10月17日(金)、ABCアットビジネスセンター(東京都)にて平成26年度 第3回目の中間報告会を実施しました。この日、参加したのは体験チャレンジャーの佐藤麻梨乃さん(陸上棒高跳び・障がい者スポーツ/選手)と神下豊夢さん(陸上砲丸投げ・障がい者スポーツ/ 選手)、研究チャレンジャーの庄子博人さん、土屋吉史さん、蒔苗裕平さん、海外奨学生の作田飛鳥さんの合わせて6名。海外遠征中の柳岡はるかさん(フェンシング・フルーレ/選手)と海外奨学生の言上智洋さんは、ビデオによる報告を行いました。
報告会終了後の座談会では、「フェアプレーとは何か?」というテーマで意見交換を行いました。チャレンジャー自身の考えや疑問をぶつけ合い、審査委員の先生方も交えながら、活発な意見交換が行われました。
参加いただいた審査委員
浅見俊雄審査委員長、衞藤隆審査委員、川上泰雄審査委員、小西由里子審査委員、定本朋子審査委員、西山正樹評議員(オブザーバー)、村田亙審査委員、柳敏晴理事(オブザーバー)、綿貫茂喜審査委員(五十音順)
佐藤麻梨乃さん(体験/陸上棒高跳び・障がい者スポーツ/選手)
受験勉強のために長くトレーニングを休止していたので、春先のシーズンではなかなか記録を伸ばすことができなかった。6月はまず基礎体力を取り戻すためのトレーニングに重点を置き、夏場に参加した福島や北海道の合宿ではスプリント能力を鍛えた。神奈川県選手権で昨年のデフリンピックで記録した3m00(銀メダル)を跳んだが、目標とする自己記録の更新はできなかった。技術的に成長できた部分もあるが、新たに見つけた課題もたくさんある。こうした課題を解消するために、筋力をさらに高める、100mを13秒前半で走るスプリント能力を身につける、13ft 115のポールを使いこなせるようになるなどの目標を掲げている。世界記録の3m27はもう目の前だと感じている。
神下豊夢さん(体験/陸上砲丸投げ・障がい者スポーツ/ 選手)
今年度は、来年の世界選手権に出場するための通過点として、昨年度のB標準記録に近い11mの投てきを目標に掲げた。その実現のために「投てきフォームの改善」と「瞬発系トレーニング」に重点を置いて取り組んできたが、昨年と比較して記録は伸びず、大会の結果も芳しくなかった。腰痛の治療で思うようにトレーニングできなかったこともあるが、投射速度などを解析してみても、新たに取り組んだフォームに問題があったと感じている。問題点は二つ。高い重心位置から投げ始めていることと、低い位置で投げ終わっていること。今後は、高い投射位置を取り戻すための下半身トレーニングと、パワーポジションでタメを作るための技術トレーニングに取り組み、世界選手権への出場をめざしていく。
庄子博人さん(研究)
共同研究者とのミーティングを行い、多機能総合型スポーツ施設であるスマート・ベニューの実現可能性を持つ国内都市の選定に取り組んだ。いくつかの候補の中から二つの地域と施設を選定し、市民調査を基にしたニーズ調査の実施(広島・マツダスタジアム)とケーススタディ(岩手・紫波町)としての扱いを決定した。広島の施設に関しては、すでに行政、経済界、スタジアムの設計者へのインタビューを終え、今後は都市開発に関わる民間企業への聞き取り調査や、広島市民へのインターネット意識調査を予定している。また第2四半期には、海外の成功事例の収集を目的に世界で最も収益性の高いアリーナである「The O2 Arena」(英)を訪問した。
土屋吉史さん(研究)
第2四半期まで計画通りに実験を進めることができている。この実験のメインデータであるIrisinの分泌はこれまで仮説通りの応答を見せており、またIrisinの予測因子として測定した血中乳酸濃度も仮説通りの動態を示し、Irisinの分泌応答を支持するデータを得ることができた。上半期を振り返ると多少のトラブルはあったものの、予備実験から本実験まで遅延することなく体系化できたことは今後の自信になる。下半期で実施する予定の電気刺激の長期介入実験も予定通り進めていきたい。
蒔苗裕平さん(研究)
計画では一過性レジスタンス運動と活性酸素種投与を組み合わせた実験を行う予定であったが、実験に用いるマシンの都合で実行することができなかった。一方、予備実験で得られたデータの精度を上げるために追加実験を行った。具体的にはラット後肢に活性酸素種注入を行い、その後のタンパク質合成に関わるシグナル伝達応答を測定した。この追加実験でもほぼ予備実験通りのデータが確認されたが、予備実験とは異なるデータが一部で確認されているため今後解析を行う予定。マシンの都合により計画はやや遅れ気味だが、次のタームで運動と活性酸素種の組み合わせ実験を行いたいと考えている。
作田飛鳥さん(海外奨学生)
当初の予定から留学先の大学を変更し、先日、チェスター大学(英)から入学許可を取得した。7〜9月は引き続き早稲田大学に所属し、実験デザインの確立、予備実験の実行、文献調査、考察文の執筆等を行うことで自分自身の研究内容のさらなる明確化に取り組んできた。また、早稲田の研究室で行われているさまざまな実験やディスカッション、関連する学会や研究会にも参加して、注目度の高いトピック等を追うことに励んだ。現在は正式な入学許可書の発行を待っている段階。