リアルな動き、音、光、色が作品をいっそう輝かせる


普段は、写真などを頼りに教室で創作活動を行っているアトリエMEGUさんですが、年に数回、キャンプを兼ねた創作合宿や写生イベントを催し、自然の中に身を置き「本物」の被写体と向き合って五感を働かせながら描く機会をつくっています。今回はその写生イベントにお邪魔してその狙いや、子どもたちの声を聞きました。
屋外の創作活動が生む利点
1. 子どもたちの視点で描きたいものや場所を選ぶことができる
- ロケーションは公園内の水辺エリア。それぞれが描きたい場所を選び、筆を走らせる
- 絶えず変化する色や形を捉えるため、子どもたちの視線がよく動き観察を欠かさない
2. 自然ならではの色を感じ、表現できる
- 実際の空や樹、水、土、石を見ることで、複数が混じり合った独自の色が生み出される
- 単色の絵具を混ぜ合わせることで、自然の色に近づける。さまざまな筆も活用して表現力を磨く
3. 実際の風景を見ながら指導をすることができる
- 実際に見える風景を一枚の画用紙にどう表現するか、実物を示してアドバイスできるのも写生ならでは
- 樹や岩は一色だけではないことを伝えることで、子どもたちの観察力も養われる
4. 自然を直接五感で感じることで感性が育まれる
- 草の上や木陰で耳に水の音を感じながら楽しそうに、また真剣に描く子どもたち
- 写生を終えた後、水辺を楽しむ子どもたち。創作と遊びが混じり合い新たな意欲が育まれる
子どもたちの声
- 木津くるみさん「普段は外で描くことはほとんどありません。太陽の光で葉っぱなどの色が変わって難しいですが、本当に動く風景を描くことは楽しいし描きやすいので、私は外で描くほうが好き。また外で描きたいです。」
- 諸橋花綾さん/一花さん「今回初めて外で描きました。みんな動くので描きにくいけど、影など写真ではわからないものを描けました。教室の方が集中できますが、外では風に当たって気持ちいいし、今日はとても楽しかったです。」
指導者の想い
「室内では2面のものを写し、空は水色、木は茶色と塗り絵のようになる傾向があります。写生は、今見ている、動いている、生きた風景と向き合うことで気づきがあり、色が混ざるなど作品に厚みと立体感が生まれます。また描きたいものを自分で選ぶなど、子どもの個性や性格が見えてくる楽しみもあります。年に数回と外で描く機会はそれほどありませんが、子どもたちの気分転換を含め、創作へのプラスを期待し今後も続けていきます。」
「水辺の風景画コンテスト」事務局より

自然とふれあう機会が減っているといわれる子どもたちですが、今回のように実際に水辺に出かけて、水の流れや風など、動きのある風景を五感で感じたままに描くきっかけづくりは、とても大切なことであると感じました。身近な水辺に出かけることで、子どもたちの感性がさらに育まれていくことを願っています。
(2018年8月取材)