中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2025年10月4日

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました

10月4日(土)、2025年度第1回目の中間報告会を東京・日本青年館で開催しました。今回は体験チャレンジャーの小西陽人さん(ウインドサーフィン)、古澤陸さん(レスリング)、地下綾音さん(スノーボード)、大島拓人さん(トライアスロン)、研究チャレンジャーの嚴田光里さん、三ツ橋利彩さん、平塚卓也さんの7名が参加。それぞれが上半期のチャレンジ状況を振り返るとともに、下半期の活動計画について発表を行いました。

参加いただいた審査委員(敬称略・五十音順)

伊坂忠夫審査委員長、片山敬章委員、杉本龍勇委員、吉岡伸輔委員、村上晴香委員

2025年度 第19期生スポーツチャレンジ助成 第1回中間報告会を実施しました
嚴田光里(研究)
嚴田光里(研究)

バレエや器械体操の運動には、過度な関節可動性を要する。そのため、ダンサーや選手たちの関節弛緩性は高い傾向にある。本チャレンジでは、股関節の弛緩性があるケースでも動作中の不安定性や疼痛を生じさせないため、そのような状態の筋機能にはどのような特徴があるのか解明する。上半期では、バレエや器械体操に関わる対象者約35名のリクルートを完了し、同時に股関節痛の評価をはじめ、各種の測定・解析方法などを検討した。すでに9月上旬から超音波計測を開始しており、MRIによる撮影も年内には実施できる見込み。収縮中の股関節深部筋や関節包靭帯の硬さ・形態を評価して、関節弛緩性や疼痛の有無による能動的安定化機構と受動的安定化機構の関連を明らかにしたい。

小西陽人(ウインドサーフィン)
小西陽人(ウインドサーフィン)

2025年の目標を、3つの世界大会に出場し、18歳以下の部門で年間ランキング3位以内と定めて活動をスタートした。しかし、GC World Cupでの9位をはじめ各大会で思い描いていた結果を残すことができず、現在の世界ランキングは13位に沈んでいる。一方で技術的な成長をつかむこともできた。特にバックループの成功率が高まったこと、ジャンプに高さが出てきたことなど、取り組んできた体づくりの成果を実感している。しかし、今後さらに上位に食い込んでいくためには、難易度の高い2回転や、波が崩れそうなリスクの高いシーンでのターンなどが必要と感じた。下半期は神奈川や静岡で国内大会が続くが、Wave、フリースタイルの各種目で表彰台を狙っていきたい。

三ツ橋利彩(研究)
三ツ橋利彩(研究)

熱中症の発症に関連する体温や体水分量などには、女性ホルモンが大きく影響している。さらに女性ホルモンの分泌量や月経周期内の分泌動態には個人差が認められている、本チャレンジでは、女性アスリートに特化した暑熱対策の構築に向け、分泌動態による暑熱化運動時の生理学的応答を明らかにすることを目指している。上半期は主に、女性ホルモン分泌量波形の作成と分泌動態の算出に注力し、正常月経を有する若年女性16人を対象に各種検証を進めた。第3四半期では予備測定を、第4四半期では暑熱環境下運動時の生理学的応答の比較を実施する計画。これらの研究を通じて、女性アスリート特有のプログラムの提案、また個別化したプログラムの提案などにつなげていきたい。

古澤陸(レスリング)
古澤陸(レスリング)

上半期はJOCジュニアオリンピックカップで優勝し、U17世界選手権代表に選考された。また全国中学生レスリング選手権では2連覇を果たし、優秀選手賞をいただいた。しかし、優勝を目指していたギリシャでの世界選手権は7位に終わり、フィジカルの差や対応力の不足を痛感した。今後は圧倒的なフィジカルの獲得、さらなる技術力と対応力の獲得、さらに減量後のリカバリー方法の確立にも取り組んでいきたい。10月にはアジアユースゲームス、12月には全国中学生選抜大会に出場するが、もちろん目標は優勝。特にアジアユースでは日本代表としての自覚を持ち、必ず表彰台の一番高いところに立つ決意を持っている。今後も世界一を目指して全力を尽くしていく。

地下綾音(スノーボード)
地下綾音(スノーボード)

冬シーズンに向けて、上半期ではジムでのパーソナルトレーニングとクロスフィットに取り組んだ。また大学のトライアスロン部とともに水泳やランニングトレーニングを行い、ミドルディスタンスの大会にも参加した。パーソナルトレーニングでは、滑りの中で素早く板を切り返すイメージを持って、瞬発力や機敏な動きを鍛えるメニューで追い込んだ。またクロスフィットでは、毎回メニューが変わることで、これまでと違った部分が鍛えられたと感じている。冬シーズンに向けて、心肺機能と筋持久力を上げるインターバルトレーニング、板に乗る感覚をつかむスケートボードなども取り入れている。12月には中国でのアジアカップ、年明けにはカナダでの北米カップやFISレースに出場する。まずはこれらのレースでポイントを獲得し、ワールドカップとユニバーシアードの代表に選ばれるよう戦っていく。

平塚卓也(研究)
平塚卓也(研究)

運動部活動改革が後退したのは誠に残念。私はこのような脆弱な政策案がどのように立案されたのか、「運動部活動の地域移行に関する検討会議」でどのような政策学習が行われ、それが政策立案にどのような影響を及ぼしたのかを明らかにしたいと考えている。これまでの分析では、学習対象の制作知識が限定的であったことや、政策への経路における制約があったことなどが、脆弱な政策案の一因になったと考えている。10月に行われる日本教育行政学会の一般研究発表でこれらを報告し、さまざまな視点からフィードバックを受けた上で、今後も研究を進めていきたい。

大島拓人(トライアスロン)
大島拓人(トライアスロン)

2月のアジアカップを皮切りに、9月までに11レースに出場した。その中から、フィリピンで開かれたアジアトライアスロンカップと、横浜で開かれた世界選手権について報告する。アジアカップでは、日本人歴代最年少で優勝を果たすことができた。直後に世界選手権を控えていたので、大きな充実感とモチベーションを持つことができた。一方、世界選手権は日本人歴代最年少での出場だったが、結果は41位に終わってしまった。スイムでは世界のトップ選手に食らいついて上位で上がることができたが、スイムとバイクをつなぐトランジションで遅れ、さらに、慣れない濡れた路面でリスクを恐れてペダルを踏めないことなどが重なり集団から落ちてしまった。自分にとっては大きな挫折を味わうレースだった。現在は世界ランキング134位。ここからランキングを上げて、オリンピックへの戦いにつなげていきたい。