
- 氏名
- 清水 純也(しみずじゅんや)
- 助成実績
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スポーツチャレンジ研究助成(基本):第19期生
胎盤・骨格筋連関から探る「運動適応性の個体差」の起源
競技能力向上や健康増進の鍵となる筋適応性には個体差があり、この差がいつ何によって生じるのかは解明されていない。本チャレンジでは、妊娠期の母体運動が胎盤からの生理活性物質の分泌を促し、それが胎児の筋発達に働くことで、生後の適応性を制御するという「母から子への運動情報伝搬の仕組み」を検証する。この検証で「筋適応性の個体差の起源」を解明し、その知見を運動の恩恵が届きにくい人々への支援策創出につなげたい。
スポーツチャレンジ研究助成(奨励):第18期生
「運動効果の個体差が生じるメカニズム」を明らかにする骨格筋エピジェネティクス研究
トレーニングによる骨格筋の適応範囲には大きな個体差がある。先行研究からはそのような個体差が後天的に「生じる」ことが示唆されているものの、その詳細なメカニズムは不明のままである。本チャレンジでは、検証を通じて、「運動効果の個体差が生じるメカニズム」を特定する。
成果報告(2025年3月)
骨格筋における運動効果には個体差が大きく、その原因は未解明である。本チャレンジでは、骨格筋の運動効果を形成する「遺伝子発現の運動応答性」が、長期的なトレーニング歴の有無によって異なるかを解析した。さらに、運動応答性の分子制御メカニズムとしてエピジェネティック制御に着目し、その役割を解明することを目的とした。マウスを用いた検証の結果、トレーニングによって遺伝子の運動応答性が上昇することが示された。さらに、トレーニングにより該当遺伝子領域で転写活性を促すヒストン修飾が増加し、その増加は酵素 EZH1 の過剰発現により促進された。これらの結果は、骨格筋の運動効果の個体差形成に過去のトレーニング歴が関与し、その分子機構に EZH1 を介したヒストン修飾が寄与する可能性を示唆している。この成果をまとめた論文は、スポーツ科学分野の査読付き国際学術誌に掲載され、国際/国内学会やシンポジウムで発表された。