴菜(フェンシング)
岩本鈴菜(フェンシング)

2024-25の世界ランキングは69位でのフィニッシュとなった。これは自分が目指していたものとは程遠い結果。また3連覇を目指していた日本学生フェンシングカップでも準優勝に終わってしまった。心の中には負け癖がついてしまったような不安や迷いも生じているが、10月のインカレでは必ず優勝し、次代のオリンピアン候補としての立ち位置を確かなものにしたい。一方、ペルーグランプリ大会ではアジアチャンピオンやパリ五輪の銀メダリストに勝利し、自身2度目のベスト16入りを果たした。オリンピック2連覇中の選手には大差で敗北してしまったが、それでも力の差をはっきりとつかむことできて、今後に向けて良い経験になった。

清水純也(研究)
清水純也(研究)

スポーツの現場では「努力は必ず報われる」「練習は裏切らない」なとど言われるが、運動の恩恵はすべての人に等しく届いているか? という疑問がある。運動効果の個体差に関わる筋適応性はどのように規定されるのかは未解明。私は筋適応性がいつ・どのように決まるのかを明らかにしたいと考えている。現在はマウスを用いた実験デザインを進めており、持久運動と抵抗運動を組み合わせることで、単独で行う場合と同等以上の効果が見られることから、「複合運動」こそ目的に最も適した方法として着目している。今後は複合運動に対する筋適合性がいつ・どのように決まるのか、その解明に取り組んでいく。