中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2025年10月11日

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました

10月11日(土)、2025年度第3回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの大原慶心さん(テコンドー)、黒山陣さん(トライアル)、角谷太樹さん(体操)、研究チャレンジャーの川間羅聖さん、市川淳さん、吉沢直さん、村本勇貴さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、杉本龍勇委員、瀬戸邦弘委員、髙橋義雄委員

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第3回中間報告会を実施しました
川間羅聖(研究)
川間羅聖(研究)

筋力トレーニングによる筋肥大の程度には大きな個人差がある。私は、筋肥大しにくい人には特有の筋構造が存在すると考え、大胸筋に着目して研究を進めている。本研究では拡散テンソル画像法を用いて筋繊維の3次元的な走行の定量評価を行い、その逸脱度合いの大小によって肥大しにくい人、肥大しやすい人を明らかにしたいと考えている。現在までに研究デザインを終えてプレの測定を開始しているが、いくつかの課題も見つかり撮像パラメータの改良に取り組んでいる。10月からは追加介入実験を開始し、分析を進めていく。

市川淳(研究)
市川淳(研究)

集団スポーツの選手交代は戦術を変更して局面を変える機能があり、パフォーマンスを高めるうえでカギとなる。本研究では、選手交代による齟齬の解消・防止を実現する連携の情報処理をモデル論的に解明し、その情報処理が駆動される練習を設計・実践することを目指している。すでに女子バスケットボールの3on3でフィールド実験を行っており、戦術のチームメンタルモデルを共有していない選手が入るとパフォーマンスが低下し、関連する主観評価にも反映されることなどが結果として出ている。また上半期には、連携の構造を抽出する手法を考案して学会での成果報告等も行った。

大原慶心(テコンドー)
大原慶心(テコンドー)

アジアジュニア選手権など、主要国際大会でのメダル獲得を目標に、テーマを持って日々のトレーニングに取り組んだ。しかしアジアジュニアではサウジアラビアの選手に負け、2回戦敗退となってしまった。日本代表として出場する大会では、他道場の代表コーチがセコンドについてくださる。頻繁に代表コーチのいる道場に出稽古する必要も感じた。8月のオーストラリアオープンは3位となり手ごたえもつかんだ。準決勝ではオリンピックランキング3位のエジプト選手に敗退したが、身長差が15センチありながら、練習で積み上げてきたステップが自分の中に定着してきたと感じることができた。この半年間で取り組んできたことは間違いない。さらに自己研鑽に取り組んでいく。

黒山陣(トライアル) ※オンライン参加
黒山陣(トライアル) ※オンライン参加

世界選手権のTRAIAL3に出場し、シリーズランキング4位で初年度を終えた。スペインを拠点に各国で開かれるシリーズ戦に出場し、大会と大会のインターバルでは元世界チャンピオンのアダム・ラガ氏のもとで充実したトレーニングを行ってきた。ここにはトライアルを上達する上で最高の環境があり、各国から集まった仲間やライバルがいる。自分にとってはこれ以上ない出会い、そして機会だと実感し、毎日を大切にしている。こうした中で日々練習に取り組むことで持ち技が格段に増え、自分の成長を実感できたシーズンとなった。来シーズンはTRAIAL2クラスにステップアップし、世界チャンピオンを目指して頑張っていく。

吉沢直(研究)
吉沢直(研究)

気候変動による積雪量や積雪期間の減少で、世界のスキーリゾートでは営業可能日数の減少が懸念されている。本研究では、日本全国のスキー場を対象に、気候・積雪モデルを用いて将来の生存可能性の影響を評価したいと考えている。上半期では、すべてのスキーリフトの位置情報登録を終え、2~4度上昇した気候モデルを用いて評価を実施した。その結果、2度上昇の場合は標高の低いスキー場を中心に営業が困難になる可能性、4度上昇の場合では多くのスキー場で営業が困難にある可能性があることがわかった。今後はさらに分析を進めて論文投稿を行うほか、人工雪の要素を加えた生存可能性の分析などにも取り組んでいきたい。

村本勇貴(研究)
村本勇貴(研究)

水素吸入による疲労制御の効果が注目され、スポーツの世界でもその活用が始まっている。しかし、疲労軽減につながる乳酸上昇を抑える機序に関してはまだ明らかになっていない。こうしたことを背景に、水素分子を身体に取り入れることで、活性酸素を押さえる仕組みを明確にする必要があると考えている。そこで私は疲労の判定として酸化資質に注目し、息から酸化資質を集めて疲労を可視化するチャレンジを進めている。課題はまだあるものの、現在までに、運動中に水素分子を取り入れることで、運動に伴う抗疲労効果を示す結果を得られている。

角谷太樹(体操)
角谷太樹(体操)

4年後のロサンゼルス五輪体操競技で、個人総合・団体金メダルの獲得を目指している。上半期は、倒立姿勢改善のための体幹トレーニング、出来栄え点を上げるための着地強化、そして試合を想定しての練習に注力した。NHK杯には唯一の高校生として出場し、世界ジュニアへの出場権をつかんだ。またインターハイでは個人総合優勝、全日本ジュニアや国民スポーツ大会では3位になったが、自分としては満足できる結果ではなかったと捉えている。目標とするオリンピックにつなげていくために、11月にフィリピンで開かれる世界ジュニア選手権では個人総合優勝にチャレンジする。