好奇心から生まれる体験は、子どもたちにとってかけがえのない宝物に


「水辺の風景画コンテスト」は海や川の景色を描くだけでなく、子どもたちが海や川などに出かけて自然の中での発見や体験をする機会を提供し、その大切さを広く伝えていくことも目的に実施しています。今回は国立室戸青少年自然の家が開催した「体験!発見!ジオパーク(夏編)」に同行。海がフィールドの本イベントに密着し、イベントを通した子どもたちの成長や活動の狙いについて所長の小野保さんに聞きました。
自然活動で子どもたちが手に入れる宝物
1. 道具の正しい使い方を学び、フィールドを広げる力
- ライフジャケットは命を守ってくれる大事な道具。お互いに正しく着用できているか確認し合う
- カヤックは乗り降りの方法から学ぶ。道具の使い方の基礎・基本が自然を感じる第一歩となる
- バラバラだったパドルはいつしか息もピッタリ。「右!左!」と軽快に進み活動のフィールドを広げた
- 「あっ魚がいる!」。箱メガネなどの道具を使うと海中の生き物もよく見え、観察の幅も大きく広がる
- スノーケルは、長時間水中を見渡すための道具。付け方が間違っていると水が入ってしまうため、しっかり確認
- マリンシューズやグローブは、ゴツゴツとしてスリッピーな岩場を安全に動き回るための必需品
2. 自然の脅威・危険に触れて学ぶ助け合いの精神
- 興味を引くものがあっても、バディでの行動が大原則。互いの位置を確認しながら安全を確保した
- 仲間と大海原へ。潮の流れ、波の高さを感じながら慎重に先へと進む姿はまるで「海の冒険家」
3. 自然とそこにある生命を感じ取って育つ好奇心
- 恐怖心に勝る好奇心。カヤックから飛び降りサンゴが待つ海中へ、そしてこの笑顔
- 最初は泳ぐことに精一杯だった子どもたちも、インストラクターが示す生き物に興味津々
- 生き物を発見するたび観察に集中していく子どもたち。「岩の下に隠れた!」「魚が砂と同じ色をしている!」と生き物の生態にも詳しくなっていく
- 魚、貝、ナマコ、カニなどの生き物であっという間に水槽はいっぱいに。水の中で動くもの、変わった色や形のものはすべて観察対象となる
子どもたちの声
- 最初は難しかったけど、一生懸命に漕いだら速く進むようになったカヤックが一番楽しかったです
- たくさんの生き物を見たスノーケリングが一番好き。キレイな青い魚が見つかってうれしかったです
- 磯遊びは冒険みたい!気持ち悪いナマコや小さいエビが、いっぱいみつかりました。またやりたいです
指導者の想い
小野保さん(国立室戸青少年自然の家 所長)
本イベントは、子どもたちに自然を感じてもらうことを趣旨としていますが、「道具を正しく使う」「仲間と協力し助け合う」「自然の地形や生き物に興味を持つ」という3つの「めあて」を伝え、子どもたちが“考え”“感じる”幅を広げています。最終的にはこの体験が楽しい思い出として、自然を感じるための知識として残り、将来、家族や友人に伝え、ともに体験するサイクルができることを願っています。
「水辺の風景画コンテスト」では、以前「文部科学大臣賞」の審査員を6年間務めました。その時に感じたのは、作品に描かれている子どもたちの体験のほとんどは身近なものが多いのですが、どの作品も好奇心と興味、楽しい思い出に溢れたすばらしいものでした。
これらを通してわかったのは、子どもたちが「自分にとって特別で、楽しい」と思うことこそが心に刻まれるということ。だから我々は子どもたちの視点を大切に、作品や言葉など思い出に残せるような体験を提供できたら幸せです。
「水辺の風景画コンテスト」事務局より

太平洋に面した室戸の海岸にはカヤックやスノーケリング、磯観察など、子どもたちの好奇心をくすぐるアクティビティが盛りだくさん。はじめは緊張していた子どもたちも時間とともにイキイキと笑顔で活動している姿が印象的でした。自然の恵みを全身で感じながら、安全に楽しく学び、遊ぶことができる自然活動は、国立室戸青少年自然の家をはじめ全国各地で行われています。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。そして、体験した思い出を、絵やことばで残してみませんか?
(2018年8月取材)