年度別チャレンジャー一覧

助成対象者のチャレンジ概要
上田 麻理
氏名
上田 麻理(うえだまり)
助成実績
スポーツチャレンジ研究助成(基本):第14期生
スポーツ競技力向上のための聴能訓練システムの開発と評価

本研究で示す「聴能力」とは,医学的に意味する聴力とは異なり,音を聴く・聴き分ける能力を意味する.聴能力は訓練により一般の人でも(絶対音感等を有していない健常な聴力を有す者)その能力向上の効果は確認されている.本研究では,様々な競技から発生する打球音を収集・解析を行い,さらに距離知覚・方向知覚,雑音下での必要な音・声の判別能力などの聴能力の向上の訓練システムを開発する.

成果報告(2021年3月)

今年はCOVID-19によりヒトを対象とした実験がほとんど不可能になったことから,研究計画・内容を大幅に変更して遂行しました.2020年4月には野球を主とした球技の打球音に対する聴覚情報の利用の利用について100問以上の質問項目を設定し,選手へのwebアンケート調査を行いました.アンケートはしぶしぶ実施したのですが,アンケートからもこれまで知りえなかった聴覚情報の利用に関する貴重な知見を収集することができました.YMFS事務局の温かなご意見が頂けとても感謝しています.並行して聴能訓練のためのwebアプリケーションの開発を行い,こちらも無事に完成しました.アプリケーションの実装・サーバー構築等はFirebaseを使用しています.
実際の打球音や動きの計測は2020年10月以降に実施せざるを得ず,また学生の入構制限もあり,予定していた計測まで遂行することができませんでした.この部分は今後も継続して音響計測などは実施予定していく予定です.
スポーツと音は音響工学の視点からスポーツ分野へ競技力向上,スポーツ競技から発生する音・選手の「感覚」を科学するというものです.また選手にとって有効な音環境を構築するといのも含んでいます.YMFSの支援や出会いを受けて2年目になりますが,私が勤務する大学では新たな科目としてスポーツ音響学概論が開設されることになりました.日本音響学会スポーツ音響調査研究委員会でもYFMSでの出会いを生かした試みがなされています.今回の研究成果は勿論ですが,音の専門家の視点からスポーツを科学し,スポーツ分野へ貢献していくという目標への基盤構築が漸くできたように感じます.2年間ありがとうございました.

スポーツチャレンジ研究助成(基本):第13期生
視覚障害者のスポーツ競技支援のための音響学的研究と聴察力向上に関する研究

スポーツ分野への音響学の貢献を大目的として,本研究では,視覚障害者向けスポーツに着目する.視覚障害者は特に,聴覚(音)による環境・状況知覚能力が欠かせない.そこで,本研究課題の目的を,競技中に発生する音・音声について,音響的特徴の解明を行い,特に,音の距離知覚・方向知覚,雑音下での必要な音・声の判別能力などの聴察力の向上の支援方法を検討し,聴察力訓練システムの開発を行う.

成果報告(2020年3月)

様々なスポーツ競技において,選手らは無意識に聴覚情報・音を利用していると考えられる.しかしながらまだスポーツ分野では未開の研究分野であるといえる.音の視点からスポーツ分野に何か貢献できないかという気持ちのもとに,研究を進めてきた.本業の授業や学務,学生指導と並行して研究を遂行することが今回の一番の課題だったが,学生・共同研究者の協力を得て無事遂行することができた.今後も音響学がスポーツ分野へ貢献できるよう尽力していきたい.そのきっかけが今回のYMFSの助成となりとても光栄な気持ちと感謝の気持ちでいっぱいです.