中間報告会

半期の活動発表、人材交流と学びの場
 2012年9月22日

平成24年度スポーツチャレンジ助成 第2回目中間報告会を実施しました

平成24年度スポーツチャレンジ助成 第2回目中間報告会を実施しました

9月22日(土)、静岡県磐田市のヤマハ発動機(株)コミュニケーションプラザにて、今年度2回目の中間報告会を実施しました。今回は、体験チャレンジャーの佐藤圭太選手(第6期生・陸上/障害者スポーツ)、平田彩寧選手(第6期生/女子ラグビー)、春田純選手(第5期生・陸上/障害者スポーツ)、山下はるな選手(第4・5期生・トランポリン)、副島正純選手(第4期生・陸上/障害者スポーツ)、多川知希選手(第2期生・陸上/障害者スポーツ)、山本篤選手(第1期生・陸上/障害者スポーツ)、そして研究チャレンジャーの角川隆明さん(第6期生)の8名が参加しました。

9月12日に終了したばかりのロンドンパラリンピックに日本代表として出場した佐藤選手、春田選手、副島選手、多川選手、山本選手からは、ロンドンまでの取り組み、大会での結果とその中での経験、そして今後のチャレンジなどの報告が行われました。また平田選手からはニュージーランド留学での生活や成果、山下選手からは、昨年からの成長とそのプロセス、そして今後の具体的な目標などを発表していただきました。発表後の質疑応答ではパラリンピアンを中心に活発な意見交換が行われたほか、審査委員長の浅見俊雄先生、研究審査委員の小西由里子先生からも貴重なアドバイスが送られました。

またこの日、サッカーJ1・ジュビロ磐田が、パラリンピックに出場したYMFSチャレンジャーに敬意を表し、ヤマハスタジアムで行われたJ1リーグ第26節・アルビレックス新潟戦に選手らを招待してくださいました。試合前にはその健闘を称えセレモーニーが開催され、多数の報道関係者が取材するなか、佐藤選手、春田選手、山本選手、多川選手に、アトランタオリンピックに出場した経験を持つGK川口能活選手から花束が贈呈されました。川口選手からは「皆さんの活躍が励みになった。僕はいまアキレス腱断裂の怪我を抱えて治療・リハビリに取り組んでいるが、皆さんが乗り越えてきた困難は僕の苦しみなど比較にならないものだと思う。これからも日本を代表するスポーツ選手として、お互いに社会の、そして子どもたちの模範となっていきましょう」という激励のメッセージを受け、出席した全員が「今後も一層がんばりたい」とモチベーションを高めていました。





平田 彩寧(第6期生) 女子ラグビー/選手

中国・四国選抜の一員として女子セブンズ選抜大会に出場した後、4月上旬から8月下旬にかけてニュージーランドにラグビー留学をした。「世界一のラグビーへの情熱」を感じながらの生活は本当に刺激的だった。ニュージーランドでは、SH、SO、CTB1、CTB2、FBと、バックスのポジションをすべて実戦で経験することができた。ハイスクールの大会では準優勝に終わったが、キッカーも務めて30点取りMVPにも選んでいただいた。またカンタベリー大学のクラブチームにも所属し、ここでは現役ニュージーランド代表選手と組むという素晴らしい経験をすることができた。

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山下 はるな(第4・5期生) トランポリン/選手

2011年の世界選手権、2012年のロンドン五輪出場をチャレンジ目標に掲げていたが、力が足りず、その両方とも達成することができなかった。しかし、出場を逃した大会の翌日から気持ちを切り替えることができ、リオ五輪という新たな目標に向かって毎日の練習やトレーニングに取り組んでいる。

世界選手権の記録を見ると五輪出場のボーダーライン(16位)は96.985点、またロンドン五輪の決勝進出のボーダーは100.995点だった。それを基準にし、現在自分自身の目標を97点に設定している。昨年のW杯日本大会では92.880点だったが、今年のW杯スイス大会では94.750点で19位だった。自分自身の成長は感じているが、まだ伸ばさなければならないところがたくさんある。4月には自分自身の技術向上のため、また将来の普及活動のためコーチライセンスを取得した。西日本選手権で五輪経験者を抑えて優勝することができたので、これを自信に11月の全日本選手権でも優勝をめざす。

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佐藤 圭太(第6期生) 陸上(障害者スポーツ)/選手

ロンドンパラリンピックでは、200mと400mで自己ベストを更新して決勝進出、4×100mリレーではメダル獲得を目標に練習を積んできた。7月の北海道合宿でハムストリングスを痛めてしまったが、その一方で為末大さんから直接話を聞くことができ気持ちが盛り上がるのを感じた。またオリンピック直前の中京大学記録会の100mで11秒97の自己ベストを出すことができ、気持ちよくロンドン大会を迎えることができた。

最初の競技の200mは24秒34で予選落ち(予選3位・全体11位)。満足はしていないがピストリウス選手と走れて楽しさも感じた。また400mではインレーンのラインを踏んで失格となってしまったが、タイムは自己ベストを更新していたので自信を深めることができた。今大会では、自分と同じT44のイギリス人選手が100mで10秒台を記録した。新たな目標を持つことができたし、そのために筋力のアップやフォームの改善、最先端の義足への取り組みなど、これからの課題をつかんだ大会となった。

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春田 純(第5期生) 陸上(障害者スポーツ)/選手

パラリンピック出場者の発表では当初補欠という立場だった。しかし、リレーチームのメンバーや役員の皆さんが支持してくれたことで、100mと4×100mリレーの2種目を走らせてもらった。100mは12秒69と非常に悪いタイムで力を出し切ることができなかったが、その3時間後に迎えた4×100mリレーでその不安を持ち越すことなく精一杯走れたのは仲間のおかげだと思っている。そうした仲間たちとつかんだ45秒36の日本記録と4位という成績は、自分にとって一生忘れない瞬間になるだろう。34歳という年齢もあり「みんなの足を引っ張ってしまうのでは」と不安に思ったこともあったが、みんなが最後まで「春田さんの走りが必要」と自信を持たせてくれた。心から感謝したい。

ロンドンは8万人のスタンドがいつも満席だった。その観客が常に選手と一体感を持とうとしているように感じた。この素晴らしい経験を自分自身の競技はもちろん、日本選手の育成、障害者スポーツの発展のために還元していきたい。

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副島 正純(第4期生) 陸上(障害者スポーツ)/選手

ロンドンでは金メダルの獲得を目標とし、トレーニングに加えてコースの研究や対策にもさまざまな準備を行った。たとえばレーサー(車イス)はカーブの多さに対応するため全長185cmから小回りの利く180cmの仕様に変更し、ホイールも通常の11度からコーナリングを重視した13度に変更した。またロンドンマラソンではこれまでパンクが相次いでいたので、薄くて軽い日本製から丈夫なドイツ製のタイヤへと変更してレースに臨んだ。本番では6km地点で接触し一時は最下位まで落ちたが、そこからの挽回で先頭集団に追いついた。しかし(序盤の消耗で)最後のスパートが効かず4位に終わってしまった。悔しさは消えないが、これでパラリンピック陸上競技へのチャレンジは最後となる。

春先には肘と肩を故障し、自分では9月に間に合わないかもしれないという焦りがあった。しかし、友人の土田和歌子選手から紹介されたパーソナルトレーナーや協会の理学療法士といった皆さんからサポートを受け、ロンドンにはこれまで最高の状態で臨めたと思う。リオ大会へはトライアスロンでの挑戦を考えている。

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多川 知希(第2期生) 陸上(障害者スポーツ)/選手

北京大会では親しい日本人選手たちが入賞やメダルを獲得して悔しい思いをした。それもあってロンドンでは100mと200mの個人種目で決勝進出・入賞、4×100mリレーではメダルの獲得を目標とした。200mでは決勝進出はならなかったものの、100mでは11秒32で5位に入賞することができた。決勝を走って「メダルも手が届かないものではない」と実感し、自分自身に今までになかった欲が出てきたことが一番の収穫だと思っている。

佐藤選手や春田選手からの報告にもあったが、陸上チームキャプテンの山本選手も含めて、4×100mの4位はみんなでつかんだもの。自分は仕事の都合で合宿には一部しか参加できなかったが、みんなでチームワークを突き詰めた結果だと思う。メダルにはほんの少し届かなかったが、達成感のほうがはるかに大きい。

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山本 篤(第1期生) 陸上(障害者スポーツ)/選手

ロンドン五輪では世界トップとの差を痛感することになった。出場した100m、200m、走り幅跳びの各種目で北京大会の記録を上回ったが、世界のトップ選手、またこの1〜2年の間に出てきた選手の勢いには目を見張るものがあった。その差を埋めそれを上回るためには、義足やフォームの改善、筋力の向上などすべてにわたっての強化が必要だと考えている。悔しさもあり、また探究心もあり、パラリンピックでの走りを帰国してから100回以上映像で見た。帰国してすぐに行われた国内大会で12秒69(100m)の自己新が出たことも、これからについて気持ち的な追い風にもなっている。

4年は長い。いまリオ五輪について自分の気持ちを表明することはできないが、まずは来年開催される世界選手権(フランス)、その次のアジア選手権(韓国)に照準を当てて、ますますレベルアップに取り組んでいきたい。

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